桂調査委員会の怪しくも理不尽な動き

小保方STAP細胞をめぐる日本科学史上最悪の冤罪事件のポイントとなる桂調査委員会による「ES細胞捏造説」の真相があきらかになりつつあります。
小保方冤罪事件の最も重要なキーとなる桂調査委員会の「ES細胞捏造説」に関する言動において、極めて怪しい動き(バイアス)があったようです。
STAP細胞を導入したマウスの胎盤が発光したか否か。これはSTAP細胞が多能性のみならず「万能性」を有するか否かを見極める重要な条件。

ところが、桂調査委は、「胎盤と見えたのは卵黄嚢の誤認である可能性大」と結論付けてしまった!

ところが、ある方が、理研に対して情報公開請求をした結果、「胎盤と見えたのは卵黄嚢の誤認である可能性大」との見解を示したのは、外部専門家ではなく、理研内部の研究者だったということが明確になった。しかもその根拠が極めてあいまいかつ恣意的かついいかげん。

どうも、「ES細胞混入と結論づけるために強引に、胎盤ではなく卵黄嚢だと断定した可能性がある」ということです。


びっくりポンです。


「tea breakt 2」さんの分析記事より。

胎盤発光が誤認だとする理研内部「専門家」の見解の援用から見えてくる桂調査委と理研研究者たちの強力なバイアス
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/17178980.html
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 木星さんが、情報公開請求をかけていただいているようで、本当に助かります。
 推定で考えていたことが、理研が公式に確認したことによって、その確定材料から検討がまた進むという建設的作業が可能になります。

 このブログで、これまで情報公開請求すると、桂調査委報告書等が曖昧にしている点に関する事実関係がはっきりしてくるだろう、との観点から、以下のような記事を書いています。

(1)STAP細胞事件の真相・深層を、情報公開請求で追求すれば、優れた調査報道の材料に
(2)理研に「残存試料の帰属一覧」「分析計画」「胎盤の分析者・各見解」の情報公開を求む
(3)遠藤氏の解析によるES細胞説を「無理がある」とした理研依頼の外部有識者の評価内容は?

 今回の木星さんが情報公開で明らかにしたことは、モニタリング委報告書の記載からも推定はできたのですが、「胎盤と見えたのは卵黄嚢の誤認である可能性大」との見解を示したのは、外部専門家ではなく、理研内部の研究者だったということが明確になったということです。
 
 桂調査委報告書公表の記者会見時から、この胎盤否定の説明は、相当おかしな内容でした。
 そのおかしさ、怪しさは、当時、このブログでも記事で書いています。
 http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16134077.html (後半の「疑問2」参照)

 おかしさ、怪しさのポイントをまとめると、次のようなことです。

(1)桂調査委報告書では、次のように、その「専門家」の曖昧で感想的な意見を以て、「卵黄嚢の可能性が高く、強引に胎盤と断定した可能性あり」とまで、それこそ断定的に書いていることです。

「論文の図の説明には 2つの矢印があって、胎盤と卵黄嚢とされているが、専門家の意見によれば 2つとも卵黄嚢である可能性が高い。・・・STAP 細胞の胎盤への寄与は、Letterの論点として重要であり、研究の価値を高めるために強引に胎盤と断定した可能性がある」

ところが、桂委員長の記者会見での発言では、

「あの光る胎盤は、血液とか胎盤以外ものだった可能性があるということは、専門家に見てもらったところ、そのような回答を得ている。」

 と述べたものの、さらに質問されて、

「光っているものが、図によっては胎盤なのか別の組織なのか、専門家は、疑わしいと言っている人がいる。疑わしいという言い方だが・・・。」

 とまことに正直に?答えてしまっています。
 つまり、この一連の発言から読み取れるのは、

(1)検証したのは、論文の画像で合って切片やキメラ等の残存試料ではないこと。
(2)その「専門家」は、「疑わしい」という曖昧な言い方しかしていないこと。
(3)「そう言っている人がいる」ということであり意見を聞いた人が皆そう言っているわけではない様子であること。

 ということです。このような極めて根拠の曖昧な一人の内部「専門家」の感想的意見を以て、卵黄嚢の可能性が高いと断じ、「研究の価値を高めるために強引に胎盤と断定した可能性がある」とまで断罪していることは、どう考えてもおかしいではないか、ということです。
 しかも、あれだけ残存試料を調べれば分かると、マスコミも科学者も言っていたにも拘らず、その肝心の残存試料を直接調べずに断定しているのです(その理由も明確に述べずに「できなかった」というのみです)。

 この胎盤の発光の部分は、ES細胞混入説にとっては、もっとも「邪魔な」材料です。ですから何としても否定しなければならないという事情が桂調査委にはありました。そこで、こうやって否定してみせたのですが、その根拠たるや脆弱すぎるものだったということが、この会見から浮き彫りになったわけです。それこそ、報告書の表現を借りれば、「ES細胞混入と結論づけるために強引に、胎盤ではなく卵黄嚢だと断定した可能性がある」ということです。

(2)怪しさの第二は、それこそ専門家中の専門家である丹羽氏の見解の無視です。
このことは、もう各所で指摘されている通りです。
 モニタリング報告書の参考資料として付いている「理研の対応」という総括文書では、
  http://www3.riken.jp/stap/j/s9document30.pdf 
 
「全所の研究者たちが総力を挙げて、精密な解析に取り組んだ。その解析結果をもとに、桂調査委員会報告書をとりまとめている。」(P59)

と書かれています。それであれば、当然、自他共に認めるプロである丹羽氏の見解、それも理研主催の公式の記者会見で述べた見解で、「自らの眼で間違いなく胎盤に寄与していることを確認した」とまで断言しているわけです。

「Q 胎盤に分化していることを確認しているのか? 血管が光っているのではなく、細胞が光っていることを。
A 自分自身もその点は、実験に参画した上で最も強いモチベーションだったので、・・・GFPの自家蛍光の問題は、免疫染色等で確認すべきだとのご意見があったが、まさにそのような手段を用いて、かつ 胎盤実質細胞で発現するマーカーともキョーセンショクを以って、確かにSTAP細胞由来と思われるGFP陽性細胞が胎盤組織にインテグレートしていることを、切片を顕微鏡で自分の目で確認している。」

更に、須田氏の著書が、(ノイローゼにさせてしまうほどの取材攻勢の結果とは知りませんでしたが)丹羽氏にメール取材により、「TS細胞とは全くパターンが異なる」との見解まで引き出しています。
  http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16280958.html 

「若山氏が作製したキメラマウスの胎盤組織の切片は、丹羽氏自身が顕微鏡下で観察したが、「TS細胞」と呼ばれる胎盤に分化する既存の細胞とは「全く異なるパターン」で、かつ「きちんと」STAP細胞由来の細胞があることが確認できた。」

見解の不整合は明らかですから、桂調査委は、報告書が援用する「専門家」の見解との差を検討しなければならないはずです。
ところが、桂委員長は、記者会見では、「笹井氏、丹羽氏の見解は調査対象ではない」として、排除してしまっています。質疑応答の冒頭で、日経BPの記者が、「笹井、丹羽氏は、ES細混入ではないかと疑われたので、そうではないという点は注意深く観察した、と言っているが、この点はどうか?」と質問したのに対して、

「両氏がどうしてそう考えたかは、わからない。我々は、論文がどうなのかを調べているので、その点は、調査対象外だと考えた。」

 この発言は、調査の趣旨についての、桂氏による冒頭の説明と明白に矛盾しています。桂氏は、科学的調査が主体で、論文調査は従だと説明しているのに、文字通り「その舌の根も乾かぬうちに」、笹井氏、丹羽氏の見解との関係と問われると、論文調査をやっただけだ、と逃げてしまいました。

「最初の調査委員会の後、主に理研内部でいろいろな科学的調査が行われて、データが溜まってきました。・・・報告としては、主に科学的調査が主体だが、論文についても調査した、論文の製作過程についても調査した。科学的調査としては、理研の各所の人が、自浄作用だと思うが、いろいろデータを出してきたので、それを第三者の目でどうかということをやった。」

 理研内部の専門家の代表格である丹羽氏が提示している、ES細胞混入説にとって「邪魔な」材料は、「理研研究者が総力を挙げて取り組んだ」と言っているにも拘らず、無視するということで、ここでも怪しさが濃厚に漂っていました。
 今回、「卵黄嚢の可能性が高い」(正確には、胎盤であるとするのは「疑わしい」)と述べたのが、内部の研究者であることが改めて明確になったわけですから、中核的判断材料の一つに関して、同じ理研内部の専門家間の見解の極めて大きな相違(桂調査委が援用する専門家は「疑わしいという人もいる」という程度の曖昧な見解に対して、丹羽氏は胎盤への寄与を根拠を以て断言している)について、桂調査委は説明する義務があります(丹羽氏は、4月時点で述べた考えは、その後、「前提となる材料が異なってくれば、解釈も変わってくる」といった趣旨のことを述べてはいますが、胎盤への寄与の点についての観察が、解釈で変わるものでないでしょうし、残存試料の調査に委ねたいと述べていたかと思います。しかし、調査委は切片やキメラ等の残存試料の検証はしませんでした(「できなかった」という言い方)。

 また、次に述べるように、若山氏自身も、光っているのは胎盤だと述べており、卵黄嚢だなどとは全く捉えていないことは明確です(光っているのが、血流が多いからなのか、血管以外にも寄与しているからなのかは別として)。
 桂氏は会見で、その援用する「専門家」の言として、「あの光る胎盤は、血液とか胎盤以外ものだった可能性がある」と紹介しており、以下に述べる若山氏の血液発光説?とも喰い違っています。この点でも、桂報告書の断定はおかしいわけです。

(3)怪しさの第三は、若山氏の発言内容です。
 これは、朝日新聞のインタビューでものべていましたが、須田氏の取材に対して述べている話のことです。
まず、以下は、朝日新聞デジタルによる会見録です。
  http://www.asahi.com/articles/ASG6J6RXNG6JULBJ01G.html  

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 ――(STAP細胞の万能性を示すとされた)マウスの胎盤が光った写真について、改ざんだったと指摘されている。胎盤は間違いなく光っていたのか?
 実験では胎盤もよく光ってました。ただ、よく確認しないといけない、と小保方さんに話しました。それで、ES細胞の胎盤をつくって小保方さんに渡してます。
 ――ES細胞の胎盤は光ってなかった?
 いえ、結構光ります。胎盤の中の赤ちゃんの血の量が多ければ光ります。それで、「血管以外のところが光ることを見ないと胎盤が光ったと言えません」と伝えました。小保方さんからは「胎盤の血管以外のところでも光って入ってます」と報告を受けました。
 ――その写真はみた?
 見てません。
 ――本当に胎盤が光っていたと思うか。
 それに関してはいろんなことが考えられますが、胎盤の専門家ではないので判定できることではありません。  」               
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 実験で、「胎盤は光っていた」と述べつつ、ES細胞でも血流が多ければ光るとしていますが、STAP細胞、STAP幹細胞、FI幹細胞で、それぞれ胎盤に寄与するかどうかということを論文の重要な中核的テーマにしている中で、「私は見ていません」「私は専門家ではないからわかりません」というセリフが通るはずがありません。にも拘わらず、こういうセリフを述べるということが、まず怪しいと感じさせました。
 そして、次は、須田氏の取材に対する答えぶりです(『捏造の科学者』所収)。

「僕の研究室は、キメリズムを高めるのが研究室のテーマの一つでもあったので、もしかしたらESでも胎盤にけっこう寄与しているかもしれないですよね」(p77)
「もし僕が渡されたのがES細胞だったらキメラマウスはできるわけです。胎盤にも分化するというのがSTAP細胞の非常に重要なデータだったわけですが、胎児のキメリズムがものすごく高ければ、胎児から(ES細胞由来の)血液がたくさん胎盤に行くので、それが光った可能性はあります』」(p69-70)

 胎児のキメリズム云々という話を持ち出して、血液が光った可能性を印象づけようとしています。しかし、そういう研究をしていたのであれば、そういう画像を示すことができるはずです。若山研でキメリズムを高めるための研究をしてきているというのであれば、そういうES細胞で実験してみて画像を撮影して示せば、論より証拠ですぐ理解させることができるはずです。過去に画像だってあるはずです。しかし、それも示さずに、抽象的に、ES細胞での血流の発光の可能性というところに誘導しようとしているところが、相当の怪しさをにじみ出しています。それを突き詰めない須田氏も須田氏です。そういう疑問はすぐに思いつくでしょう。


 今回、木星さんが情報公開で得た、理研内部の研究者だけで解析・評価したものだったという事実から浮かびあがってくることは、桂調査委の調査実態は、理研内部の研究者による相当バイアスがかかったものであり、胎盤への寄与という、ES細胞かどうかを論ずる上でもっとも中核的な論点部分について、丹羽氏の観察・評価とは全く相容れず、若山氏のセリフとも喰い違っているにも拘らず、しかしそれでも、ES細胞混入という結論に、何としても持っていきたいという「強力な意志」の存在だと思います。

 現在、自己点検委の問題性を整理していますが、一連のSTAP細胞事件をみて感じるのは、理研内部の研究者たちの、表舞台及び水面下での密接な関与と、そのバイアスぶりです。表舞台では、自己点検委でまず誘導し、改革委に権威付けをさせ(CDB解体提言は誤算だったでしょうが)、桂調査委の調査でも実働部隊として匿名で働く一方で、NHK毎日新聞とを中心とするマスコミに対して積極的にリークして、自らの描くシナリオにマスコミと世論を誘導していった、という構図を強く感じます。
 また稿を改めて述べたいと思います。

理研に対して情報開示要求をされたのは、以下の木星さんです。

理研が外部に胎盤の調査を依頼した形跡なし。開示書類が戻ってきました。
http://blog.livedoor.jp/obokata_file-stap/archives/1053564731.html

STAP細胞事件検証ブログ『理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問』

の管理人さん「tea breakt 2」さんより、ご依頼頂いた調査結果を公表します。


STAP細胞から作成された胎盤の調査・解析依頼書、又は「胎盤の調査の回答書」または「契約書」その謝礼に関する受注書、支払証書」当の開示請求を行ったところ、本日、回答書が届きました。


「法人文書不開示決定通知書」です。
つまり、わたくしが理研に請求した上記の内容の法人文書の開示拒否通知です。

 理由は_

「該当する文書が存在しないため」
(外部に調査・解析を依頼したものではありません)※文章ママ

桂勳 STAP細胞論文調査委員会会長は、記者会見で__ES細胞が混入したというが何故光る胎盤があったのか。 という記者からの質問にこう答えています。


理研調査委員会の会見一問一答(1)より〜

桂委員長 我々は、「光る胎盤は、血液とか胎盤以外のものであった可能性がある」という専門家からの回答を得ている。しかし、それがどうだったかは、最終的には検証できなかった。我々は、胎盤との証明があるとは思っていない。胎盤でないというところまで突き詰めることは難しかった。
 回答書はこの桂調査委員会の答え「胎盤が何故光るのか それは血液とか胎盤以外のものであった可能性がある」と外部の専門家から回答を得た事実が無い事を示しています。

胎盤の解析を依頼した依頼書もその回答書も謝礼の支払調書もない」のですからね。

 お得意の「お友達の研究者に無料で胎盤の調査を頼んだ」とでも言うのでしょうか?
それとも理研の内部の胎盤の専門家に解析を依頼したのでしょうか?
外部の調査ではない、その回答の証拠を我々は確認する事が出来ません。「胎盤が光ったのは誤認だ」と結論を付けて良いのでしょうか。

 つまり、ES細胞では作る事の出来なかった胎盤までSTAP細胞で作れた事を証明した、光る胎盤を専門家に見てもらって回答を得た訳ではなく、「レター論文」に掲載されている光る胎盤を「それは血液とか胎盤以外のものであった可能性がある」事にしたかった可能性があります。

 ES細胞の混入であれば、胎盤まで作れた事の説明がつかないのです。
胎盤まで作れる細胞、それはSTAP細胞を培養して作ったFI幹細胞。
それは若山照彦博士が全て作りました。キメラマウスを作ったのも若山博士。

 若山博士は「FI幹細胞は極めて均一な球形をしていた」とその形状について説明されていますから、細胞の混合物であろう筈がありません。TS細胞とES細胞の混ぜ物で「光る胎盤」が出来てしまった、とする方が非科学的、非合理的です。

 STAP細胞はその後の培養方法によって、様々な能力を持ち、身体の全てに分化出来る夢の万能細胞だとして、ネイチャーに取り上げられました。
その万能性を証明する実験作業をしたのは、小保方さんは全て若山博士だったと「あの日」で告発しています。


 「あの日」の副題は「真実を歪めたのは誰だ?」です。

 誰なのか__真実を歪めたのは。この研究に嘘を持ち込んだのは_

 その謎かけの答えはもうすぐ判るでしょう。

  [文責: 上田眞実] 木星通信

あの日

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