[適正技術]次世代ソーラーシステム「そよ風」(その2)

この↑イラストは以下のサイトからお借りしました。深謝。
http://www.shouya.jp/12soyokaze/


空気集熱式の次世代ソーラーシステム「そよ風」のつづきです。


次世代ソーラーシステム「そよ風」の基本的システムはOMソーラーをほぼ同じ。ただし、OMソーラーでは夏の暖気が一旦屋内に取り込まれるのに対し、「そよ風」は屋根上で外部に排出する点で違いがある。

OMソーラーをさらに改良しコンパクトかつ低コスト化した点も有利。


「そよ風」の仕組はどうなっているのか?


まず冬の昼間(晴れの日)の運転モードを見てみよう。

屋根の軒下から取り入れた外気は金属製の屋根の裏側の層を伝って棟に上がっていく間に暖められ、屋根上に設置されたチャンバーに集められる。(熱媒体として、水ではなく空気を使うところがポイント。)集められた温かい空気(集熱空気)は取込ファンを経てダクトで床下の蓄熱層(コンクリートなど)へ導かれる。とってもシンプル。

一日中ゆっくり空気が動き、じわじわと換気も行われる(これはある種の熱交換換気か?)。新鮮な外気が太陽熱で暖められながらゆっくりと取り込まれるので、健康的な温熱環境をつくることができる。


一方、冬の夜間は、昼間の運転で暖められた蓄熱層からじわじわと放熱されて、冬の夜も陽だまりの温かさが保持される。

さらにダンパー付きリターン口を操作することによって、室内の補助暖房による温かい空気をリターン口から床下に循環させることもできる。これが暖房循環運転モード。循環モードで使う補助暖房としては、エアコン(ヒートポンプ)や薪・ペレットストーブ、灯油ストーブなど様々な暖房手段が活用可能。

つまり、「そよ風」は、地域でこれまで使われてきた様々な既存の暖房手段とも相性が良いということではないか?

太陽熱の取得ができない日は、もっぱらこの暖房循環運転モードで家屋全体を暖めることになる。だから、家の断熱構造をしっかりとつくっておく必要がある。



では、夏はどうなるのか?

夏の日中は屋根がかなりの高温になる。ダンパーは、屋内側を閉じて 屋根の排気熱は屋内に入ることはない。屋根裏の高熱空気をお湯採りに利用することもできる。(今の自宅はOMソーラーですが、夏場のお湯採りはとても助かります。)

ただし、屋根裏の断熱をガッチリしておくことは勿論です。ただし、従来のOMソーラーと違い、「そよ風」では夏場の熱い空気を室内に取り込まないので、小屋裏が熱くならないことはポイント。

夏の日中に屋根の上では排気をしている時に、屋内では必要に応じて冷風循環運転をすることができる。たとえば、屋根裏部屋に設置したエアコン冷房で「そよ風」の循環運転モードにすることによって、1台のエアコンで全館冷房も可能ではないか!(もちろん湿度調整と結露防止に注意する必要がありますが)


夏の夜はどうなるのでしょうか?

日本の夏の熱帯夜はホント寝苦しい。真夏の夜の悪夢。夏の夜、金属屋根は冷たくなる。これは放射冷却現象と言われるもの。「そよ風」では、金属屋根によって夜間に生じる「放射冷却現象」を利用して、涼風を積極的に屋内に取り込む。この涼風取り入れ運転によって、翌朝まで高原の爽やかさを感じることができる。

「そよ風」は、冬の暖かさとともに、夏の涼しさをもつくりだすことができるシステムなのですね。