アジア地域に適したコミュニティ排水処理システムの開発と普及(APEX)


いまインドネシアジャカルタにいるAPEXの田中直さんからうれしいメールが届いた。


日立環境財団と日刊工業新聞社が主催し環境省が後援する「環境賞」を受賞したとのこと。しかも「優秀賞」である。
   http://www.hitachi-zaidan.org/kankyo/works/work01.html


優秀賞
テーマ: アジア地域に適したコミュニティ排水処理システムの開発と普及
受賞者: 特定非営利活動法人APEX 田中 直


環境賞には優秀賞と優良賞とがあり、これまでの「優秀賞」の受賞例には以下のようなものがある。

●「微生物分解性プラスチックの開発」(工業技術院四国工業技術試験所)
●「乗用車用量産型ハイブリッドシステムの開発」(トヨタ自動車株式会社)
●「無鉛はんだ材料の開発と実用化」(ソニー 株式会社)



APEX (Asian People's Exchange)は「適正技術でアジアをつなぐ」活動を実践しているNGO

今回の受賞は、インドネシアの衛生環境を改善する排水処理技術を開発し、住民参加型のモデルシステムを構築したことに対するもの。

この排水処理技術はシンプルですがなかなかすぐれている。運転管理が容易でしかも安価。電気代は1世帯当たり月30円から60円。

集められた排水に対して、まず熱帯の気候に適しかつ電力を必要としない嫌気性処理を行い、次いで好気性処理を行う。この好気性処理では立体格子状接触体回転円板装置を用いる。

この装置は従来の回転円板とはちょっと違う。特異な格子状の立体形状で排水が貫流できるようになっている。

これによって従来の回転円板装置よりも約4倍高いBOD除去率を達成しているすぐれもの。

しかも100%現地生産。これって重要なこと。


インドネシア都市近郊部の深刻な水質汚濁問題が解消されつつある。


この新しい回転円板装置を、いま水質汚濁が問題になっている中国でもやったらどうだろうか。


ところで、昨年出版された田中直さんのこの本「適正技術と代替社会」(岩波新書)は名著です。排水処理技術に顛末についても詳細に解説されている。

適正技術と代替社会――インドネシアでの実践から (岩波新書)

適正技術と代替社会――インドネシアでの実践から (岩波新書)



【参照】
●APEXのサイト
http://www.apex-ngo.org/

●APEXの排水処理プロジェクト
http://www.apex-ngo.org/kaigai/water.html


●適正技術と代替社会(田中直)
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20120831