「魔法のバケツ」高倉式コンポスト技術

APEX(アペックス)から、「高倉式コンポスト」に関するセミナー(6月11日開催)のお知らせが届いた。

特定非営利活動法人APEX(アペックスAsian People's Exchange)は、インドネシアを中心としてアジアの人々の生活向上や環境保全のための活動をしている国際協力NGO(Non-Governmental Organization)。

1987年の設立以来、インドネシアを主な活動のフィールドとして、排水処理やバイオマスエネルギーの技術開発を行っています。

APEXの活動のユニークなところは「適正技術」。つまり、その国、地域、その土地の環境に適合する技術を活用すること。

「適正技術」とは、その地域の社会風土や人々の生活文化のあり方を重視し、自然環境と調和した等身大の技術。だから、「適正技術」は、たとえば原発のような巨大技術(利権の温床になるような歪な技術)とは真っ向から対立する技術なのです。

今回のセミナーの「高倉式コンポスト」は、典型的な「適正技術」の事例の一つに違いない。

家庭から毎日出る生ごみを堆肥(コンポスト)にする方法は、これまで数多くの方法や製品が出されていますが、この「高倉式コンポスト技術」には、他の方法にはないすぐれた特徴があるようです。


以下、特徴をまとめると、

1.はやい
通常、生ごみコンポスト容器の中で微生物によって分解されて堆肥化するのに1〜2週間はかかる。高倉式コンポストでは、わずか1日。臭いがしなのも特徴。

2.低コスト
特別の菌を買ってきたり、特殊な容器を用意する必要がない。
発酵菌の原料は、家庭にある発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆など)でOKだし、容器はスーパーの買い物かごでOK。(あと、もみ殻や腐葉土が必要)

3.簡単
一度、発酵床(菌床)をつくってしまえば、あとは毎日出る生ごみを刻んで混ぜるだけ。

4.できた堆肥はもちろん家庭菜園や花壇用の貴重な天然肥料になる。


高倉弘二氏が開発したこの「高倉式コンポスト」は、2004年からインドネシアのスラバヤ市におけるゴミ対策事業で大活躍し、ゴミの山は消え、スラバヤ市は緑豊かな美しい街に変わりつつあるという。これまで放置されてきた家庭からのゴミが堆肥として生まれ変わって、その堆肥が地域の緑化をもたらした。資源ごみ活用による好循環が生まれたということ。

この「スラバヤモデル」の劇的ともいえる成功例は、いまや世界中から注目されつつあるとのこと。

すばらしい適正技術ですね。


セミナーの詳細は以下:

途上国をはじめとした、急速な人口の拡大に都市のインフラが追い付かない地域では、ごみ収集システムが未整備であるケースが多く、そのような不衛生な環境は伝染病の温床にもなりえます。

高倉弘二氏は、ジェイペック在職時の2004年より、インドネシアのスラバヤ市においてゴミの堆肥化技術の開発に取り組み、住民との協働により、地域の資源を有効活用し、安価で住民も取り組みやすい「高倉式コンポスト」を完成させました。

現在では海外協力隊をはじめとして様々な地域に実践が広がっている本技術について、その生みの親である高倉弘二氏より、技術的内容や、アジアでの展開における技術の適正化プロセスなどについてお話を伺います。<日時> :2016年6月11日 (土)  14:30〜17:15 (14:15受付開始)<会場> JICA 東京国際センター セミナールーム201
〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-5
<会場アクセス>
京王新線 幡ヶ谷駅下車(南口より) 徒歩8分、
地下鉄千代田線 代々木上原下車(西口より) 徒歩12分
<地図>http://www.jica.go.jp/tokyo/office/access.html

<参加費> APEX会員:300円 一般:800円<講師プロフィール>
高倉 弘二(たかくら・こうじ)
高倉環境研究所代表

1959年生まれ。兵庫県姫路工業大学応用化学科卒業。株式会社ジェイペック若松研究所に在職時の海外技術協力事業を通じ、2004年にインドネシアの廃棄物減量化・資源化プロジェクトにて高倉式コンポストを開発。2016年4月に高倉環境研究所を開設し、現在はコンポスト技術を中心とする資源循環システムづくりや環境学習など、環境分野の活動に広く取り組む。NPO法人北九州ビオトープネットワーク研究会理事。 <主催> 特定非営利活動法人 APEX
http://www.apex-ngo.org/kokunai/semitokyo.html



【参考】

●「魔法のバケツ」の普及につとめる日本人研究者の情熱
https://www.env.go.jp/earth/coop/eco-csrjapan/jpec.html


●高倉式コンポスト技術(タカクラ・メソッド)
http://www.jica.go.jp/kyushu/office/compost_method.html


生ごみコンポスト事業とは(PDFファイル)
http://kitakyushu.iges.or.jp/publication/Takakura/Takakura%20Compost%20Manual(J).pdf