里山資本主義(2)CLTはすごい!

前回の「里山資本主義(1)」のつづきです。
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20131216


里山資本主義」で紹介されていたCLTにはビビッときた。これはなかなかすごいモノじゃないか。

CLTとは、Cross Laminated Timberの略。

CLT建築推進協議会の説明は以下:

CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法となります。CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼びます。なお、日本農林規格JAS)として、直行集成板(案)の名称により制定に向けた協議が進められています。

一般的によく知られている集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向に張り合わせるのに対して、CLTは、繊維方向が直交するように交互に張り合わせていきます。
CLTの特性は、直交積層のため高い寸法安定性が得られます。90〜210mm程度の厚みが一般的で、断熱性に優れ、大判のパネルとして利用することで、高い耐震性を確保することが出来ます(欧州では、幅:3m×長さ:16m程度のサイズで製造されています)。また、板の幅や厚み、強度が集成材に対し幅広く活用できるというメリットもあります。

我が国においては、国産のスギでも、十分な強度を有するCLTパネルを製作できます。さらに、スギは比重が軽く断熱性能が高いことから、CLTに適しているとも考えられ、森林資源が豊富な国産スギの需要拡大の一つとして期待されています。

http://www.clt-kenchiku.org/walbum/?q=grp01


つまりCLTとは従来の集成材とは似ても似つかないまったく新しい木質材料と考えた方がいいだろう。

特性も従来の集成材の概念を超える。

鉄骨やコンクリートに代替し得る新しい「構造材」である。

鉄の半分の重さで同等の強度。

断熱性能に優れ、かつ、燃えにくい(難燃性)。

震度6でもビクともしない耐震性にも優れている。これは実証済。実際、地震国イタリアではCLTを積極的に導入して、7階建てのCLTビルの建築が進行中。ミラノでは13階建てのCLT建築の計画があるとか。

ところで、日本で注目したいのは、杉材の活用。いま40年〜50年前に植林した杉山が荒れて緑の砂漠化している。杉は柔らかい木ですが軽くて断熱性にすぐれているので、CLT技術を活用すれば両者の特性の相乗効果が発揮できる。杉は豊富にあって切り出されるのを待っている。杉を活用すればスギ花粉問題も解消する。製薬会社は困るけど(・。・)ぷっ♪

日本の山から杉を切り出すのはコストがかかって採算が合わない、という声が聞こえてきますが、日本人の知恵と技術力なら十分解決できる問題。やろうとしないだけ。

CLT技術を契機として杉材の積極活用が早期に望まれる。

里山資本主義」やNHKの動画でも登場した岡山県真庭でCLTの製造を精力的にすすめている中嶋浩一郎さんはすごい人だ。

製造段階で発生する木くずを木質ペレットに加工して年間3億円の売り上げを出している。しかも従来廃棄物としてお金を払って処分していた木質廃棄物でバイオマス発電を事業として行っている。自社工場の電気はこれですべてまかなって、さらに余った電気は売電で収益あり。

杉山の有効活用→CLT→木くずでバイオマス発電(コジェネ)→地域に還元

という好循環が生まれる。これこそ里山資本主義。