朝のNHKニュースで山形県の天童木工という会社の杉間伐材の有効利用技術が紹介されていたを見て、思わず目が釘付けになった。
これ↑は柳宗理がデザインしたバタフライスツール。
天童木工の社長さん(名前は失念)、先祖から引き継いだ杉山が荒れているのを見て、なんとかしたいといつも思っていた。そして杉の間伐材を有効利用する技術開発に知恵を絞った。
杉材は密度が低くて柔らかい。スカスカで柔らかい針葉樹は曲げにくい。だから家具を作るのは無理だとこれまで思われてきた。
天童木工の技術者たちは3年にわたる研究と試行錯誤の末に、薄板化した杉材(積層板)に特殊な加圧を施すことによってこの問題を解決した。
そして、従来、曲げ加工は無理だと言われてきたスギやヒノキなどの針葉樹、それも間伐材から優れた強度と繊細な曲面加工が施された家具の製品化に成功。
すばらしい技術だ!
緑の砂漠状態の日本の針葉樹林の再生にもつながる。荒れた杉山が引き起こす土石流災害の防止にもなる。さらに国産材の有効利用が活性化すれば、日本古来からの「山の賑わい」(富山和子)を取り戻すことにもなる。
以下、天童木工のサイトより:
このたび弊社では、日本のスギやヒノキ(針葉樹)を曲げる新たな技術の開発に成功いたしました。
軟らかい針葉樹は「曲げには使えない」と言われてきましたが、約3年の研究を費やし、木材の可能性を追求し続けた結果、繊細なカーブでも家具として耐え得る強度を持たせることができました。(2013年 特許出願)
日本の木材の復活と、森林の健全化を視野に入れたこのプロジェクトの成功は、間伐材の問題を考える当社にとって、とても大事な一歩となりました。
日本の森林が健全に育つことを夢みる私たちは、デザインと技術で森と真剣に向き合いたいと思います。
「日本の杉(間伐材)を曲げ、強度を持った家具にする夢」
技術者達は、軟らかい杉を相手に3年の技術開発を行い、「杉は曲げられない、ムリだ」と 言われながらも、誰ひとりとして諦める技術者はおりませんでした。
(東北人は、本当に粘り強いんです)出来るまでやり続けること。
日本の杉と間伐材に、新たな命を吹き込めたこの技術は、健全な森の再生に一歩近づけのかもしれません。
●プロジェクト:九州芸文館/設計:隈研吾建築都市設計事務所
*国産の杉を使ったインテリア(チェア&テーブル)
【参考】
●天童木工のサイト
http://shop.tendo-mokko.co.jp/shopbrand/008/O/
柳宗理のバタフライスツールは天童木工の技術力がなければ生まれなかった!
●「天童木工」
- 作者: 菅澤光政,川上典李子、猪飼尚司
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2008/03/22
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 7回
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●天童木工の特許出願リスト(公開公報)は以下。ただし、今回のスギの曲げ技術については2013年出願のようですので未だ公開されていない。(ただし、出願から1年半で公開されるので、今年中あるいは来年には公開されて技術の内容を知ることができる。)
1. 特許公開2014−031848 埋込みナット、それを利用した積層部品および椅子
2. 特許公開2014−024200 バンブー集成部品の製造方法、および、バンブー・ステアリングホイールの製造方法
3. 特許公開2008−238494 ステアリング用突板化粧シートの製造方法、および、ステアリング用グリップパーツの製造方法、ならびに、自動車用ステアリングの製造方法
4. 特許公開2001−030915 ステアリング用グリップ部材の突板貼り合せ方法
5. 特許公開2000−127982 ステアリング用グリップ部材
6. 特許公開平11−255129 ステアリングホイール用シート張着構造
7. 特許公開平08−132403 強化繊維化粧板の製造方法
8. 特許公開平08−025302 補強成形化粧板の製造方法