検証(番外)アリとキリギリス(浜矩子)


朝5時台の生島さんのTBSラジオを聞いていたら、電話インタビューで同志社大学の浜矩子(はま・のりこ)教授がなかなかポイントを突いたことを言っていた。

現在「円高」と一般に言われているけれど、円高ではなく「ドル安」が真相である。米ドルが本来の身分相応の価値に戻りつつあるプロセスであって、ドル本来の価値はせいぜい50円。だから、いずれ1ドル50円まで下がるだろう、と言っていた。

けっこういいこと言うじゃん。この一言で浜矩子さんのファンになりました。

これまで米国は、ドル基軸通貨体制を死守するために様々な悪いことを世界中で展開してきた。911自作自演テロとそれに続いて強行したイラク攻撃やアフガニスタン攻撃。さらに自然災害に見せかけた311同時多発テロ

このようなゴロツキのような軍事力を背景にした国家体制が可能だったのは、米ドルが世界基軸通貨だったからです。FRBがドルを刷れるだけ刷りまくって、それを貿易決済通貨に使わせることによって米国に再環流させていたのです。
FRBは政府の組織ではなく私企業であることに注意!)

この米ドル環流メカニズムについては、以下の弊ブログ記事を参考に挙げておきます。

●新帝国循環という日本の国富流出のカラク
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20110808


このような世界の状況をたとえて言うと、アリとキリギリス。

キリギリスの米国はアリである日本やドイツが物づくりで稼いだお金(富)をひたすら横取りするような「からくり」をつくることによって、生きていたのです。吸血鬼よりももっとたちが悪い。他人のお金で裕福な暮らしと軍事力の行使を行っていたのです。


■以下、ネットから拾った浜教授論文からの要約。
http://blogs.dion.ne.jp/ike590/archives/2011-08-2.html

1)1ドル50円時代はどうしても来る。筆者にはどうしてもそう思える。

2)円高肯定論への疑念と忌避の論調は世に多い。その気持ちは解る。だが、問題はそれを肯定するか否定するかではない。どうしても来るものを否定しても始まらないその時何がどうなるかを考えることに意味がある。

3)なぜ、どうしても来る1ドル50円時代なのか。理由が2つある。その1がバランス要因だ。今の地球経済はバランスが大きく崩れている。キリギリス陣営とアリ陣営に2極化してしまっている。

3)キリギリス陣営とは、超メタボ・アメリカである。カネの借り過ぎ、使いすぎ。モノの買い過ぎ、作らな過ぎだ。

4)地球経済が落ち着くには、キリギリスに脱メタボを強要するような通貨関係の変位が要る。すなわち、ドルの購買力が落ちる必要がある。

5)その2が歴史要因だ。「基軸通貨終焉物語」である。この物語は、40年前の1971年8月15日に始まった。ニクソン・ショックの日である。

6)この時、ドルは金との交換性を失い、ドルは通貨の王様ではなくなっていた。世界は見て見ぬふりをしてきただけだ。

7)では1ドル50円時代とは何を意味するのか。ドルの価値が低下するということは、それだけ、世界も日本もドルを必要としなくなることだ。かつて機軸通貨だった英国のポンドにいま誰も関心を寄せないのと同じである。

8)人々があまり使わない通貨なら、その価値がいくら下がろうと、誰も痛くも痒くもない。1ドル時代恐れるに足らず、なのである。



さらに、AさんとBさんの会話。
http://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/20110823/

A:今日の朝日新聞の「耕論」欄の下に小さく、同志社大学大学院教授の浜矩子氏が、1ドル50年時代はどうしても来ると書いているね。

B:ウェブサイトからの記事だね。タイトルは「1ドル50年時代恐るるに足らず」だね。

A:要するにドルの力の低下だね。2つの要因をあげているね。1つは、今の地球経済は、アメリカのようなキリギリス陣営と、日本、中国、ドイツなどのアリ陣営に2極化しているということだね。キリギリス陣営は、カネの借り過ぎ、使い過ぎ、モノの買い過ぎ、作らな過ぎだという。

B:キリギリスをアリが支えてきたが、このバランスが大きく崩壊しようとしている。その調整のためにドル安が必要だという。

A:2つ目は基軸通貨としてのドルの終りだね。今の円高は、ヨーロッパの財政機も背景にあるが、長い目で見ると、ドル安、円高はもっと進むということか。