年末に発行されたばかりの別冊太陽『アンティークジュエリー美術館』をゲット。
冒頭の西岡文彦氏の「芸術としてのジュエリー」が光っている。
我が意を得たり、と言いたくなる見解。
西岡氏によると、ジュエリーとは、
美術史の王座にあって
美と技を牽引する
祈りと願いの結晶体
西岡氏は、暮らしを彩る実用的な工芸品より、用途を持たない絵画や彫刻のような美術品の方が「純粋」で「高級」であるかのように考える価値観は近現代に特有の偏見でしかない、と指摘する。
この近現代の価値観は、わずか200年程度の歴史でしかない。
それ以前の数万年の人類史においては、ジュエリー(宝飾工芸)こそが美術史の王座にあって、美と技を牽引する祈りと願いの結晶体と見なされ、宝飾や装飾こそが人の暮らしをスピリッチュアルな意味において満たすために必須の営みであった。
かつて、ジュエリーこそが芸術であった。これが人類史の真実。
その意味でも、既に失われた宝飾工芸品であるアンティークジュエリーを見なおすことは重要。
ところで、このすてきな記事を書いた西岡文彦氏。現在は多摩美術大学の教授ですが、もともと版画家(合羽刷り)であり、松岡正剛氏の主宰する雑誌『游』の表紙にときどき登場していたをよく覚えています。懐かしい。
宝石商にして世界的なアンティークジュエリーのコレクターである有川一三氏や宝飾史研究家の山口遼氏の文章やコラム記事も貴重。
国内のアンティークジュエリー博物館やアンティークジュエリーショップの紹介記事もありがたい。
宝飾工芸に興味のある人にとっては永久保存版かも。
【参照】
以下↓は、一昨年、伊豆高原のアンティークジュエリーミュージアムを訪れたときの幣ブログ記事。別冊太陽でも紹介されています。
●アンティークジュエリーミュージアム(伊豆高原)
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20161001