「日本の平和を守るため」
だとか
「中国の軍事的脅威に備えるため」
だとか
「他国に侵略されたときに備えるため」
だとか、
安倍政権の言っていることは、すべてマヤカシ。
これまで数えきれないウソをついてきましたが、ウソをウソで塗り固めた安保法案(=自衛隊の米軍傭兵化法案)がとうとう可決されてしまった。
これで、アメリカ(正確にはアメリカを支配する軍産複合体ないし米戦争屋ネオコン勢力)が1992年に始めた世界規模の戦争ビジネスに日本が組み込まれることになりそうです。
以下、櫻井ジャーナルの総括記事:
●1992年に世界規模の戦争を始めた米国の戦争マシーンへ日本を組み込むための戦争法案を成立へ
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201509170000/日本の支配層は自国をアメリカの戦争マシーンへ組み込もうとしている。「安全保障関連法案」もそのために成立させようとしているわけで、「日本は平和」で「侵略された場合に備える」ための法案だとする説明は根本的に間違っている。日本の同盟国だというアメリカが1992年に始めた世界規模の戦争に参加することになる。
アメリカはユーゴスラビア、アフガニスタン、イラクを先制攻撃、リビアやシリアはアル・カイダ系戦闘集団やIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISISやダーイシュなどとも表記)、ウクライナはネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を利用して体制転覆を図ってきた。ラテン・アメリカやアフリカでも秘密工作は続いている。
週刊現代によると、安倍晋三首相は6月1日、官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安保法案は「南シナ海の中国が相手」だと語ったという。オフレコという約束を守って懇親会に出席したマスコミのキャップたちは報道しなかったようだが、週刊誌が伝えた。これまでの流れを見て、安保法案が中国との戦争を想定していると考えている人は少なくないはずで、矛盾はない。
アメリカのネオコン/シオニストは1991年12月にソ連が消滅すると、自国は「唯一の超大国」になったと信じ、潜在的なライバルを潰すと同時に新たなライバルを生み出すエネルギー資源が眠る西南アジアを制圧しようと考えた。そうした発想が国防総省で作成されたDPGの草稿に反映されている。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だが、支配層の内部にも危険だと考えた人がいるようで、有力メディアにリークして広く知られるようになった。
問題になったことでこの時は書き換えられたようだが、考え方は消えず、2000年にはネオコン系シンクタンクのPNACがDPGに基づく報告書「米国防の再構築」を発表している。DPGはリチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ次官、I・ルイス・リビー、ザルマイ・ハリルザドらが書いたというが、PNACの報告書の執筆陣の中にウォルフォウィッツ、リビーは含まれている。そのほか、ウクライナのクーデターを現場で指揮していたビクトリア・ヌランド国務次官補の結婚相手であるロバート・ケイガン、イラクへ軍事侵攻する前に偽情報を流していたOSPの室長だったエイブラム・シュルスキー、さらにステファン・カムボーン、ウィリアム・クリストルといったネオコンの大物たちが名を連ねていた。
2001年に発足したジョージ・W・ブッシュ政権は、その報告書に基づく政策を推進することになるが、それを可能にした出来事がある。2001年9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だ。
この攻撃を口実にしてブッシュ・ジュニア政権は2003年にイラクへ軍事侵攻するのだが、サダム・フセイン政権は「9-11攻撃」と無関係だった。攻撃の直後、アメリカ政府は調査もせずに「オサマ・ビン・ラディンが率いるアル・カイダ」が実行したと宣言するが、そもそもアル・カイダは戦闘員の登録リストであり、戦闘集団ではない。イラクが「大量破壊兵器」を保有、あるいは製造しているとする話も嘘だった。日本の政府やマスコミもアメリカ政府の主張が嘘だということぐらいわかっていただろう。
本ブログでは何度も書いているように、ロビン・クック元英外相によると、「アル・カイダ」とはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルで、アラビア語で「ベース」を意味、「データベース」の訳語としても使われる。
このオサマ・ビン・ラディンはサウジアラビアの富豪一族に属し、ズビグネフ・ブレジンスキーの秘密工作でソ連軍をアフガニスタンへ引き込んだ際、ソ連軍と戦う戦闘員を集める仕事をしていたとされている。彼を工作の世界へ誘ったアブドゥラ・アッザムはサウジアラビアのアブデル・アジズ国王大学で教えていたことがあるのだが、そこでの教え子のひとりがオサマ・ビン・ラディンだった。その教え子は戦闘集団を指揮した事実もないようだ。
アメリカ軍はイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃したのだが、戦闘は泥沼化してアメリカ国内でも反発が強まる。それ以降、体制転覆をアル・カイダ系の武装集団が仕掛けることになる。
リビアへの軍事侵攻ではアル・カイダ系の戦闘集団LIFGとNATOとの同盟関係が明白になり、ムアンマル・アル・カダフィが2011年10月に惨殺された直後、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた(その1、その2)のは象徴的だ。
リビアでカダフィ体制が崩壊した後、アル・カイダ系の戦闘員はシリアなどへ移動、武器も運ばれた。DIA(アメリカ軍の情報機関)が2012年8月に作成した文書によると、シリアにおける反乱の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールといった国々は「テロ支援国」だと指摘されているが、DIAも基本的に同じ見方をしている。
シリアではアル・ヌスラというアル・カイダ系の武装集団が活動していることになっているが、この名称はAQIがシリアで活動するときに使っていたとDIAは説明、そのAQIは2004年に組織され、06年にAQIが中心になって編成されたのがISI。今ではISと呼ばれている。本ブログでは何度も書いているように、このISは現在、トルコ政府に操られている。
キール・リーバーとダリル・プレスがロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるとフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)に書いた2006年当時、アメリカの好戦派はまだ自らの軍事力を過信していたのだろうが、08年にその鼻っ柱をへし折られる。
この年の7月10日にアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージア(グルジア)を訪問、8月7日に同国のミヘイル・サーカシビリ大統領は南オセチアを奇襲攻撃するのだが、ロシア軍の反撃で惨敗する。何年にもわたってイスラエルやアメリカから兵器を供給され、将兵の訓練を受けていたジョージアだが、ロシア軍の敵ではなかった。作戦はイスラエルが立てたとも推測されている。この段階でアメリカの好戦派はロシア軍に正規戦を挑むことは得策でないと判断しただろう。
アメリカはすでに生産能力がなく、富の集中で大多数の国民は疲弊、ロシアと中国を中心とする国々はドル離れを明確にし、ロシアにダメージを与えるはずだった石油価格の急落はアメリカのシェール・ガス/オイル業界を崩壊させようとしている。軒並み倒産しても不思議ではない状況なのだが、ゼロ金利政策で経営破綻が表面化していないだけだという。そこで、連邦準備制度理事会が9月に金利をどうするかが注目されてきた。こうした問題を伏せ、中国経済の先行きは暗いというプロパガンダをマスコミは繰り返しているが、救いがたい連中だ。
基軸通貨のドルを発行できるという特権で生きながらえてきたアメリカ。その特権をアメリカは失おうとしている。あらゆる手段を使い、ロシアと中国を屈服させなければアメリカは破綻国家になるということでもある。アメリカの覇権戦争は自らの生き残りをかけた「世界大戦」へ変質している。その大戦へ日本も参戦しようとしているわけだ。
●2003年に米国政府は「存立危機事態」だとしてイラクを先制攻撃したが、攻撃のための嘘だった
2003年3月、アメリカ軍はイギリス軍などを引き連れ、イラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した。攻撃の口実にされたのは大量破壊兵器。イギリスのトニー・ブレア政権は2002年9月に「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書、いわゆる「9月文書」を作成、その中でイラクは45分でそうした兵器を使用できると主張、03年1月にアメリカのコンドリーサ・ライス国家安全保障問題担当補佐官は、キノコ雲という決定的な証拠を望まないと語っている。今にもフセインが核攻撃するかのような発言。安倍晋三政権流に言うなら「存立危機事態」だ。しかし、イラクに大量破壊兵器は存在しなかった。そうした事実をイギリス政府もアメリカ政府も承知していたが、イラクを攻撃してフセインを排除するため、嘘をついたのである。日本の政府もマスコミも大量破壊兵器話を事実であるかのように主張していたが、本気で信じていたわけではないだろう。この件について、政府もマスコミも「説明責任」を果たしていない。
フセインの排除は1980年代からイスラエルやネオコンが主張していた。1991年1月にアメリカ軍はイラクに侵攻したが、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はサダム・フセインを排除しないまま湾岸戦争を終わらせているが、これに怒ったポール・ウォルフォウィッツ国防次官はイラク、シリア、イランを5年から10年で殲滅すると口にしていたという。
1992年に作成されたDPGの草稿、いわるゆ「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」は世界制覇計画と言える代物。前年12月にソ連が消滅、アメリカの支配層はロシアを属国化することに成功、中国のエリートも手なずけ、アメリカは「唯一の超大国」になったと考え、潜在的ライバルを潰すことにした。旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアだが、それだけでなく、ライバルを生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアも支配しようとする。
1999年にアメリカはNATO軍を使ってユーゴスラビアを攻撃、その際にスロボダン・ミロシェビッチの自宅や中国大使館も爆撃している。中国大使館を爆撃したのはB2ステルス爆撃機で、目標を設定したのはCIA。3基のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃している。
ウォルフォウィッツがイラク、シリア、イランを殲滅すると発言してから10年後、つまり2001年、アメリカにはネオコンが担ぐジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した。ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのは、その年の9月11日だった。
調査もしない段階でブッシュ政権は「アル・カイダ」が実行したと宣伝、アル・カイダ系武装集団とは敵対関係にあったフセインを攻撃する口実に使う。論理は破綻しているのだが、2003年にイラクは攻撃された。2011年にNATO軍はアル・カイダ系のLIFGと手を組んでリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を破壊、カダフィを惨殺した。
同時にシリアでも傭兵を投入して体制転覆を図る。DIA(アメリカ軍の情報機関)が2012年8月に作成した文書によると、シリアにおける反乱の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けている。アル・カイダ系武装集団にはサラフ主義者やムスリム同胞団が多く、シリアの反政府軍はアル・カイダ系だということだ。
細かくは書かないが、アメリカは侵略戦争を続け、ロシアや中国を恫喝してきたが、そうした脅しに屈する相手ではない。当初は世界制覇を目指す戦争だったが、その過程でロシアと中国の関係が緊密化、両国を中心とする国々が同調してアメリカは存亡の危機に直面している。今では自らの生き残りをかけた「世界大戦」だ。
アメリカの支配層があくまでも世界制覇を目指すなら、ロシアや中国と軍事衝突、つまり核戦争に発展しても不思議ではない。「存立危機事態」かどうかを判断するのは日本政府でなくアメリカ政府だろうが、そうなると1983年1月に中曽根康弘が言ったように、日本はアメリカの「巨大空母」として、原発を抱えながら戦うことになる。戦争は動き始めたら止めることが困難。
週刊現代のサイトによると、6月1日に開かれた官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安倍晋三首相は「安保関連法制」は「南シナ海の中国が相手」だと口にしたという。この情報が正しいなら、安倍首相は事態を理解した上で、戦争の準備を進めていることになる。