キュッパのびじゅつかん展(東京都美術館)

上野の東京都美術館に「キュッパのびじゅつかん展」を見に行ってきました。(10月4日までやってます)

建築設計修行中の長男に招待券をもらったので、これ幸いと家族で出かけました。(展示会場のデザインのお手伝いをしたらしい)




キュッパとは、ノルウェーの新進絵本作家オーシル・カンスタ・ヨンセンの絵本『キュッパのはくぶつかん』の主人公の名前。キュッパは物集め(収集癖)がハンパない丸太の男の子。キュッパの原語kubbeはノルウェー語で「丸太」の意味。


この子は、森羅万象、自然物か人工物かを問わず、ありとあらゆるものを拾ってきては並べて喜んでいる。モノを集めて並べたり見つめたりするのが楽しいのだ。

これってまさに現生人類が進化の過程でやってきた根源的な行為ではないだろうか。

人間はなぜモノを集めるのか?

動物でもモノを拾って一か所に集めて貯蔵したりするのがいるけれど、それらを分類したり特定のコンセプトのもとに体系化するなんてことは絶対しない。


ただ集めるだけではなく、それを分類したり体系化したりする。

それが博物学の起源であり、科学的思考や技術的思考の起源にも関連しているのではないだろうか。


このテーマについてはしばらく考えてみようと思う。


ところで、この絵本の作家オーシル・カンスタ・ヨンセンさんって女性だったのですね。なかなかのノルウェー的美女です。

オーシル・カンスタ・ヨンセン
Åshild Kanstad Johnsen
1978 年 ノルウェー、ベルゲン生まれ。アーティストである父の影響もあり、幼少期より絵を描きはじめ、ベルゲン国立芸術大学に入学しデザインを学ぶ。木の枝や、木の根っこを収集する趣味から、それらを模写するようになる。デビュー作である『KUBBE LAGER MUSEUM』(日本語題:キュッパのはくぶつかん)は、母国ノルウェーだけでなく、フランス、スウェーデン、ドイツ、韓国でも高い評価を得ている。続編に『キュッパのおんがくかい』。


この美術展は、テーブルに雑然と置かれた1000点以上の未整理のモノたちを、自分で集めて、自分で分類して、それを一つのコンセプト(タグ)にまとめた標本箱を作る、という体験コーナーがとてもいい。我々もやってみたけれど、夢中になってしまった。ちっちゃい子供たちも嬉々として自分の標本箱作りを楽しんでいたのが印象的。


過去のさまざまなコレクション事例の展示コーナーもあります。自分的に興味を惹かれた蒐集例は宮澤賢治の石のコレクション(岩手大学所蔵)。宮澤賢治は鉱物や宝石が大好きだったことは有名。(彼は東京に出てきて人造宝石を作ろうとしたけれど父親に止められて断念した、という話を読んだ記憶がある。)

以下、ツイッターから拝借。

宮澤賢治採集の石》石が好きで「石っこ賢さん」というあだ名で呼ばれるほどの宮澤賢治。自然の事物を見つめ、新鮮な驚きを味わい、神秘さや不思議さに目をみはる賢治の感性は、私たちに多くのすばらしい作品を残してくれています。

https://twitter.com/kubbe_tobi



今回の展示をうまくまとめておられるブログ↓を見つけました。

東京都美術館 キュッパのびじゅつかん展
http://kabakabaryokounikki.hatenadiary.com/entry/2015/08/06/000000

【参照】

展覧会場設営の模様。
●kubbe bigdatana0820 QuickTime H 264
https://www.youtube.com/watch?v=THYFkmUP9OM


●キュッパの特設サイト
http://kubbe.jp/intro/story.html

東京都美術館
http://kubbe.tobikan.jp/information.html

展覧会概要
子供の頃、お気に入りの物を詰め込んだ「宝箱」を作った記憶が誰しもあるように、物を集め並べる行為は、人間の根源的な喜びに通じているようです。この展覧会の出発点となる、ノルウェーの新進作家オーシル・カンスタ・ヨンセンが描く絵本『キュッパのはくぶつかん』の主人公キュッパも、物集めが大好きな丸太の男の子です。
この展覧会は「物を見つめ、集め、並べてみることから始まる、私たちの住む世界とのコミュニケーション」がテーマです。『キュッパのはくぶつかん』のお話を導入にしながら、物を収集する過程の、そのワクワクした気持ちが伝わってくるようなコレクションや、何かを観察し、収集し、並べることを含むアーティストの作品を紹介します。
今回の展示の特徴は、自然科学系、歴史系、美術系などのカテゴリーを超えて展示物が選択されていることと、参加・体験を伴う作品が多いことです。展示室ではキュッパのように自分の周りに広がる世界をクリエイティブに観察し、誰かとまなざしを共有する楽しさを体験することができます。

キュッパのはくぶつかん (福音館の単行本)

キュッパのはくぶつかん (福音館の単行本)

キュッパのおんがくかい (福音館の単行本)

キュッパのおんがくかい (福音館の単行本)