先日聴いたNHKラジオ深夜便の柳生博(やぎゅうひろし)さんへのインタビュー(朝4時台)はなかなかよかった。
「確かな未来は、懐(なつ)かしい風景の中にある」
柳生さんが番組の最後に言われたこの言葉にビリッときた。
柳生さんは1937年(昭和12年)生まれだから今年で75歳か。日本野鳥の会の会長やコウノトリファンクラブ会長でもある。
子供たちがまだ小さかった頃(三男はベビーカー状態)、八ヶ岳に行ったときに柳生さんの経営する八ヶ岳倶楽部に立ち寄ったことがある。柳生さん本人と奥様にお会いしてほんの少しだけお話させていただいた、そのときの記憶が蘇る。
3年前に柳生博さんの本について少しふれたことがあった。
●柳生博「八ヶ岳倶楽部II」
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20090828
柳生さんは70歳を過ぎるころから感性と感受性がますます研ぎすまされて鋭くなっている、毎日が新しい発見の連続です、と語る。歳を経るほど鋭くなっていく感覚があるってことか。楽しみだ。
「確かな未来は、懐(なつ)かしい風景の中にある」
この言葉を聞いて、明治時代に英国の女流旅行家イザドラ・バードが日本の東北地方を中心に旅をしたとき、日本の風景の美しと人々の温かさに驚いた話を思い出した。
おそらく、以下のような懐かしい風景の中にこそ、確かな未来がある。
農薬の無い頃の水田風景(現在では岩澤さんの不耕起冬期湛水の水田がそれだ)
雑木林(セカンドネイチャーとしての雑木林は「コモンズ経済」のすぐれたモデル)
里山と里川(健康な国土の基盤である)
これらはいずれも過ぎ去った風景でしかないかもしれないが、これらの風景の中にこそ確かな未来がある。
これはおそらく間違いがないことだ。