水車復活!

今日はこどもの日なので、陰謀論はお休みして、水車復活に関するウキウキする話題です。

30年くらい前に読んだ室田武氏の「水車の四季」という美しい本のことはよく覚えている。


室田武氏の「水土の経済学」や「雑木林の経済学」や「エネルギーとエントロピーの経済学」を耽読し、ディープなエコロジー思想に目覚めた。「風土」という言葉よりも「水土」の方が断然いいと思っていた。今も。


その頃はたしか一橋大学ミクロ経済学を教えていた室田先生はまだ生きているのだろうか?

日本ほど水車を活用した小水力発電に向いている国はないのではないかと思っていた。諸外国にくらべて急峻な河川が多いという日本特有の水土の利点を生かせるからだ。

ダムで貯水する方式の大水力発電ではなく、川の流れのお裾分けをいただいて電力にする小規模の水車発電。あるいは水車の機械的エネルギーをそのまま動力として活用する(挽き臼など)。

集中方式ではなく分散型の地産地消自然エネルギー活用にも好適。塵も積もれば山となる。


江戸時代から昭和の初期まで水車は日本のあちこちで大活躍していた。美しい水車の原風景。技術は美しくなければならない。

水車は日本の水土に根ざした究極の適正技術ではないだろうか。

その水車が復活しつつある。

3.11以降、脱原発の流れから小水力発電ないしマイクロ水力発電が脚光を浴びつつある。とても好ましい傾向ではないか。

たとえば、以下のニュース記事にあるように、数年前に弊ブログでも紹介したことがあるシーベルインターナショナルの「流水式水車」は引き合いと注文が殺到しているそうです。


■過去の弊ブログ「水車」関連記事は以下↓
http://d.hatena.ne.jp/gyou/searchdiary?word=%BF%E5%BC%D6

■シーベルインターナショナルのサイトは以下↓
http://www.seabell-i.com/stream-guide.html


リンク切れになるかもしれないので、以下、ニュース記事を貼り付けておきます。

流水で水車回す小水力発電 震災・原発事故を機に脚光
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120501-00000502-fsi-bus_all

 シーベルインターナショナル(東京都千代田区)の開発した小水力発電「ストリーム」が、東日本大震災原発事故をきっかけに一躍注目を集めている。全国の上下水道や工場排水などの水路に簡単に設置でき、発電性能に優れているからだ。海外約30カ国以上から引き合いがあり、同社はストリームの受注目標を2012年度に約3億円以上、13年度には3倍以上の10億円と見込む。

 ストリームは、水路に2メートル程度の高低差があれば、流水の勢いで効率よく2つの水車を回して発電する。装置の大きさは、発電力15キロワットクラスで横1.8メートル、高さ1.5メートル、奥行き1.8メートル。1基分で、一般家庭10〜20軒分の安定した電力が供給できるという。これまで、鳥取県秋田県、栃木県など全国の自治体で採用されたが、二酸化炭素(CO2)排出量の削減目的の実証実験という扱いで、「ビジネスとしての注目度は低かった」(海野裕二社長)。

 しかし、昨年3月の東日本大震災以降、原子力、石油に依存してきた日本のエネルギー政策が見直され、水力や風力などの再生可能エネルギーが注目されている。ストリームの受注実績は、09年度が約1億円、10年度が約1億2000万円、震災の影響で11年度は8500万円に落ち込んだが、震災後、同社への問い合わせが数十倍に増えた。

 ストリーム1基の発電力は0.5〜40キロワットと小さいが、何百基と設置すれば、チリも積もれば山となる。“地産地消”の小規模電源としてクローズアップされた。

 国内では、今年7月から再生可能エネルギー全量買取制度が導入されることもあり、水路を管理する地方自治体や土地改良区などが収益源として設置を検討している。火力発電所などでは大量の冷却水が使われており、この冷却水を通す水路にストリームを設置することも検討されている。

 海外でも昨年から本格展開しており、韓国やインドなどに設置実績がある。アジアの農村部には非電化地域も多く存在しており、「2000万〜1億円で設置できる地域完結型ビジネス」(野村リサーチ・アンド・アドバイザリーの平沼亮氏)としての需要が期待できる。

 このほか、欧州の大手水処理メーカーからも照会が来るなど、将来の計画段階を含めると30カ国以上からの問い合わせがある。

 シーベルインターナショナルは、15キロワットクラスのシステム全体で約800万円の価格を、インドや韓国のメーカーに委託製造することなどでコストを下げ、2年後に500万円に引き下げる目標を掲げている。(鈴木正行)


水力発電:虹の懸け橋 糸島市と九大、研究連携事業 水車発電プロジェクト公開−−白糸の滝 /福岡 (毎日新聞 4月30日(月)12時9分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120430-00000108-mailo-l40

 糸島市白糸の「白糸の滝」にある水車(直径3メートル)を使った小水力発電プロジェクトが29日、公開された。市の九州大学研究連携事業で、将来は地元が運営する観光施設や集落全体の電力を賄う計画や構想もある。
 プロジェクトは、九大工学研究院の島谷幸宏教授(河川工学)らが担当し、回転数を増やすギアと発電機を取り付け、水車を回し発電する仕組み。公開イベントでは、水車横の橋に発電した電気を利用してLEDで“虹”を作ったり、九大エネルギーサークルが超小型水力発電機で発生させた光で文字などを描いて見せた。島谷教授は「水は地域に根ざしたエネルギー。小水力発電が白糸からスタートすることに意義がある」と話した。
 水車による発電量は毎時500ワットだが、プロジェクトでは12〜13年度に水車横の川付川の落差20〜25メートルを利用した発電システム(毎時8キロワット)を開発し、観光施設「白糸の滝ふれあいの里」の年間消費電力約7万キロワット(約140万円)を賄う。
 更に、滝から白糸集落までの100メートルの落差を利用した発電システム(毎時40キロワット)を開発し、集落38戸の電力を賄い、余った電気は売電する構想もあり、島谷教授は「有望だ」と話している。【竹田定倫】
〔福岡都市圏版〕4月30日朝刊


滝でエコ発電、精米用水車も復活させ…福岡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120428-00000525-yom-soci
読売新聞 4月30日(月)12時33分配信

水力発電に利用される水車(福岡県糸島市の白糸の滝で)=脇田隆嗣撮影

 福岡県糸島市にある県指定名勝「白糸の滝」からの水流を利用した小水力発電の計画が進んでいる。
 市と九州大、地元の白糸行政区がスクラムを組み、滝の下流3か所に取り付ける発電機で地区の観光施設や三十数世帯の電力を賄う。東京電力福島第一原発事故後、注目が集まる再生可能エネルギーを核に、地区全体をエコパーク化する構想で、29、30日には現地で発電機を公開するイベントを開く。
 白糸の滝は福岡、佐賀県境にある羽金(はがね)山(900メートル)の中腹、川付(かわつき)川の上流に位置し、高さ24メートル、幅14メートル。
 今回の計画は、滝を中心にした「持続可能な地域づくり」を目指し、市が昨年度、九州大大学院工学研究院環境社会部門の研究室に100万円を助成し、共同研究として始まった。
 発電機の一つは、滝付近で使われなくなっていた精米用の木製水車(直径約3メートル)を利用。水車の軸に回転を増幅するギアや発電装置を取り付け、発電の仕組みを学べる場にもする。
 二つ目は、その下流で落差20〜25メートル、毎秒0・05立方メートルの流量を利用し、発電容量は6〜8キロ・ワット時。今年度に設置予定で、毎年十数万人が訪れ、年間約7万キロ・ワット時(約140万円)を消費する観光施設「白糸の滝ふれあいの里」に供給する。
 さらに下流の三つ目は、落差80〜100メートルで同じ流量の水を使い、発電容量30〜40キロ・ワット時。2014年度をめどに設置し、白糸行政区の三十数世帯での利用や売電を考えているという。 最終更新:4月30日(月)12時33


水力発電所「元気くん」に注目 3号は開放型らせん水車
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120408/cpc1204081701000-n1.htm

「小水力発電のまち」を掲げる山梨県都留市のシンボル的存在で、3カ所目の家中川(かちゅうがわ)小水力市民発電所となる「元気くん3号」が市役所(同市上谷)近くに完成し、この春に本格稼働を始めた。東日本大震災原発事故以降、「エネルギーや発電に対する関心の高まり」(都留市政策形成課の秋山英一郎主事)から、小水力発電所への視察者数が急増している。
 同課によると、平成23年度の視察者数は2475人と、22年度の1330人から倍近くに増えた。とくに県外からの視察者が2035人(22年度1054人)と圧倒的に多い。新設の3号が視察可能となった年明け以降も、福島県会津若松市議会、福島市議ら被災地を含む全国から視察者が訪れたという。
 元気くん1号は市庁舎前の家中川に、2号はその300メートル下流に設置。水車の力で生まれた電気は市役所の受電設備を介し、市役所や周辺のエコハウス、植物栽培施設の電力に使われ、電気使用量の少ない土日曜日に発電した電気は売電にも回している。

 河川工事などで発電できなかった期間を除く1、2号の発電総量は、市役所と周辺施設で使われる年間電力の約4割に上り、これに3号が加わると、5割程度に押し上げられる計算になるという。
3号は長さ約7メートル、直径1・6メートルの「開放型らせん水車」という形式。上流の水を鉄製のブレード(スクリュー)が受けて発電する。最大出力7・3キロワットで水の落差1メートル、最大使用水量は毎秒約1トン。

 木製の下掛け水車の1号(最大出力20キロワット、落差2メートル)、上掛け水車の2号(19キロワット、3・5メートル)と異なる形式で規模は小さい。しかし、少ない落差で発電できるほか、大規模な導水路も必要なく、場所を選ばず、設置も容易というメリットがあるという。
 水車のスクリューの回転速度は1分間に約37回。ギアを組み合わせた増速機を介して約1500回転まで上げて発電機盤に伝える。
 都留市には「環境学習ができる町」として修学旅行の訪問先に検討したいという問い合わせもあり、市政策形成課の秋山主事は「元気くんというハードを生かして交流人口を増やし、観光などの面で市民に利益を還元したい」と話す。
 都留市家中川小水力市民発電所 元気くん1号は平成18年、2号は22年に稼働開始。3号の設置費約3千万円は山梨県地域クリーンエネルギー導入促進事業費補助金を財源としている。市役所庁舎前を流れる家中川は古くからの農業、生活用水で、とくに夏場の水量が豊か。この地域の江戸期の基幹産業、絹織物生産の動力源にも水車が用いられたという。