ひどい仕打ちを受けた大坂なおみ 「セリーナはテニス界のヒラリー」だった(木村太郎)

大坂なおみさんの快挙にちょっと感動した。
女王セリーナのおかげで試合展開は前代未聞。異常でした。

なおみさんは、アウェイとブーイングの嵐の中で、自己の精神をよく統御し、本当によく頑張った。まだ二十歳なのに。


勝者を称えるべき表彰式も異常だった。

審判に対する批判とセリーナ敗北に対するブーイングの嵐は収まらない。

後に審判の判断は正しかったことが明らかになる。謝罪すべきは、審判を罵倒し、ラケットを叩きつぶしたセリーナの方なのだ。


ブーイングが残る表彰式で、なおみさんは泣きながら、自分の素直な気持ちを吐露する。これが感動的でした。(9:40〜)

[FULL] 2018 US Open trophy ceremony with Serena Williams and Naomi Osaka | ESPN



以下、木村太郎さんの記事。

●ひどい仕打ちを受けた大坂なおみ 「セリーナはテニス界のヒラリー」だった
木村太郎
https://www.fnn.jp/posts/00360970HDK

テニスの全米オープンで優勝した大坂なおみさんに対する対戦相手のセリーナ・ウィリアムズ選手や関係者、ファンの仕打ちは本当にひどいものだった。

既に報じられているように、試合はなおみさん優勢の中でウィリアムズ選手が度重なる違反とそれに抗議して審判に暴言を吐き、それに呼応するファンのブーイングで何度も中断された。

なおみさんは90%アウエーの状態でも冷静さを失わず、強烈なサーブで試合は幕を閉じたのだが、ファンはその試合結果を受け入れない意思表示のブーイングを続け、それはなおみさんに向けられたのも同然だった。

表彰式も異例だった。
ファンのブーイングが続く中で全米テニス協会のアダムス会長は優勝者を称える前にまずこう挨拶した。

「この結果は私たちが考えていたのと違ったのかもしれません。しかしセリーナ、貴女はチャンピオン中のチャンピオンです」
なおみさんに対して同会長は「ナオミ、貴女もチャンピオンで将来の力でしょう」と言ったに過ぎなかった。

「セリーナはテニス界のヒラリー・クリントンだ」

Spectator USAより
全米オープンがナオミ・オオサカに対して恥ずべきことをした」
地元の大衆紙「ニューヨーク・ポスト」はこの試合をこういう見出しで伝えた。


なぜこんなことになったのか、米国のメディアやインターネット上で検証していると、こんな記事をニュースサイト「スペクテーターUSA」にみつけた。
「泣き言を言うセリーナ・ウィリアムズはテニス界のヒラリー・クリントンだ」

筆者は評論家のロジャー・キンボール氏で、この試合の観客は誰もがウィリアムズ選手が勝つと期待しており、賭け屋の賭け率もそうだったのになおみさんはそれを覆してしまい「ほろ苦い勝利」を味わうことになったと言う。
「紳士と淑女のゲームだった時代の終焉か」

その予想外の勝利は、一昨年の大統領選で多くが予想し期待していたヒラリー・クリントン候補が敗れたのに酷似しているとキンボール氏は指摘し、以後ウィリアムズ選手をヒラリー・ウィリアムズとして記事を続ける。 

「ヒラリー・ウィリアムズは審判が試合を盗んだと非難し『謝れ!』と叫んだ」

本物のヒラリーさんも、大統領選はロシアの不法な介入に盗まれたと言い続けており、トランプ選対とロシアとの「陰謀」を暴くよう求めている。

「観客もメディアの解説者達も彼女側についた。本来は単なるルール適用の是非だったはずだが、(ウィリアムズ選手が判定を女性蔑視と主張したことで)それを越えた問題として扱われることになってしまった」

これも、本物のヒラリーさんが自らの実力不足を棚にあげて他人のせいにし、民主党の支持者達もトランプ大統領の弾劾を叫んでいるのと同じ構図に見える。

キンボール氏は最後に、真の不公平はなおみさんを襲ったスポーツマンシップに欠ける騒ぎだったとして次のように記事を締めくくっている。

「かつて、テニスというスポーツは紳士と淑女のゲームだったが、セリーナ・クリントンと彼女のファンやサポーターの行為はその時代はもはや過ぎ去ったことを物語っている」
(執筆:ジャーナリスト 木村太郎