反グローバリズムの起点になる英国民EU離脱決定

もともとEU離脱派に対するガス抜きのつもりだった英国国民投票。おおかたの予想ではEU残留でしたが、離脱派が勝利するとは、想定外でした。

テレビ報道やロイターの記事によると、開票集計は監視の下での「手作業」だったようです。しかも、マスコミによる出口調査も、誤差が大きすぎるという理由でまともに行われなかったそうです。出口調査だけで当選確実を決めてしまう日本の選挙とずいぶん違いますよね(・。・)ぷっ♪

機械集計であれば「僅差でEU残留派勝利」という結果になっていたかもしれませんが、英国国民は、恣意的な不正が行われる可能性のある機械やコンピュータ集計を許さなかったということでしょうか。


そして、賢明な英国国民は、強欲巨大資本が世界市場から収奪し尽くすための「グローバリズム」の流れにマッタをかけた。


EU残留を主張する資本家は、「移民の増加を嫌うEU離脱派は外国人排斥派である」というプロパガンダを広めようとしたが、英国国民(主権者)は騙されなかったということだ。

反グローバリズム起点になる英国民EU離脱決定
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-9c1b.html


ところで、そもそもEUとは何だったのか? については、以下の櫻井ジャーナルさんの記事に簡潔にまとめられていて勉強になります。

EUの前身であるEC(欧州共同体)の幹部たちのほとんどは旧貴族(堀田善衛著『めぐりあいし人びと』集英社、1993年)。

そしてこの旧貴族をカネと暴力で支配しているのが米英の支配層(強欲資本家)。つまり、もともとEUとは、強欲資本家たちに都合のいい収奪システムのようなものであり、「グローバリズム」という心地よい言葉で市場を支配するための仕組み。民主的と言い難い組織。

植草一秀氏が指摘しているように、今回の英国民の決断によって、欧州では各国でユーロ離脱の動きが活発化するだろう。ギリシャ、スペイン、イタリア、デンマークやオランダ等々。

今回の英国民EU離脱決定は、反グローバリズムの動きの起点になる可能性大ですね。


EUからの離脱を問う英国の国民投票は欧米支配層の意に反して離脱派が勝利、支配層は反撃へ
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201606240000/
 6月23日にイギリスで実施されたEUからの離脱を問う国民投票は離脱派が勝利したようである。投票日の直前になって離脱を支持する人の率が急に伸び、残留を望んでいた支配層は慌てていた。そこでジェイコブ・ロスチャイルドジョージ・ソロスのような富豪は有力メディアで離脱すると不利益を被ると庶民を脅迫、14日付けのフィナンシャル・タイムズ紙には、国民投票の結果を政府は無視できるという主張が掲載されている。16日には残留派のジョー・コックス下院議員が射殺され、日本のマスコミは今回の事件が国民投票に影響を与えるのは必至だと宣伝していたが、そうした動きは見られなかった。

 EUからの離脱はイギリス以外の国でも議論されている。EUは少なからぬ問題を抱えているからだ。例えば、EUへ参加した国々は移民の大量流入による財政負担の増大に苦しみ、労働環境は悪化、それに伴って犯罪が増大することになる。しかもイギリス以外の国は通貨発行権が剥奪され、自国の事情に沿った政策を実施することが困難だ。TTIP(環大西洋貿易投資協定)も人びとにEU離れを促しているだろう。

 EUは1993年のマーストリヒト条約発効に伴って誕生した。その前身であるEC(欧州共同体)について堀田善衛はその「幹部たちのほとんどは旧貴族です。つまり、旧貴族の子弟たちが、今ではECをすべて取り仕切っているということになります。」(堀田善衛著『めぐりあいし人びと』集英社、1993年)と書いているが、その旧貴族をカネと暴力で支配しているのが米英の支配層。EUは民主的と言い難い組織なのである。

 本ブログでは何度も書いてきたが、イギリスのロンドン(シティ)は金融の重要な拠点として機能、1970年代からロンドンを中心にしたオフショア市場/タックス・ヘイブンのネットワークを張り巡らせてきた。そのネットワークにはジャージー島ガーンジー島マン島ケイマン諸島バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島ジブラルタルバハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが含まれている。この仕組みが築かれたことにより、スイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどがタックス・ヘイブン租税回避地)の重要度は低下した。

 ところが、数年前から富豪たちは資金をアメリカへ移動させ始めている。租税を回避し、表にできない資金をロンダリングするために巨大企業や富豪たちは資金をアメリカへ持ち込んでいるのだ。

 ロスチャイルド家金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーは昨年9月、サンフランシスコ湾を望む法律事務所で講演した中で、税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語っている。現在、最大のタックス・ヘイブンアメリカなのである。

 こうしたことは政策として実行された。つまり、2010年にアメリカではFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が発効し、アメリカ以外の国の金融機関はアメリカ人の租税や資産に関する情報をアメリカ側へ提供する義務を課す一方、アメリカは自分たちが保有する同種の情報を外国へは提供しないことにしたのだ。この結果、アメリカは強大なタックス・ヘイブンになり、ロンドンの存在意義は薄らいだ。イギリスはEUへ呑み込まれる運命にあったと言えるだろう。

 前にも書いたが、EUはヨーロッパを統合するという米英支配層の計画に基づいて作られた。1922年に創設されたPEUに始まり、第2次世界大戦後にACUEが作られ、その下にビルダーバーグ・グループもできている。

 1949年に創設されたNATOもこの計画に深く関係、その軍事同盟に吸収された秘密部隊は西ヨーロッパをコントロールするために破壊活動を行ってきた。中でも有名な組織がイタリアのグラディオで、1960年代から80年代にかけて極左集団を装って爆弾攻撃を繰り返している。(注)

 ソ連の消滅が視野に入った1991年にフランスのフランソワ・ミッテラン大統領とドイツのヘルムート・コール首相は「ヨーロッパ軍」を創設しようとしたのだが、この目論見をアメリカは潰している。NATOアメリカ支配層の意思で動く軍事組織であり、EUの軍隊をアメリカは望んでいない。

 今後、EU離脱国が増えてEUは崩壊するようなことがあると、このNATOを維持することも難しくなる。そうならないよう、経済的な攻撃だけでなく、何らかの軍事的な工作を仕掛けてくる可能性もある。そのための「秘密部隊」だ。

【注】
CIAの破壊活動部門を後ろ盾とするグループが1962年8月にシャルル・ド・ゴール仏大統領暗殺を試みて失敗、その4年後にド・ゴール政権はNATOの軍事機構から離脱することを決め、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出した。フランスがNATOへ完全復帰したのは2009年。