東北農民管弦楽団

今朝4時台のNHKラジオ深夜便「明日へのことば」は、東北農民管弦楽団でチェロを弾いている吉田美和さんという方の話。ちょっと感動したのでメモしておきます。

「東北農民管弦楽団」は、農業をしながら音楽を楽しむという、宮沢賢治による「農民芸術概論」に共鳴した農業関係者によるオーケストラ。3.11の津波のあと結成された。


チェロを担当する吉田美和さんも被災者の一人。

吉田さんはカザルスの「鳥の歌」を聴いてチェロの魅力の虜になってチェロを習い始める。岩手県大船渡から2時間かけて盛岡のチェロの先生のところに月2回通う。


そして2011年の3.11。

大切なチェロが流される。チェロだけではなく、すべてが流される。

命だけは助かった。

知人の方から、中古のチェロをいただく。楽器職人の方がボランティアで修理してくれる。別の人からは弓をいただく。さらにチェロのケースを贈ってくれる人もいた。楽譜や譜面台やチェロを弾くための椅子も。

仮設で再びチェロを弾きはじめる。

恩返しをしたいと思っていたころ、世界中のチェリストが集まる「1000人のチェロ・コンサート」が仙台で開催されることを知り、さっそく参加する。

●犠牲者悼むチェロの調べ 復興願い国内外から奏者851人
https://www.youtube.com/watch?v=S3chH0ekCeQ

そのとき隣で演奏しているチェリストから「東北農民管弦楽団」に入らないかと誘われる。吉田さんも農業従事者だった。


東北地方の農民が集まってオーケストラなんて、宮沢賢治の夢が実現したみたいでちょっと感動的ですね。


2月14日(日曜)に第3回定期演奏会が仙台で開催されるそうです。

2002年脳溢血で右半身が麻痺し、左手のピアニストとして復活された舘野泉(たての・いずみ)さんも登場。館野さんはフィンランド在住。


最後に、吉田さんがチェロの音色に魅せられチェロを弾きはじめるきっかけとなったカザルスの『鳥の歌』を。

●Pau Casals: Song of the Birds
https://www.youtube.com/watch?v=_T8DjwLt_c4

カザルスの演奏会はたいてい或る一曲で終わる。『鳥の歌』である。カタロニアの古いキャロル(祝歌)のひとつで、鷹、雀、ミソサザイ、小夜啼鳥が幼い嬰児を迎えて歌う。チェロはそれらの鳥の歌を弾き分ける。『鳥の歌』はカタロニアを愛しきっていたカザルスのトーテムでもあった。
松岡正剛


【参照】
●東北農民管弦楽団
http://blog.livedoor.jp/tohokunoumin/


●カザルスの「鳥の歌」(松岡正剛
https://1000ya.isis.ne.jp/0334.html