水田の除草をするアイガモロボット(会津大学)


日刊工業新聞が記事にしていたアイガモロボットが興味深い。

会津大学の研究グループが開発した。




水田の除草は重労働。除草剤は使いたくない。

除草剤や農薬を使わない方法として合鴨(アイガモ)農法がある。

合鴨農法(あいがものうほう)は、水稲作において、アイガモを利用した減農薬もしくは無農薬農法をいう。有機農業の一種でもあるが、アイガモの肉は畜産物として処理されるため、畑作と畜産を組み合わせた複合農業が実態に近い。アイガモは毎年田植えの時期に、生まれたての雛を購入・放鳥し、稲の収穫後に食肉用として処分される。収穫後にアイガモが処分されるのは、飼育が難しいことや養殖のアイガモを野生に放すことが禁止されているためである。
(wikipedia)


水田に放されたアイガモは水田を動き回る。このアイガモの動きが水を撹拌し、根付いていない雑草を抜いたり成長を止める。育ったアイガモは食用にもなる。

しかし、アイガモ農法には問題もある。けっこう手間とコストがかかる。ヒナの価格は1羽500円程度。しかし、アイガモをイタチなどの動物から守るための電気柵などに年間100万円ほどかかってしまう(水田の規模にもよるが)。意外と大変なのですね。

そこで、アイガモロボットの登場。

5年後の実用化をめざしている。販売価格は1台10万円程度に抑えるとのこと。


ロボット1台を1時間稼働させると、水田1アール分の雑草を抑えられるらしい。すごい!


開発中の実働動画がアップされていました。2014年と2015年。

●アイガモヅ水田実験2014 小型移動型水田除草・抑草ロボット
https://www.youtube.com/watch?v=ILVlX_aXOB4

●アイガモヅ水田実験2015 小型移動型水田除草・抑草ロボット
https://www.youtube.com/watch?v=ZADCFuFS5Js


会津大、自走式“アイガモロボ”開発−水田の除草向け、水をかき混ぜ根付き防ぐ
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0720150903eaab.html

 会津大学先端情報科学研究センターロボット情報工学クラスターの成瀬継太郎上級准教授らの研究グループは、水田用に自律走行機能を備えた除草ロボットを開発した。ロボットに装備した二つの車輪で水田を走り回りながら水をかき混ぜることで、雑草が根付くことを防ぐ。アイガモのヒナに雑草や害虫を食べさせる「アイガモ農法」の代替手法として、5年後の実用化を目指す。
 雑草を回収するまで自動で走り回る自律走行機能を開発した。走行速度は分速6―12メートル程度。雑草は水がかき回されるため、根付かない。ロボット1台を1時間稼働させると水田1アールの面積の雑草を抑えられる。現在は電池交換が必要だが、年内に無線給電機能を搭載する。
 アイガモ農法はヒナの価格が1羽500円程度と安いものの、カモをカラスやイタチから守る電気柵などに年間100万円ほどかかっているという。販売価格を10万円程度に抑え、人手のかからない無農薬農法の確立を目指す。

ところで、このロボットの問題は、電池切れへの対応だった。防水対策のためにはロボットに充電用コネクタを搭載できない。そのため、充電のたびにロボットからバッテリーを抜き出して充電しなければならなかった。充電したあとはバッテリーをロボットに戻して密閉しなければならない。このバッテリーの出し入れがかなり煩雑。これが従来の水田除草ロボットの実用性を悪くしていた原因だったようです。


この問題を解消するために、ワイヤレス給電技術を用いたシステムが提案されている。

電磁誘導式ワイヤレス給電技術を用いて、約1時間の充電でロボットの内蔵電池(7.4V 2600mA/hのリチウムポリマー電池)の50%程度まで充電し、3時間動かすというサイクルで効率的な稼働が可能になる。

しかも、ソーラーシステムを導入すれば、電源がとれない地域でも稼働可能。たとえば、山間部の棚田とか。


これで、アイガモ農法に比べて低コストで除草剤や農薬を使わない稲作が可能になる。


気に入った!


以下の記事参照。

●無線給電が一役買った、アイガモを救う“水田除草ロボット”
http://eetimes.jp/ee/articles/1505/28/news124.html