桂STAP調査委員会報告書への疑問―ES細胞混入があり得ない材料と、マウスの手交・交配ミスの可能性の無視(tea*r*akt2)


STAP細胞問題については最も信頼のおける(と思っている)「tea*r*akt2」さんによる、先日の桂STAP調査委員会報告書に対する詳細な分析・疑問点がアップされています。


やはり、若山氏の突然の変節や言動の変化や挙動の不審さが問題とされるべきなのに、なぜか調査委員会もマスコミも巷の科学者たちもスルーしているところが大変気になります。


前回の論文不正認定もズサンでむちゃくちゃな論理に基づく捏造・改竄認定でしたが、今回の桂・調査委員会報告も、やっぱりヘンです。



以下、「tea*r*akt2」さんの3つ目の論評の最後の要約部分を転載させていただきます。ありがとうございます。深謝。(赤字強調は弊ブログ主による)

1.論文調査だけでなく、科学的調査と称しながら、笹井氏や丹羽氏の指摘によるES細胞ではあり得ない材料を、論文解釈に関わるものであるにも拘わらず、完全無視しているのは明らかにおかしい。

2.肝心の胎盤かどうかを論文の図だけで見て、残存のマウスはおろか切片さえもチェックせずに判断しているのは理解できない。

3.ES細胞混入であれば、一見すれば、大きさ、形態、増殖速度、シャーレでの状況(付着⇔浮遊)等から直ちに峻別できるはずである。若山氏にしても気が付かないはずがない。

4.若山氏自身が、正しい系統であるはずのマウスから、一から作製に成功した際にできたSTAP幹細胞も、大阪大岡部研から導入したマウス由来というのであれば、若山氏の小保方氏への手交マウスも間違っていたと考えるのが普通の解釈ではないのか?
 実際、若山氏のマウスの認識と残存資料の分析結果は違っているものがあった。

5.同じ遺伝子構成の一致がみられるだろうと各委員が述べた、ESキメラからのSTAP細胞作製の可能性や、ESを作った親マウスの系統マウスの手交可能性を想像もしないというのは、科学的調査としておかしくないか。若山氏の認識を正しいと所与のものとし、若山研側による「マウスの手交ミス」「マウスのコンタミ」をまったく想定もせず検証もしないのはおかしい。
 なにぶん門外漢なので、基本的勘違いもあるかもしれませんが、門外漢だからこそ、平気で感じたことを披歴できるという面もあります。科学者では軽々なことはいえないでしょう。しかし、ES細胞混入では説明がつかない初歩的材料を完全無視しているというのは、誰でもおかしいと考えると思うのですが、まことに不思議なことに、この点に触れる識者、マスコミはほとんど皆無だというのは、驚くべきことです。そういう様子をみると、「王様は裸だ!」と叫んでいる子供のような気分になってきます(笑)。
 最初ニコニコ動画で生中継をみていましたが、視聴者のコメントが流れますが、若山氏が一度、一から作製に成功していることを知らない人々が多いということに驚きました。マスコミも自分たちで2月に若山氏に成功の経緯をインタビューしているわけですから、その時の話との矛盾をなぜ問わないのか不思議でなりません。

 今回の桂調査委員会での質問も、追求が緩すぎました。ES細胞の大きさ一つ取り上げて、「すぐに気が付くのではないか?」という単純な問いを投げかけるだけでも違ったでしょう。あるいは、すぐ数日前の丹羽氏会見時の「ES細胞を混ぜたら、形状変化なく全壊した」という実験結果との関係を問う質問もあってしかるべきだったでしょう。最初の日経BPの記者や他の記者が、「笹井、丹羽両氏の指摘は、調査対象外です」と回答されて、あっさり引き下がるセンスがまったく理解できません。それが核心だったはずです。
 ES細胞混入では説明できないということが明らかになれば、マウスの手交ミス、交配ミスの可能性が浮上してきて、そうなると、一連の事件の構図は文字通り一変します。小保方氏及び若山氏の立場はまるで変わってきます。

 最も不思議なのは、識者やマスコミは、小保方氏のことをあれだけ、ミスが多い、研究者としての常識が欠けるといった批判をしていながら、捏造だということになると、まるで小保方氏が手品師のように緻密な捏造工作を行ったかのような言いぶりになることです。それはダブルスタンダードでしょう。あの一連の「たくさんできた」というSTAP細胞が、すべてES細胞混入によるものだとすれば、増殖力が強い細胞をタイミング良くもっともらしく偽装するために相当精緻な制御をしなければならず、ほとんどインキュベーターに張り付かなければならなかったのではないでしょうか(それでも、ES細胞STAP細胞は大きさがまるで違いますから、偽装しようがないでしょう)。

 心理学の世界では、「認知的不協和」という理論があります。社会心理学の教科書に出てきます。自分の考えや信念と相容れない事実に遭遇すると、不快感を感じたり、なんとか矛盾がなくなるように心理的操作を行うことを言います。
 このSTAP騒動も同じではないでしょうか。「STAP細胞はなかった」という考えと相容れない材料は、無視したり、ES細胞混入説や遠藤氏のES/TS細胞混合説、あるいは「若山研から渡したマウスからできるはずがない」との調査結果を聞き、そのたびに「やはりSTAP細胞はなかったんだ」と確認できて心理的平穏を得ていたように感じられます。「世界三大不正」という決めつけに拍手喝さいの趣きです。 そういうと、「お前こそ、STAP細胞があるという期待が先行し、それが裏切られるような話は受け付けようとしないではないか」と言われそうですが、もちろん期待はありますが、別に、ないならないで仕方がないとおもっています。言いたいことは、「科学の世界のことであり、科学者であれば、科学的論点について科学的に冷静に詰めてほしい」ということです。科学者が率先してバッシングのみをしているようでは情けない限りです。
 笹井氏は亡くなってしまいましたし、丹羽氏は重要な材料を「ちょっと気になって」といって実験をやってみて提供しているものの、声高に自らそれを主張して他人の矛盾を突くというタイプではなく、問われたことに最小限で答えるという雰囲気です。それに乗じて、彼らの指摘を無視するというのは科学者としてあるべき態度ではないでしょう。

 小保方氏はガリレオなのか? STAP細胞は第二のドリーなのか?
 世間は忘却の彼方かもしれませんが、科学的決着が最終的に着くまで、時間は相当かかりるでしょうが、まだまだ紆余曲折はあるように思います。

 とりあえず、小保方氏への懲戒相当の判断がどうなるのか? それに対して小保方氏側がどう反応するのか? が直近の局面になりますが、その後、特許出願の扱いがどうなるのか?の件が来るでしょう。ハーバード大とかはどうするのかわかりませんが、もともと職務発明であることを考えれば、小保方氏らの特許として放棄には至らず、維持される可能性もあるでしょう。小保方氏に対して実験環境、資金を提供をするところが出てくるのかどうか、が気になるところです。
 引き続き要注目です。

●1 桂STAP調査委員会報告書への疑問―ES細胞混入があり得ない材料と、マウスの手交・交配ミスの可能性の無視
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16134077.html


●2 桂STAP調査委員会報告書への疑問―ES細胞混入があり得ない材料と、マウスの手交・交配ミスの可能性の無視
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16134085.html


●3 桂STAP調査委員会報告書への疑問―ES細胞混入があり得ない材料と、マウスの手交・交配ミスの可能性の無視
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16134115.html