エボラに挑む「富山の奇跡」(エボラ治療薬アビガン)


日経産業新聞の一面に「富山の奇跡」の記事が出ていたのでメモしておきます。


富士フイルム傘下の富山化學工業が開発した「アビガン」の有効性が「富山の奇跡」として紹介されていました。


24年間の地道な研究開発の成果である。


フランス人医療関係者がエボラ治癒したとの報道もある。


エボラワクチンはやめておいた方が良いかもしれません。ワクチンビジネスに無駄金を投入するだけで終わってしまうから。

エボラ出血熱にはワクチンよりも日本製「アビガン」を
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20141025



◆2014/11/21(金) 日経産業新聞(第1面)

世界的な感染拡大が懸念されるエボラ出血熱。死亡者は5千人を突破したが、その特効薬となる可能性を秘めるのが富士フイルム傘下の富山化学工業が開発したアビガンだ。

「これまで世界になかった抗ウイルス薬をつくろう」――。富山大学の白木公康教授は、富山化学とこう理想を掲げ、アビガンの開発支援に乗り出したという。
 
そして四半世紀。この3月にアビガンはインフルエンザ治療薬として承認を受けた。アビガンはウイルス遺伝子の増殖を直接阻害する仕組みだ。このため、同じタイプのウイルスにも作用し、「インフルエンザ以外にもエボラやポリオ、はしか、黄熱など様々なウイルス感染症に効果のある可能性がある」と白木教授は指摘する。
 
中堅製薬の富山化学が抗ウイルス薬開発に着手したのは1990年だ。当時、富山化学にはウイルス感染症治療薬開発のノウハウはなかった。そこでウイルス感染症の治療薬の開発を手掛けた経験の豊富な白木教授の力を借りた。唇などに水ぶくれができたり、角膜炎になったりするヘルペスを対象とした薬の開発を進めるべく、富山化学が持つ2万を超える化合物を片っ端から試してみたのだ。だが、「何千匹もの動物実験を繰り返して有効性を確認したが、既存薬を超えるものはできなかった」と白木教授は振り返る。
 
そこで97年、複数のウイルスが原因の病気を対象とした薬へと開発を切り替えて1年後にはインフルエンザにも効くと考えられる化合物を発見。2000年には学会発表までこぎ着けた。
 
学会発表を行ったことで、開発のパートナーとなる大手製薬企業は簡単に見つかると思われたが、同社のもくろみはもろくも崩れる。インフルエンザ発症中の短期間しか使用しない抗ウイルス薬は、長期間使う生活習慣病や健常者も使うワクチンと違って患者数が限られ、市場が限られる。
 
99年にはスイス製薬大手のロシュからタミフルも登場。後発となるアビガンには見向きもされなかった。開発中止を余儀なくされた。02年、富山化学大正製薬と資本業務提携した。
 
そんな風向きが変わったのは03年。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が流行が危惧されていた毒性の強い新型インフルエンザの治療薬になるものを探し始めたからだ。06年、NIAIDは世界中の3000種類の医薬品や医薬品候補の中から唯一アビガンが新型インフルエンザに効果がある可能性を報告した。「市場性と関係なく開発する必要があると考えた」と富山化学の泉喜宣総務担当部長はこう話す。
 
08年には新たに富士フイルムの子会社となった。同社は「アビガンはインフルエンザ以外のウイルスにも効くかもしれない」と開発を支援した。

開発再開といっても、スムーズに製品化が進んだわけではない。副作用などの問題があったためだ。動物実験の段階で、胎児に奇形を生じさせる催奇形性があったほか、ヒトでの治験でタミフルと比較して効果が弱いと指摘された。
 
それでも富山化学はあきらめなかった。11年に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請して、承認を受けるまで3年。通常は承認まで1年程度で3年かかるのは異例だ。しかも承認されたとはいえ、効果や催奇形性の問題から、アビガンは現在、一般的に販売される薬ではない。事実上のお蔵入りとなった。
 
国立病院機構名古屋医療センター研究開発推進室の浅田隆太室長は、「それでも条件付きで承認されたというのは新型インフルエンザに効果がある可能性があるため、切り札が欲しかったのではないか」と分析する。
 
今夏、エボラ出血熱が西アフリカ中心に拡大した。「クスリがない」と戸惑う欧米の医療関係者の目に留まったのがアビガンだった。9月には感染したフランス人の医療関係者に投与後に回復したという報告もあった。近くギニアなどでアビガンの臨床試験が始まり、結果は来年2月ごろに判明する。
 
10月下旬にはリベリアから羽田空港に到着した男性が発熱し、エボラ出血熱の感染を疑われる騒動も起こった。国内の空港周辺でも対策訓練が始まった。アビガンの開発から24年。「富山の奇跡」は起こるのか。世界が注目する。