富士フイルムHD株が大幅高、「アビガン」を新型肺炎の治療に試験投与
黄恂恂、河元伸吾
2020年2月25日 9:21 JST 更新日時 2020年2月25日 13:39 JST富士フHDの株価は25日の取引で一時8.8%高の5890円まで上昇し、ブルームバーグのデータによると1974年9月11日以降での最高値を付けた。日中上昇率は昨年11月5日以来の大きさ。
加藤勝信厚労相は22日の会見で、研究観察の一環として2つの医療機関でアビガン投与の具体的な準備に入り、そのうち1つの医療機関で開始したと話した。アビガンは富士フHDグループの製薬会社である富士フイルム富山化学が開発した。
富士フHDでは現在、新型コロナウイルス向けの治験は行っていないが、加藤厚労相によるとアビガンはウイルスを増殖させる酵素を阻害し、新型コロナウイルスにも効く可能性があるという。
野村証券の和田木哲哉アナリストは電話取材で、25日の株価上昇について「化学や医療系の企業へと変革を進めており、アビガンの投与開始によってその実力を示した格好だ」と評価した。収益的には数十億円の寄与と大きくないが、「新型コロナウイルスに対して効果があるとなればさらに株価上昇が期待される」とみる。
一方、みずほ証券の森貴宏シニアアナリストらは25日付のメモで、現在の新型コロナウイルス検査陽性者数が政府備蓄量に対して限られるため、「現時点で政府備蓄の追加納入の可能性は低い」と指摘した。
新型コロナ感染拡大の韓国 日本製の抗インフル薬の輸入検討
2020年2月25日 14時47分韓国でも新型コロナウイルスの感染が広がっている(イラスト)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が、日本で新型コロナウイルスによる肺炎の治療に用いられている新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の輸入を検討する。食品医薬品安全処の李儀卿(イ・ウィギョン)処長は25日の定例会見で、「アビガンは韓国国内で許可されていない医薬品」だとし、特例を適用した輸入を検討していると明らかにした。新型コロナウイルスの感染者に投与するかどうかなどについては、医師らでつくる中央臨床委員会と議論を続けていると説明した。
アビガンは富士フイルムのグループ会社、富士フイルム富山化学(東京都中央区)が開発した新型インフルエンザ治療薬。既存の薬が効かない新型インフルエンザが流行すると日本政府が判断した場合に限り使用できる条件で、2014年に承認された。胎児に副作用が出る恐れがあるため、妊婦には使えない。
海外メディアによると、日本で新型コロナウイルス感染者にアビガンを試験的に投与した結果、軽症者の症状悪化を防ぐ上で効果があったという。
李氏は「韓国でも(新型コロナウイルスの治療に)関連した新薬の開発が進められている。現在は主にマラリア治療薬やエイズ治療薬を使っていると承知している」と伝えた。
新型コロナウイルスはまだこれといった治療薬や予防ワクチンがない。韓国国内ではこれまで、一部の感染者にエイズ治療薬「カレトラ」を投与し、効果を得た。中央防疫対策本部によると、韓国での新型コロナウイルス感染者数は25日午前9時現在、計893人となっている。
富士フイルムホールディングス<4901>が大幅高、主力大型株が軒並み大きく売り込まれるなかにあって異彩を放っている。同社が2008年に買収した富山化学が開発した「アビガン」は新型インフルエンザ薬として注目されていたが、これが新型コロナウイルスにも効果があるとの見方から物色人気を集めている。厚生労働省は22日、新型肺炎患者を対象にこの薬の投与を始めたことを発表しており、同社株に買いを誘導している。