化学兵器は「非人道的」だからダメダメ、とコメンテータたちが得意げに言ってますが、じゃあ普通の爆弾や核兵器はどうなんじゃ、人を殺傷するのにどんだけ違いがあるんじゃ!・・と突っ込みを入れたくなる。
どうして化学兵器だけが悪者にされるのか?
化学兵器だけが非人道的なのか?
人間や生物を殺傷するための兵器や技術はすべて非人道的ではないのか。
実は、化学兵器は「貧者の核兵器」であり、核兵器を持てない国が大国(イスラエルを含む)の侵略から自国を防御するための苦肉の策なのです。
核兵器の保有が許されない国にとって、自国の安全保障を確保するための核兵器に替わる「代替手段」としては化学兵器しかないのかもしれません。これが中東のような紛争当事地域の現実。
かつて、イラクは化学兵器を放棄させられました。イラクは湾岸戦争後、国連決議に従って化学兵器の廃棄と工場の破棄をさせられました。
その結果どうなったでしょうか。戦争屋勢力によってイラクの国土と国民はボコボコにされちゃいました。石油も略奪されて・・・
シリアはこれからどうなるのでしょうか。
「人力でGO」さんの以下の分析がちょっと気になります。未だ中東情勢に目が離せません。
http://green.ap.teacup.com/pekepon/1249.html
2013/9/28
●貧者の核兵器・・・化学兵器を放棄した先にあるのは?■ 貧者の核兵器 ■
「シリアの化学兵器が何故これ程までに問題視されるのか?
化学兵器が非人道的だからじゃないか!!」と仰る方は、思考停止しているかも知れません。戦場による「殺傷」を目的とするならば、銃撃や爆撃による「殺戮」も、化学兵器による「殺戮」も結果はあまり変りません。
ただ、化学兵器はオーム真理教でも製造が出来る様に、肥料に使用される原料が手に入れば、比較的簡単に、そして安価に製造出来、そして「殺傷」効果は高い事を特徴としています。
国家間の力の大小は「軍事力」に依存します。
核兵器を保有する国は、容易に侵略を受ける事はありません。さらに「核兵器による恫喝」により国際的な発言力も強化する事が可能です。その最たる存在が米ロ中であり、あるいはイスラエルとも言えます。一方で核兵器の保有を許されない国や、あるいは経済的、技術的に核保有が不可能な国は、その代替として「化学兵器保有」で、自国の安全保障を確保しようとします。もし、攻撃されたら、化学兵器を使用するぞという「化学兵器による抑止力」の実効性は低くはありません。
実際に核兵器を保有するイスラエルへの対抗手段が、シリアの化学兵器搭載可能な地対地ミサイルです。
シリアは国連の提案を受けて、化学兵器の放棄を進める事になりそうです。
シリアに先立って化学兵器を放棄した国があります。
イラクです。イラクは湾岸戦争後、国連の決議に従い「大量破壊兵器」を放棄します。化学兵器の廃棄、及び工場の破棄を国連主導で進めました。
・・・その結果はどうなったでしょうか?イラクは「存在しない大量破壊兵器」の嫌疑を掛けられて、アメリカを始めとする多国籍軍に国土を蹂躙されました。
地上進行した米軍は、化学兵器を使用される憂い無く地上戦を行なう事が出来ましたし、イスラエルに化学兵器を搭載したミサイルを打ち込まれる心配も要りませんでした。
この様に、「貧者の核兵器」とも言える「化学兵器」の抑止力を失う事は、戦争へのハードルを下げる事になります。
■ イランとの緊張緩和や、イラクへの譲歩などは何を意味するのか? ■
イランに穏健派の政権が誕生した事で、犬猿の仲であったアメリカとイランの外相が会談するという雪解けが始まっています。イラン革命や、イラン大使館人質事件を契機に冷え切っていた両国の関係改善は、中東の安定の為には良いニュースと思えます。
一方の核開発の放棄は、中東の軍事的バランスを変化させます。
一見、融和に見えるアメリカとイランの融和ですが、核開発を放棄させた後に、アメリカが手の平を返す事は充分に予想出来ます。
■ 素直に見れば、戦争屋とそれに対抗する勢力の抗争 ■
一般的な陰謀論では、中東情勢の変化を、「軍産複合体(戦争屋)」が失敗して、それに対抗する勢力(銀行屋)が中東情勢をコントロールし始めたと見ている様です。
しかし、私は中東は「武器の在庫セール」だけの目的で動いているとは考えられません。戦争と経済は不可分です。
「銀行屋」は、経済的なメリットがあれば躊躇無く戦争というカードを切って来ました。一見、緊張緩和が始まったかに見える中東情勢ですが、どもそう簡単に事は運ばないのではと・・・。
シリアやイランを巡る情勢の背後を妄想して止まない、今日この頃です。