日本学術会議の放射能レポート

昨日の日本学術会議レポートをめぐる放射能恐怖報道には心底びっくりしました。

昨日の弊ブログでは日本学術会議の暴走と書きましたが、真相はどうもマスコミ各社による悪質な「あおり」報道の可能性もある。

ソースと思われる文献が学術会議のサイトにアップされていた(4/9付け)。今回の報道の元ネタになっているのは以下のレポートと思われる。(PDFファイル(46頁)をダウンロードできます)

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t-shien4.pdf
東日本大震災復興支援委員会放射能対策分科会提言(平成24年4月9日)
 提言「放射能対策の新たな一歩を踏み出すために ―事実の科学的探索に基づく行動を―」


このレポートの冒頭の「東日本大震災復興支援委員会 放射能対策分科会」のメンバーリストの中に、協力者として以下の名前がある。

児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センターセンター長)

やっぱり、あの児玉龍彦さんです。狂気の放射能恐怖扇動家。

しかし、内容は必ずしも児玉龍彦式の放射能恐怖をむやみやたらに煽る内容ではない。もちろんこの報告書の全体の基調は、ICRPの基準通りのLNT仮説(閾値なし直線仮説)に基づいて、放射能はゼロでなければならないことを前提としているように見えるけれど、「LNT仮説の学術的根拠は不十分」とも書かれている。

なんだか玉虫色のレポートだ。児玉派と反児玉派の妥協の産物か?

たとえば、人体が有するDNA修復機能を無視しているのか、放射線の「線量率」ではなく累積被曝量(積算量)の数値を前提とした予測の話が多い。

「線量率」ではなく「累積値」を問題にするところはちょっとトリッキーだ。

新聞報道にあった、汚染度の高い地域の30年間の累積被曝量が約230ミリ・シーベルトという数値が一人歩きしている。

230ミリ・シーベルトと言われると「エエッ!」と驚きますが、30年間の積算量です。1年でも1か月でもない。これはちょっとした数字トリック。

(オックスフォード大学のウェード・アリソン名誉教授の「放射能と理性」によれば、少なく見積もっても、一か月の被曝量が100ミリ・シーベルト以下で健康被害が出ることはない、200ミリ・シーベルトでも大丈夫、と言っている。これは1か月の値です。30年間ではない。)

さらに、提言書第17頁の図5(がんによる死亡率)も、これだけ見ると癌による死亡率が上昇するのか、と思ってします。

30年間の累積被曝量が100ミリ・シーベルトに達すると、がん死亡率が0.5%増加するらしい。(0.5%は疫学的には誤差範囲である。)

しかし、この提言書の第23頁には、「低線量放射線によるがんの発生頻度は、自然発がんに隠れてしまうほどの大きさしかないため、疫学調査の結果には大きな不確かさが見られLNTモデル自体を検証するにたる学術的根拠は不十分であった。」と、きちんと書かれている。

つまり、低線量被ばくによるがん死亡率の上昇は誤差範囲で無視できる程度だ、ということ。

かと思うと、第20頁には、「一方、比較的低い線量でも、放射線被ばくによる遺伝子の損傷をもたらし、その修復にともなうエラーが遺伝子の突然変異や染色体異常を生じてがんの発症リスクを高めることが知られている。」などというわけのわからない記載もちりばめられている。

やっぱり玉虫色だ。

しかし、このレポートでは、「LNT仮説の学術的根拠は不十分」とはっきり書いているところは評価できる。日本学術会議のみなさんよくぞ言ってくれました!

さらに「費用対効果分析」を考慮すべきという提言についても一応評価できる。


最悪なのは、この提言書をマスゴミが報道するときには、

「250ミリ・シーベルトの被曝!!」
「除汚しないとがん死亡率が増加!!」

ということになってしまう。

やはり放射能恐怖を煽っているのはマスコミの方だ。

マスコミのみなさま、福島の人々の首を絞めるようなことはもうやめてください。

あなた方の悪質な報道のおかげで福島の人々はもう充分苦しみました。

脱サラして福島で農業をはじめたばかりの若者が放射能問題に絶望して自殺された話も聞きました。

マスコミはもういいかげん放射脳から目覚めたらどうか・・・

無理か・・・