検証(61)3号機爆発の公式見解?

福島原発3号機の爆発についての公式見解が出ていないか探したところ、財団法人エネルギー総合工学研究所というところが発表した見解があった。

エネルギー総合工学研究所によると、3号機の爆発は水素爆発によるものであり、衝撃波が音速を超える「爆轟(ばくごう)」と呼ばれる爆発現象だったらしい。1号機の水素爆発との違いは、発生した水素ガスの量の違いだそうだ。発生水素ガス量の違いによって、あのような垂直に伸びるキノコ雲ができるような爆発になるのだろうか。

3号機建屋の高さが45メートルだとすると、目視でもキノコ雲は500メートルくらいの高さまで伸びている(一説では1000メートルくらいの高さという人もいる)。

さらに、鉄骨が飴のようにぐにゃぐにゃになるには1500℃くらいの高温が発生する必要があると思うけれど、この温度の問題はこれで説明できるのだろうか。謎は深まるばかりだ。


この↓ブログでは、エネルギー総合工学研究所の今回の見解に極めて懐疑的だ。
http://www.iae.or.jp/index.html

<引用開始>
・・・では、鉄骨がぐにゃぐにゃに曲がってしまうほどの高温とはいったい何度なのか。ウィキペディアを調べると、鉄の融点は1535℃らしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84

3号機建屋の爆発後の写真を見ても分かるように、鉄骨の状態は飴のようにグニャグニャで、爆発時に1500℃を超える温度に達したことは間違いない。「破壊力の大きさを裏付ける」ことにはなるが、問題なのは、水素爆発でこれだけの高温に達するのだろうか。その辺の言及がまったくないので、解析としては片手落ちだ。濃度30%、燃焼時間0.02秒、建屋内の圧力60気圧、この状態で建屋上部が吹き飛び、300mも噴煙を吹き上げてきのこ雲ができると、証明されたとは到底思えない。

さらに、映像Aの音をよく聞いて欲しい。ネット内の多くのブログで指摘されていたように、爆発音が3回聞こえているのだ。だから、決して燃焼時間0.02秒である訳がない。急激な燃焼(爆発)が3回起こったということである。それも一瞬ではなく、たて続けに間をおいて3回だ。映像Aが提示しているこの事実にもまったく触れていないので、エネルギー総合工学研究所の解析とやらのいい加減さがよくわかる。
<引用終わり>

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東京新聞 2011年6月6日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011060602000035.html

3号機爆発は「爆轟」
 三月十四日に東京電力福島第一原発3号機で起きた水素爆発は、衝撃波が音速を超える「爆轟(ばくごう)」と呼ばれる爆発現象だったことが、財団法人エネルギー総合工学研究所(東京都港区)の解析で分かった。発生した水素の量の違いで、1号機より破壊力が高い爆発が発生したという。
 3号機の爆発は、灰褐色のきのこ雲のような煙が上空約三百メートルまで立ち上り、海外の一部では「核爆発」説も流れた。白煙が横方向に噴き出すような形の1号機の爆発に比べて格段に規模が大きかった。同研究所は、経済産業省から委託を受けて開発したシミュレーションソフトを使い、水素がどのように爆発したかを解析した。
 3号機は三月十三日午前二時四十分、原子炉の燃料棒を冷やす注水機能が停止。燃料棒の周囲の水が温まって水蒸気となり、燃料棒を覆うジルコニウム合金と水蒸気が化学反応を起こし、大量の水素が発生した。
 水素は酸素と反応すると爆発し、空気中の水素濃度が18%を超えると爆轟現象が起きやすくなるという。3号機では最終的に五百四十キログラムの水素が発生。原子炉建屋最上階での濃度は約30%となり、注水停止から約三十二時間後の十四日午前十一時一分に爆轟が起きた。燃焼時間は〇・〇二秒で、建屋内の圧力は約六十気圧(通常は一気圧)に達し、建屋上部が吹き飛んだ。
 一方、1号機は冷却停止から爆発までの時間が約二十四時間で、炉内の燃料棒も3号機より少なかった。水素発生量は二百七十キログラムで3号機の半分となり、建屋最上階での濃度は15%にとどまった。このため爆轟は起きずに水素の燃焼は数秒間続き、建屋の壁が壊れて煙が噴き出した。
 内藤正則・同研究所部長は「3号機は建屋の鉄骨がぐにゃぐにゃに曲がっており、爆轟の破壊力の大きさを裏付ける。航空写真からは1号機の壁は建屋近くに崩れ落ちており、解析結果とよく一致する」と話している。
◆設計に影響大きい
 三宅淳巳・横浜国立大教授(安全工学)の話 爆轟が起きるかどうかは気体の濃度のほか、空間の密閉強度や着火する際に加えられるエネルギーの大きさによって左右される。爆轟が起きたと分かれば、今後の原発の設計に与える影響は非常に大きい。

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<引用終わり>