苫米地英人氏の新刊が出ていたので読んでみる。彼の本は出るとすぐ条件反射のように買ってしまう。
この本は新書版ですぐに読めそうですが、おなじみの「抽象度」や「エフィカシー」といった彼特有のキー概念が普通に出てくるので下地がないと結構むずかしい。
英語に習熟するためにネイティブのようにしゃべることが重要ではない。英語で考えることができる「英語人格」を築き上げることがもっとも重要なことである、というのが結論。これは大いに納得。そのための方法をさらりと開示している。
特に、英語の原書で古典を読むこと。バイブル、ギリシャ神話、シェークスピア、ダーウィン、ヒューム、ホッブス、マルサス、ロック、バークリーなどなど。下手な翻訳よりも原書の方がはるかに読みやすいとのこと。
本論とちょっとずれますが、この本の中でおもしろかったのは、ホモ・サピエンスの前頭葉が発達による言語の進化の理由。現生人類の脳の進化(言語の進化)は1万年前に農耕が始まったときに加速された。なぜか。
農耕の発明によって、ノンレム睡眠とレム睡眠をしっかりととれるようになり、これが知能を司る前頭連合野の進化を促進したからである。
人類が狩猟採取時代だった頃は1日中狩りをし、しかも外敵から身を守ることに神経を使い1カ所にとどまって安心して眠ることはできなかった。しかし、農耕が始まると、1カ所に定住するための頑丈な住居の集落が生まれ、人類ははじめて深く長い睡眠をとることができるようになった。
深い睡眠=深いノンレム睡眠。この深いノンレム睡眠によって成長ホルモンが産生されて脳神経細胞の進化が促進される。さらに、レム睡眠によって長期記憶の固定化が促進されて高度の情報空間の活用が促進された。情報空間における出来事は触れることができないので、それを伝達することは難しい。そのために言語がどんどん進化していった。
農耕による定住→深い睡眠→ノンレム睡眠(成長ホルモンによる脳神経発達)とレム睡眠(長期記憶の固定化)→抽象空間(情報空間)の拡大→言語活動の促進→文化の発達→言語の進化・・・・・という好循環サイクルの出現。これが現生人類の秘密か。
つまり、農耕技術の発明が言語の進化をもたらした、ということか。
- 作者: 苫米地英人
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2010/12/03
- メディア: 新書
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