トイレ考(自己処理・自己完結型トイレ)

 くさいものにフタをしてはいけない。
 トイレについて根本から考えなおすこと。
 現世人類にとって、トイレこそ最も重要な技術的課題である(←大袈裟)。
 昔読んだある哲学者の文章が頭にこびりついている。
 「人間はゴミ箱とトイレが無いと窮地に陥る。」
 生命体は食物を摂取しつつ排泄を繰り返しことによってエントロピーを絶えず減少させなければ生命を維持できないのだ。
 シュレディンガーは昔言った。「生命は負のエントロピーを食べて生きている。」

 現在のキャンピングカーのトイレは、ポータブル式およびカセット式のいずれにおいても、広域下水道設備に依存するものだ。汚物を廃棄するための公共下水道設備がないと機能しない広域公共システム依存型トイレである。(たとえば、これでは災害時の避難車としてキャンピングカーを活用することはできない。)
 前回検討した「インシノレット」という電気焼却式トイレは災害地のトイレカーとしての実績もあり、それなりにすぐれた自己処理型トイレ(自己完結型トイレ)ではあるが、個人用に購入するにはコストが嵩みすぎる。日本向け仕様があるといっても米国製であり簡素な構造の割には高価(取り付け込みで約100万円かかりそう)であり、キャンピングカーの搭載例は日本では数例(マックレー)しかない。また、キャンピングカーへの適用に関しては海外(特に米国)での評価も分かれる(処理中の臭気の問題は脱臭触媒機構の改良でなんとかなるのではないかと思うが)。
 日本国内で自己処理型トイレの開発はなされていないのだろか、と思って調べてみたところ、ありました\(^o^)/
 以下の2社の開発販売事例があるようだ。

1.株式会社ミカサ
 ミカサは大分県の会社。「ミカレット」という自己処理型トイレを製造販売している。
 ミカレットは既に南極の昭和基地や日本の山小屋(富士山頂)に設置されさた実績がある。仮設トイレとしても大活躍。
 ミカレットは、便座の下に汚物を加熱乾燥させるための回転ドラムが設置され、屎尿がこのドラムに流れ込むとドラムを回転させながた灯油バーナーで加熱して、わずかに生成した灰を灰回収箱に回収するとともに発生蒸気やガスを触媒脱臭装置を介して排出するというもの。
 このくみ取り不要の燃焼式トイレを装備した仮設トイレは車で牽引することもできる。
 焼却後の灰の量は、処理1回当たり0.2g程度。1000回使用して茶碗1杯程度。ランニングコストも1回10円程度。
 このミカレットは処理効率も抜群で衛生的ですが、重さが480kgもある!!
 これではキャンピングカーに搭載することは不可能か。_| ̄|○
 処理能力を下げてもっと軽量かつコンパクトにできないか。三笠社長に相談するしかない。
 構造や機能の詳しい内容は、下記特許公報を読めば解る。(特許庁ホームページの電子図書館から無料ダウンロードできる。)
 特許第2741478号


2.ニッケン産業
 三菱商事系の会社。「ドライレット」というかなり高性能の自己処理型トイレを製造販売している。
 このトイレは20年の研究の成果。ジャパニックという出願人名で多数の特許出願がある。
 特に電磁誘導加熱(IH)を利用した屎尿処理装置はすごい(特開平6−312174)。屎尿の乾燥処理が完全自動化されている。しかし構造はかなり複雑。
 観光バスへの搭載例があるようだ。しかし、100Vの小型タイプでも225kg程度の重量がある。ちょっと重すぎる。

 値段もしっかりと高い。300万円以上する(汗)。これはもはや公共施設用のトイレであるか。個人用キャンピングカーには搭載不可能_| ̄|○
 もっと小型でコンパクトで低コストにできないか、できないだろうな。重さは20キロ以内で10万円以下。無理か。
 もう自分でつくるしかないか(+_+;)\パコッ!