カルロス・ゴーン事件は竹中平蔵事件でもある(山崎行太郎)


山崎行太郎さんは、カルロス・ゴーン事件は竹中平蔵事件だ、と喝破する。

とても興味深い。


これまでゴーンの「リストラ経営学」を絶賛し、グローバル化新自由主義を先導してきた日本経済新聞竹中平蔵一派は、ゴーン逮捕事件後も、ゴーン革命を絶賛し、リストラ経営学を絶賛し続けているのか?


彼らの責任を追及すべきである、と山崎行太郎氏は言う。


彼等も結局、「守銭奴=ゴーンの仲間」だったのだ。何故、彼等は、ゴーンの次は竹中平蔵だ、と言わないのか。

同感。



以下、山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』より、11月21日から29日までの記事を、時系列でまとめて転載させていただきます。
http://yamazakikoutarou.hateblo.jp/


●「ゴーン逮捕事件 」を読む。
経済評論家や経済学者等を中心とするマスコミ、ジャーナリズムが粗製濫造し、持て囃し、拡散させた「ゴーン神話」が日本の経済を崩壊させたという歴史的事実を直視すべきだろう。私は、ゴーン逮捕に驚かない。ただ、日本の検察もやる時はやるなーと思っただけだ。おそらく、世界中の辣腕弁護士が、東京に押し寄せるだろう。それでも大丈夫だと東京地検特捜部は、充分、証拠固めをした上で、ゴーン逮捕へ踏み切ったのだろう。小泉純一郎竹中平蔵は大丈夫か。グローバル化とか新自由主義とかいうが、経済は、国家を超えることは出来ないのだ。経済が 国家を無視して、出過ぎると、国家が出てくる。柄谷行人が『世界史の構造』で言っているように、ヘーゲル主義的国家論は、今でも有効なのだ。日産のゴーン会長逮捕は、国家的なレベルの大捜査である。英国のフィナンシャルタイムズは、フランスのマクロン大統領が、ルノー会長のゴーンに、日産との経営統合、つまりルノーによる日産の子会社化を要求していたという。日産と日本( 東京地検特捜部 )が、反撃に出たというわけだ。


===以下引用===

「ゴーン氏、日産とルノー経営統合を計画」 英紙報道
寺西和男=ロンドン、高橋克典2018年11月21日10時28分

 日産自動車と仏自動車大手ルノーの会長を務めるカルロス・ゴーン容疑者が、逮捕前に日産とルノー経営統合を計画していた、と英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の電子版が20日、関係者の話として報じた。日産側は計画に抵抗し、ゴーン会長と西川広人社長の間で緊張が高まっていった、としている。

FTは、日産の取締役会と近い関係にある関係者の話として、計画は数カ月で具体化する、と日産の複数の取締役がみていた、と伝えた。
 ゴーン会長が日産の業績に不満を持っていたことも西川氏との間で緊張を高める一因になった、との見方も報じた。
 日産幹部は21日朝、「いろんな検討があった」と発言。その上で「連合はお互い独立性を持つべきで、統合のメリットはまだ感じられない」とも話した。
 ルノー筆頭株主である仏政府は、ゴーン会長がルノーのトップを将来退いた後、日産や三菱自動車との関係が崩れることを警戒し関係強化を求めていた。ゴーン会長は今年6月の日産の株主総会で、ルノーによる日産の完全子会社化は否定していた。(寺西和男=ロンドン、高橋克典

===引用終了===



===以下引用===
日産自動車カルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反の疑いで逮捕された事件で、日産の取締役に支払われた報酬の総額が、株主総会で承認された額より毎年10億円程度少なかったことが関係者への取材で分かりました。東京地検特捜部はほかの取締役に支払われなかった報酬の一部がゴーン会長に流れていた疑いがあるとみて実態解明を進めています。(略

日産では平成22年以降、取締役への報酬の総額は毎年およそ30億円と株主総会で承認されていましたが、実際に取締役に支払われた報酬は承認された額より毎年10億円程度少なかったことが関係者への取材でわかりました。

関係者によりますと、ゴーン会長には株主総会で承認された報酬との差額をどのように取締役に分配するか決める権限があったということで、特捜部はほかの取締役に支払われなかった報酬の一部がゴーン会長に流れていた疑いがあるとみて実態解明を進めています。


全文は以下リンク先へ
[NHK 2018.11.20]
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181120/k10011717161000.html

関連
【速報】日産自動車のゴーン会長を金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部が逮捕へ
http://hosyusokuhou.jp/archives/48825759.html

【ゴーン逮捕】日産自動車「内部調査でゴーン会長に重大な“不正行為”が認められた」と発表
http://hosyusokuhou.jp/archives/48825768.html


【日産】ゴーン会長(64)、ケリー代表取締役(62)を逮捕 金商法違反容疑 共謀して報酬を50億円過少申告の疑い 東京地検特捜部
http://hosyusokuhou.jp/archives/48825781.html



 【フランクフルト共同】ロイター通信は20日、フランス自動車大手ルノーの取締役会がカルロス・ゴーン容疑者の会長兼最高経営責任者(CEO)職を解任しなかったと報じた。会長代行を置くという。

===引用終了===


( 続2 )「ゴーン逮捕事件」を読む。ゴーン逮捕事件を巡る論評が、一夜にして、個人犯罪事件から国家を巻き込んだフランス政府と日本政府の国際問題へと転換した。おそらく今後も、くるくると変貌していくだろう。議論の中身も、ルノー擁護派と、日産=東京地検特捜部擁護派とが、激しく対立している。私は、この議論の対立、論争の激化は、とてもいいことだと考える。ゴーン逮捕を歓迎し、拍手喝采する議論もあるが、東京地検特捜部の「 勇み足 」「 日本の検察の恥」だという議論もある。東京地検特捜部が、日産社内の主導権争い、一民間企業の派閥抗争に加担したというわけだ。それにしても、ゴーンの弁護士が、元東京地検特捜部長の大鶴某と聞いて、驚いた。大鶴某は、「小沢一郎事件」( 陸山会事件 )で暗躍した検察官僚の一人だったからである。東京地検特捜部の強引な「小沢一郎事件」捜査を主導した大鶴某は、「虚偽捜査報告書 」の作成の疑いで、市民団体に告訴されたはずである。私が、具体的な政治や政治家、あるいは政治問題に興味を持ち、具体的に政治的発言したり、政治デモや選挙応援をするようになったのは、「小沢一郎事件 」( 陸山会事件)が契機であった。私は、悪徳検察官(笑)としての大鶴某を、忘れることは出来ない。

===以下引用===
日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者が、金融商品取引法違反の疑いで逮捕された事件で、元東京地検特捜部長でライブドア事件を指揮した大鶴基成弁護士がゴーン会長の弁護人を務めることが関係者への取材でわかりました。
( NHKニュース)
===引用終了===

さて、この「 ゴーン逮捕事件」は 、ゴーン個人の犯罪問題でも、ルノーと日産の主導権争いの問題でもなく、日本政府とフランス政府との経済戦争の問題である。事態は紛糾するだろうが、ルノー筆頭株主であるフランス政府を代表するマクロン大統領の思いどおりにはならないだろう。と書いていたら、紛糾していた日産の取締役会が、ゴーンの「 会長 」と「 代表取締役 」の解任を決定したらしい。( 8:40)。今後、マクロン大統領と日本政府の交渉に移るだろう。私は、マクロン大統領は、強気に出ることは出来ない、と見る。ゴーンの個人犯罪が、ここまで暴露された上に、さらに再逮捕、拘留の長期化で、ゴーンの悪事は、世界中に拡大、拡散されるわけで、マクロン大統領の発言力はZEROになるだろう。マクロンが、日産の統合、子会社化、植民地化を狙ったことが、マクロン大統領の大失敗。日本の経済ジャーナリストも企業弁護士も持ち株比率などにこだわっているようだが、まったく事件の真相が見えていない。逆に、日産に見放されたら、ルノーの方が倒産するのではないか。フランスの『 ルモンド 』紙や『 フィガロ』紙は、「陰謀論」や「クーデター説 」を主張しているようだが、被害妄想も甚だしい。無理だろう。信じるのはフランス国民だけ。いずれにしろ、ゴーンの個人犯罪の露呈=暴露=拡散がカギだろう。日産と東京地検特捜部の先制攻撃が成功したのではないか。

(続3)「 ゴーン逮捕事件 」を読む。私が予言した通り、ゴーン逮捕事件は、日仏関係に留まらず、英米を巻き込んだ謀略戦の様相を呈してきた。「 ゴーン逮捕事件」は、日本の経産省主導で仕掛けられた国策捜査の可能性が高いが、これは、マクロン大統領が、先にゴーンを使って仕掛けた、ルノーによる「 日産の子会社化=日産の吸収合併 」という謀略に危機感を持った日産内部と経産省が、東京地検特捜部と結託して反撃に出たものと見て間違いない。「マクロン=ゴーン」一派は、日本の日産という自動車会社を見くびっていた。そのツケが 、今回の「 ゴーン逮捕事件」だったが、しかし、これだけの大掛かりの国際謀略戦が、残念ながら日本一国でできるわけはない。というわけで、アメリカ政府( トランプ)の了解の元に 行われたという情報が飛び交い始めた。さらには、日英米によるマクロン潰し( ルノー潰し)が、今、展開されている、と。
( 続く)


(続4)「 ゴーン逮捕事件 」を読む。フランスや欧米では、「陰謀論」や「クーデター説」が沸き起こっていると、NHK産経新聞など筆頭とする日本のマスコミは、伝えているが、真相はどうなのか?むろん、違うだろう。

https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/world/amp/181122/wor1811220024-a.html#ampshare=https://www.sankei.com/world/news/181122/wor1811220024-n1.html
つまり、カルロス・ゴーン竹中平蔵を持て囃した手前、態度を急変させるわけにはいかないのだろう。実は、フランスのマスコミも、フランス国民の声として、ゴーンの「高額給与 」に対する批判は以前から激しかったと伝えている。今回の「ゴーン逮捕事件 」に際しても、「いい気味だ。当然だろう 」という声が、各所で起きている。右派メディア『 ル・フィガロ』でさえ 、ゴーンに対しては、冷ややかな対応をしているようだ。「栄光の頂点でなぎ倒されたゴーン」・・・
http://www.lefigaro.fr/societes/2018/11/19/20005-20181119ARTFIG00296-carlos-ghosn-fauche-au-sommet-de-sa-gloire.php

さらに、以前から、ゴーンに対しては批判的だった左派系デジタル新聞『 メディアパール』は「神聖不可侵と思い込んでいた ゴーンの転落」と報じているようだ。
https://www.mediapart.fr/journal/economie/191118/la-chute-de-carlos-ghosn-le-patron-francais-qui-se-croyait-intouchable?onglet=full

何故 、日本のマスコミは、それを 、正確に伝えないのか。日本のマスコミも、つまり、新聞もテレビも、経済ジャーナリトも経済学者も、カルロス・ゴーンや、小泉純一郎竹中平蔵等の「構造改革 」や「 グローバリズム」を絶賛し、「コストカット 」や「 下請け切り捨て」のような「リストラ経営学 」を擁護する、同じ穴のムジナだったからだろう。フランス国民の一人が、「 ゴーンは日本では『神 的な存在』だったのに・・・」とインタビューに答えていたが、面白い。日本国民はともかく、日本の政界もマスコミも、そしてアカデミズムも、「カルロス・ゴーン礼賛 」( リストラ経営学)一色だったからだ。


(続5)「 ゴーン逮捕事件 」を読む。「ゴーン革命」とは何だったのか?たとえば、日本経済新聞は、ゴーンが、日産社長を退き、会長に就任する時、『 ゴーン改革から何を学ぶか 』と題して、次のように書いたことがある。要するに、日本経済新聞は、この時点で、「ゴーン革命」に関して、つまり、「 リストラ経営学」に関して批判的なことは何も書いていない。逆に、「リストラ経営学 」としての「 ゴーン革命 」を絶賛していると言っていい。もっと過激なリストラを断行し、下請けや社員を切り捨てろ、ということだろう。これが、日本のサラリーマンが愛読すると言われる、「日本」の経済新聞の実態である。日経新聞は、ゴーン逮捕事件後も、ゴーン革命を絶賛しているのだろうか。それとも、ゴーン逮捕事件後は、態度を急変させているのか。あるいは、ゴーン逮捕事件後も、日経新聞の基本理念に基づき、ゴーン革命を絶賛し、リストラ経営学を絶賛し、日本経済沈没を主張し続けているのか。責任を追及したい。



〓〓〓〓〓〓以下引用(1)〓〓〓〓〓
『 ゴーン改革から何を学ぶか 』
( 2017/2/24。日本経済新聞朝刊)

日産自動車カルロス・ゴーン会長兼社長が4月1日付で社長を退き、最高経営責任者(CEO)のポストも次期社長の西川広人・現副会長に譲ると発表した。会長職は続けるが、1999年の来日以来18年間、日産の経営を最前線で引っ張ってきた自らの役割に区切りをつけることになった。

ゴーン氏の大きな功績は、破綻の瀬戸際にあった日産自動車を果断なリストラでV字回復に導いたことだ。その後もライバルに先駆けて中国市場を開拓したり、電気自動車に力を入れたりして、独自性を発揮してきた。

2005年からは日産の大株主で、自身の出身母体の仏ルノー社長も兼任した。99年時点で日産・ルノー連合の年間生産台数は480万台だったが、昨年は1千万台規模に達し、世界最大手の独フォルクスワーゲントヨタ自動車に迫る水準に引き上げた。

ゴーン革命のひとつの教えは、しがらみにとらわれない危機突破力だ。99年に打ち出した「日産リバイバルプラン」では古くから付き合いのある部品メーカーの株式を売却する系列解体を実行し、業界の常識に挑戦した。

今も東芝をはじめ経営が迷走する企業は少なくない。内部の人間では大胆な改革が難しいのなら、社外に人材を求めるのも一案だ。

ゴーン社長の経歴も示唆的だ。最初に入社した仏ミシュランでは30歳代の若さでブラジル法人の再建や米国での企業買収を任され、工場閉鎖の指揮を執ったこともある。日産に来たのは45歳のときだが、それまでに経営者として十分な経験を重ねてきたのだ。

日本企業も有為な人材には若いうちから、失敗を恐れず大きな仕事を与えるべきだ。年功序列型の横並び人事から脱却しないと、スケールの大きいグローバル経営人材はなかなか育たないだろう。

環境技術や自動運転技術をめぐって、自動車市場の競争は一段と激しくなりつつある。西川次期社長率いる日産の新経営陣のかじ取りにも注目したい。

( 以下略 )

〓〓〓〓〓〓引用終了〓〓〓〓〓

「果断なリストラでV字回復」。ゴーンの経営学を語ろうとすると、こんな言葉が、枕詞のように、必ずついている。「果断なリストラでV字回復 」という言葉が、何を意味しているかについて深く考察する人は少ない。特に、日本経済新聞の記者ような 経済記者は、何も考えない。上ばかり向いているからだ。つまり、経営者のことばかり考えている。現場の労働者や下請け社員たち、そして日本国民のことなど眼中に無い。この「 果断なリストラでV字回復 」という言葉が、いかに日本経済を蝕み、日本社会を根底から、腐食させるものだったかを、考えていない。さらに、日本経済新聞は、今年、五月には、ゴーン革命について、手放しの礼賛記事を、次のように書いている。今年の5月だよ。今日のゴーン逮捕事件を予想していたのか。そんなはずはない。日本経済新聞は、典型的な植民地支配の手先でしかない奴隷新聞である。日比谷焼打事件を思い出す。

〓〓〓〓〓〓以下引用(2 )〓〓〓〓〓
瀬戸際の日産 ゴーン革命の衝撃(平成の30年):日本経済新聞( 2017/5/19 )
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30688010Y8A510C1000000/

平成の30年間は、日本がいや応なくグローバル化を迫られた時代でもあった。産業界でその試練にさらされた代表が日産自動車だ。平成の最初の10年は赤字を垂れ流し、1999年には経営破綻の瀬戸際に。やむなく仏ルノーから救済色の強い出資を受け入れ、その結果、パリから1人の剛腕経営者がやって来た。「ゴーン革命」の幕開けである。

〓〓〓〓〓〓引用終了〓〓〓〓〓

私は、以上の記事を、削除される前に、引用し、歴史的文献として残しておきたいと思う。「 グローバル化 」、この言葉も便利な言葉である。「果断なリストラでV字回復 」という言葉や「 グローバル化 」といy言葉を使えば、何をやってもいいというわけだ。日経新聞は、ゴーン革命の実態を、つまりリストラ経営学の実態を知らなかったのか。知っていて書かなかったのか。おそらく後者だろう。知っていて書かなかったのだ。ゴーン的リストラ経営学こそ、日本人が見習うべき経営学だと考えていたのだ 。日経新聞も「ゴーンの仲間」だったのだ。完全なる「 植民地主義 」である。日経新聞は、植民地主義的な経営学の推進役として、日本国民からしぼりあげるだけしぼりあげ、そこでの収益金を、ゴーンやルノーを通じて、フランス本国に「上納 」するという植民地主義的な経営学を推奨する現地メディアとしての役割を忠実に果たしてきたのである。
( 続く)


(続7 )「ゴーン逮捕事件」を読む。カルロス・ゴーンから竹中平蔵へ。「ゴーン逮捕事件」は、突き詰めると、「竹中平蔵事件」でもある。今日も、テレビをつけると、経済ジャーナリトや会計士や弁護士等が、ゴーンを逮捕したが、巨額報酬問題だけで、起訴できるかどうか、起訴できなかったら・・・(?) 。東京地検特捜部の敗北では・・・(?)。とかなんとか議論している。経済ジャーナリト 、会計士、弁護士、あるいは経済評論家や経済学者。ここ二、三十年、ゴーンと同じく我が世の春を謳歌してきた連中である。彼等は、「ゴーン神話」を、つまり、「竹中平蔵神話」をでっち上げ、「ゴーンこそ企業経営の神様だ」と絶賛し、「ゴーン神話 」を拡散し続けてきた連中である。何故、彼等は、性懲りも無く、カルロス・ゴーンという怪しい人物を、持て囃し続けてきたのか。彼等も、「守銭奴=ゴーンの仲間」だったのだ。何故、彼等は、ゴーンの次は竹中平蔵だと、言わないのか。言えないのか。竹中平蔵に無関心な経済ジャーナリトも弁護士・・・も、次のような二次的、副次的な問題にこだわり、不毛な議論を繰り返す。

===以下引用===

役員報酬有価証券報告書に約50億円分少なく記載した疑いで逮捕された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が2008年、私的な投資で生じた約17億円の損失を日産に付け替えていた疑いがあることがわかった。証券取引等監視委員会もこの取引を把握し、会社法違反(特別背任)などにあたる可能性があると、関係した銀行に指摘していたという。東京地検特捜部も同様の情報を把握している模様だ。

===引用終了===

言うまでもなく、私は、こういう問題に、さほどの関心はない。こういう問題の背後に、何もっと本質的な問題があると、考えるからだ。正直に言うと、日産の「ゴーン」などに関心はない。私は、「ゴーン」を神話化し、過剰に持て囃し、日本経済を破滅的状況に追い込み、日本の国民の倫理観まで堕落させた「日本人」に関心がある。その「 日本人」こそ、経済ジャーナリトであり、経済学者であり、経営コンサルタント・・・とかいう人種である。その典型的人物が竹中平蔵。何故、竹中平蔵は、今でも政権の中枢にい続けられるのか。背後にアメリカ政府でも?
( 続く)

( 続8)「ゴーン逮捕事件 」を読む。一年も前から進められていた「ゴーン追放作戦 」の全貌。『 週刊文春』の特集記事が、「ゴーン追放作戦 」は、一年も前からのゴーン周到の身辺調査と綿密な分析に基づいて、周到に練られたクーデター作戦だったことを書いているらしい。西川社長が知ったのは、今年の夏だった。ということは、西川社長主導で、進められたクーデターではないということだ。ところで、日本の馬鹿マスコミは( マスゴミ?)、「ゴーン逮捕事件」は、相変わらず、会計がどうの、虚偽記載がどうの、保釈金はどのぐらいになるかだの、というような会計や法律の技術論的話題に終始しているようだ。また、「ゴーン」サイドが、アメリカの辣腕弁護士を雇ったとか、と騒いでいるが、私は、繰り返すが、そんなことに関心はない。この「 ゴーン逮捕事件」は、そんなミミッチイ事件ではない。一民間会社の社内の派閥争いや主導権争いでもない。私が、最初から言っているように、いいか悪いか別として、国家的規模での国策捜査である。柄谷行人が、『世界史の構造』で指摘していたように、経済は国家を超えられないのだ。たとえば、マルクス主義には国家論がないのだ。マルクス主義は国家論で挫折し、つまづいたのだ。言い換えれば、マルクスの『資本論』は国家論抜きの経済学的分析なのだ。同じことが、マルクス主義経済学以外の経済学にも言える。つまり、グローバリズム国家主義と衝突する。今回の「ゴーン逮捕事件」は、グローバリズムと国家が衝突した事件である。経産省を中心とした日本国家が、国家権力を行使し、実力行動( 暴力)に出たということだろう。国家とはそいうものだ。「国策捜査」で逮捕され、有罪になった佐藤優は、「国家には生き残りの本能がある 。」と言ったが、まさしく、「生き残りの本能」が、牙を剥いたのだろう。噂によると、経産省官僚の一人が、ルノーによる日産の「子会社化( 吸収合併)」の話を聞いた時、「 絶対、許せん」と言ったというが、本当だろう。いずれにしろ、「ゴーン逮捕事件 」は、バブル期から現在に至るまでの日本の経済、日本の文化、日本の思想・・・にかかわる国家論レベルの反省と総括という問題に関わっている。『 週刊文春』の特集記事を読むと、その一端が分かるかもしれない。
( 続く)

( 続9 )「ゴーン逮捕事件 」を読む。『 ウォールストリート・ジャーナル 』が、ゴーン逮捕事件を、「宗教裁判」だとか、なんとか批判したそうだが、「 宗教裁判 」であろうとあるまいと、どうでもいいじゃないか。そもそも、「宗教裁判 」とは、欧米文化が生み出したものだろう。たまには、東洋の島国=ジャポンがやってもいいだろう、というのは冗談。もともと法や裁判は 、暴力的で、権力闘争の上に成り立っている。「 法の下には暴力がある 」というベンヤミンの有名な言葉もある。ところで、『朝日新聞』が28日の朝刊に、こう書いているそうだ。私は、新聞を読まないから、間接的な伝聞情報、つまり、ネット情報(笑)だが・・・。

▼▼▼ ▼▼▼▼以下引用▼▼ ▼▼▼
ゴーン前会長への日本の処遇は「宗教裁判」 米紙が批判( 朝日新聞 )
ワシントン=伊藤弘毅2018年11月28日9時51分

 日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が約50億円の役員報酬有価証券報告書に記載しなかったとして東京地検特捜部に逮捕された事件について、米紙ウォールストリート・ジャーナルは27日の社説で、「宗教裁判」だと批判した。

 同紙は、検察によるゴーン前会長の取り調べに弁護士が同席できず、疑惑が次々とメディアにリークされる中、ゴーン前会長が一方的に企業のトップを解任された一連の出来事が「共産主義の中国ではなく、日本で起きたことだ」と指摘。検察が捜査の透明性を高め、ゴーン前会長に自らを弁護する機会を与えなければ、この出来事が「日本経済界の汚点として残るだろう」と記した。

 日本の司法制度では、容疑者を最長20日間勾留でき、別の容疑で再逮捕もできる。同紙はこうした扱いが「詐欺や私的金融取引を行った前歴のない世界企業のトップにではなく、暴力団の構成員にこそふさわしいものだ」とした。
 また、日産の企業としての責任にも言及。ゴーン前会長が絡んだとされる疑惑が事実であれば、日産は「そのことにずっと前に気づくべきだった」と指摘。仮にゴーン前会長や、共謀者とされる前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)が会社に気づかれず容疑を実行していたとすれば、日産は「未公表の報酬よりも、むしろ内部統制に大きな問題を抱えていると思われる」とした。(ワシントン=伊藤弘毅)
▲▲▲▲▲▲引用終了▲▲▲▲▲▲

この記事を読んで、私は、「小沢一郎裁判 」や明治初頭の不平等条約( 安政五カ国条約 )と条約改正の話を思い出した。岩倉具視を団長とする『 欧米使節団』の目的の一つは、条約改正であった。日本は、植民地化されなかったとはいえ、欧米先進国に、裁判権や関税など、不平等条約を強いられていた。条約改正が如何に困難であったかは、歴史が証明している。欧米先進国は、不平等条約を当然のことと思っていたのである。残念ながら、今は、時代が違う。不平等条約の背景には、国力の差が、つまり軍事力と経済力の差があった。しかし、国力の差は、ほぼなくなったとはいえ、依然として、欧米諸国には、無意意の中に、欧米優位の不平等条約の感覚が残っている。日本や中国の裁判制度や裁判思想が、不合理でおかしいというわけである。「ゴーン逮捕事件」に直面して、フランスをはじめ、欧米諸国が 、荒々しい強硬手段に出られないのは、何故か。経済力や軍事力など、「欧米先進国」と「 アジア諸国」とのパワーバランスが変わったからである。東京地検特捜部は、日本の裁判制度にのっとって、粛々と取り調べるべきである。そもそも「 小沢一郎裁判」に抗議の声をあげなかった人達が、「 ゴーン逮捕事件( 裁判 ) 」を「 宗教裁判」と批判しても、無駄だろう。ウォールストリート・ジャーナルの「 宗教裁判批判」など、無視するべし。「朝日新聞Digital」に、次のような記事がある。


▼▼▼ ▼▼▼▼以下引用▼▼ ▼▼▼

東京地検の久木元(くきもと)伸・次席検事は29日の定例会見で、日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)の勾留について「裁判所の令状に基づいて行っており、何ら問題はない」と述べた。海外メディアでは「長期勾留」という批判が出ているが、久木元氏は「それぞれの国の歴史と文化があって制度がある。他国の制度が違うからといってすぐに批判するのはいかがなものか」と反論した。

▲▲▲▲▲▲引用終了▲▲▲▲▲▲

久木元伸・次席検事の発言は正論だろう。ところで、昨日の、「ルノー 、日産、三菱」の三社会議は、ルノー主導から三社合議制へ、ということで、終始、日産ペースで進んだらしい。当然である。今日の( 11/30)新しい情報によると、マクロン大統領が、三社の「関係維持」を求めて、安倍首相に会談を申し込んでいるそうだ。マクロンが、内憂外患の中で、安倍首相に泣きついて来た、というわけだろう。
( 続く)