糸魚川翡翠シルバージュエリーを作る(大塚浩司)

三省堂書店の工芸コーナーの片隅にひっそりと隠れていたこの本。

鉱山から貴重な原石を発掘した気分。

たまには頭を空っぽにして、リアル書店を目的なく散策すると、このような素敵な本に遭遇することができる。


著者の大塚浩司氏は、長野県白馬で活躍する、糸魚川翡翠を用いたシルバージュエリー作家。

日本の守り石である糸魚川翡翠を原石から研磨し、デザインし、シルバージュエリーに仕上げている。

糸魚川といえば、糸魚川静岡構造線が有名ですね。

糸魚川翡翠は、新潟県糸魚川市の姫川支流の小滝川周辺と、日本海に注ぐ青梅川の上流地域が主な産地。

上記2か所は天然記念物に指定されているため、翡翠に限らず石の採取は固く禁止されている。


新潟県糸魚川周辺の翡翠(ひすい)は、世界最古のジュエリー技術文化を誇る銘石といわれている。

縄文遺跡の年代測定によると、5000年前には硬い翡翠を加工し身に着けていたらしい。

世界最古の宝飾文化糸魚川周辺でひろがっていた。

縄文人ってオシャレだったのですね。

ここで注意が必要なのが、翡翠には2種類あるということ。通常、翡翠はJADE(ジェード)を総称されるけれど、日本の翡翠はJADEITE(ジェダイト)なのです。鉱物学的には別物。

ジェードは軟玉翡翠ネフライト)、ジェダイトは硬玉翡翠(本翡翠)とも呼ばれている。見分けるのは難しい。

ジェード(ネフライト)は一般的な鉱物で産地も多く量も豊富なので「宝石」には値しない。中国の翡翠工芸品はジェードであり、現在の基準からすると本物の翡翠ではない。
(以上、本書の第26頁〜第27頁)

ジェダイト(硬玉翡翠、本翡翠)はミャンマーが産地ですが、商業的な大規模採掘がされているミャンマーとは異なり、糸魚川翡翠は厳格に保護されているため、市場に出回る量の少なく、そのため貴重で高価。


翡翠加工の苦労や、ターコイズジュエリーを介したネイティブアメリカンのナバホやズーニとの興味深い交流については、ぜひ本書を読んでほしい。


最後に、大塚さんのサイトから拝借した美しい作品の一部を掲載させていただきます(深謝)。



【参考】


大塚浩司
1960年大阪生まれ。
12歳の時白馬に移住。
武蔵野美術短期大学でデザインの勉強中、19歳で「月刊漫画ガロ」にてデビューするが、漫画家としては芽が出ず、田舎暮らしのイラストレーター兼クラフトマンに転向。
25年以上の渓流釣りの経験を生かし、躍動感あふれる渓流魚の彫り物や絵画、オブジェを制作する。
今まで制作した作品のほとんどは、日本をはじめアメリカやイギリス、オーストラリア、ニュージーランドのフィッシャーマンやコレクターの手に渡っている。
松竹映画「釣りバカ日誌」では、主人公浜ちゃんの自宅にも作品が飾られており、スクリーンで確認できる。
釣りにのめり込んだ25歳ころから書き始めたエッセイが「つり人社」や「山と渓谷社」などの釣り雑誌に掲載されたことをきっかけに、文章書きの仕事に目覚める。
30歳を過ぎ、3人の子供の父親となってから、自身の子供のころからの夢であったアメリカインディアン、ナバホ族、ホピ族との交流と、ルート66の旅を始める。
アメリカで体験した様々なことを、地方新聞や月刊誌「ウッディライフ」(山と渓谷社)などで連載したことが地元の出版社の目にとまり、本を出版することになる。
アメリカのルート66路線上では、もっとも知られた日本人の1人としてその名を知られている。
ナバホインディアンの高名なメディスンマンから授かった正式なナバホネームを持つ。
著書に「オールドハイウェイルート66の旅」「インディアンカントリーの風に吹かれて」「ルート66、66のストーリー」「白馬暮らしの自転車散歩」
作品集に「母なる道ルート66フォトレーション」「ルート66モノクロームポストカードブック」がある。
アップル社から電子書籍も多数出版。
著書を元に製作された、フジテレビ系列での全国放送ドキュメンタリー「ルート66、風の歌が流れる」に出演。
地球の歩き方アメリカドライブ05~06」及び「08~09」でルート66特集の記事を担当。
信州、白馬にてクラフトショップ「森の生活」経営。
アメリカ、東京、大阪、信州などで「清流に泳ぐサカナたち」展を開催している。
2011年より、日本の守り石、糸魚川翡翠を用いたシルバージュエリーの企画、プロデュースを開始。
シルバージュエラーの息子GacUとともに、自身も宝石研磨師として、世界に一つだけのジュエリーを制作。

HP
http://www.janis.or.jp/users/trout1/index.htm
http://trout192.wixsite.com/jadeitesilverjewelry

大塚浩司ブログ
http://mori-no-seikatsu.at.webry.info/

ツイッター
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フェイスブック
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糸魚川ヒスイについて - 糸魚川ヒスイ商組合
http://www.itoigawahisuikumiai.com/4hisuinituite.html