平櫛田中コレクション展の根付を見に行ってきました

上野の東京藝術大学大学美術館にて開催中の「平櫛田中コレクション展」に行ってきました。
平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)は、近代彫刻界に不滅の金字塔を刻んだ彫刻家である。明治5年(1872年)岡山生まれ。

田中(でんちゅう)は長生きでした。1979年東京都小平市の自宅にて108歳で大往生する直前まで創作活動を続けたらしい。理想的な生き方ですね。広辞苑に載っている実在の人物の中では最も長命な人物だそうです。

彫刻家や工芸家はおしなべて長生きです。なぜでしょうか?

田中は、徹底的に人体を研究し、明治の彫刻界にあって、リアリズムを追及した稀有の彫刻家であった。

今回は、田中のコレクションのなかでも、東京藝大が所蔵する貴重な根付が20年ぶりで公開されるということで、いそいそと出かけていきました。


田中は、やはり江戸時代からの日本の伝統工芸である「根付」の強い興味を抱いていたことが、今回のコレクションを見て感じました。

現代根付の巨匠・駒田柳之の「虫の音」がありました。

藝大美術館は、なぜかとっても厳しくて、写真が一切禁止でした。写真ばかりか、フリクションボールペンで手帳にメモをとっていると、係りの女性が寄ってきて、インキが出る筆記具は一切使用禁止だとのこと。ビックリポンです。

でも、いくつか根付の名品に出会えたのは僥倖でありました。

大好きな福山恒山さんの現代根付も何点かありました。


奈良一刀彫の根付作品も興味をひかれる。

奈良一刀彫については、とても興味があるので後日研究したい。



ところで、平櫛󠄁田中の作品で気に入ったのは、これ↓


椅子に座って豪快に笑う禅僧・西山禾山(かざん)。
Priest Kazan Laughing

この禅僧がなぜ笑っているのか謎ですが、惹きつけられます。



<東京都> 東京藝術大学大学美術館にて展覧会
平櫛田中コレクション展」
2016年7月5日(火)から8月7日(日)まで
平櫛田中の彫刻展にあわせて、出目右満作「鬼面」(拙著『根付』p. 113に掲載)をはじめとする館所蔵の根付コレクションがごく一部だが約20年ぶりに公開される。

香柳園的みどころ情報:柳之の定番の題材「虫の音」が展示されますが、今回展示されるのは紅木という赤みを帯びた木を用いた珍品です!偶然にも、柳之の同じ題材「虫の音」が、東京国立博物館にて7月31日まで「根付と置物−象牙彫刻の伝統」展で公開中ですが、こちらは象牙に着色(しかも水色系!)です。趣の異なる作品をぜひ見比べてみて下さい!(両館とも上野公園で近いです。)

[東京藝術大学大学美術館]
場所:110-8714 東京都台東区上野公園12−8
休館日:月曜日(ただし7月18日は開館)、7月19日
ホームページ:
http://www.geidai.ac.jp/museum/
展覧会ページ:
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/denchu2016/denchu2016_ja.htm