写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く

『写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く』がおもしろい。

たまには、リアル書店を何の目的もなく、ぶらぶらボーっと散策するのがいい。

ジュンク堂９階の美術書コーナーでこの本を見つけた時には、ビリビリッときました。感電しやすい体質なので・・・(･｡･)ぷっ♪

この本、フェルメールが好きな人には必読必携。

こんなに豊かで奥深い絵画世界があったなんて驚きです。しかも日本に。

現代の「写実絵画」については、日本の技術レベルが世界で最も高く、かつ、画家の層も厚いらしい。

「写実絵画」と、いまアメリカで流行っている写真技術を利用したいわゆる「ハイパーリアリズム」とは、まったくの別物です。混同してはいけない。

ハイパーリアリズム絵画は写真のコピーのようなもの。

そして、写真と写実絵画が決定的に違うところは、焦点（ピント）の数。

カメラのレンズは単眼であり焦点は１点のみ。焦点を決めるとその周囲はぼける（ソフトフォーカス）。

一方、人間の眼は二つあり、その視差でモノを見ている。そこに立体感を感じている。さらに、見るところには常にどこまでもピントが合って見える。だから、眼で見て描いている写実絵画には無限の焦点がある（すべての点にピントが合っている）。したがって、写真技術を使ったハイパーリアリズム絵画と写実絵画の違いは、画家が見ればすぐわかるそうです。

ハイパーリアリズムやフォトリアリズム作品は、写真を使い、それを画面に投影し、その上からエアブラシなどで顔料を吹き付けて速攻で仕上げている。

一方、写実絵画は、数か月から１年、あるいは数年の歳月をかけて一枚の作品が完成する。

ちょっと哲学的な言い方をすれば、写実絵画とは、絵画という技法を介して実在（存在）の謎に迫るための技術（＝アートart）である。

この本には、青木敏郎、安彦文平、五味文彦、生島浩、石黒賢一郎ら、いま活躍中の画家による作品がインタビューとともに解説されていて、現代日本の写実絵画の凄さ知ることができます。

千葉県にある写実絵画専門の美術館「ホキ美術館」には是非行ってみたい。

【参考】
●ホキ美術館のサイト
https://www.hoki-museum.jp/

写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く

作者: 松井文恵,安田茂美,ホキ美術館
出版社/メーカー: 生活の友社
発売日: 2015/11/05
メディア: 単行本（ソフトカバー）
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【内容紹介】
世界でもっとも高い技術レベルを誇る日本の写実絵画は、日本でも今また多くのファンを魅了しています。誰でも簡単にわかると言われる写実絵画ですが、実は写実絵画の魅力を堪能するにはコツが必要です。これまではただ綺麗、凄いと思っていた絵画も、絵に描かれた背景や画家たちの思いを知ることで、一歩進んだ写実絵画を楽しむことができます。もっと身近に、もっと素敵に見える写実絵画の楽しみ方を、現代の画家たちが描いた作品をモチーフ毎に豊富なカラー図版でご紹介します!加えて、一目で分かるファン・エイク、フェルメール、レンブラント、ベラスケスなど、西洋名画の写実絵画の歴史もまとめています。また、世界初の写実絵画専門の美術館ホキ美術館の館長や、ヨーロッパ近代美術館(MEAM)の館長にスペイン現地で行ったインタビュー取材も収載。
【出版社からのコメント】
驚くような描写力で描かれた写実絵画。今、日本でも人気が高まっています。ため息が出るような美しい女性像から、吸い込まれてしまいそうな妖しい魅力を放つ風景画、しみじみと生きることを考えさせられる静物画など、写実的な技法で描かれた作品を、日本初の写実絵画専門のホキ美術館の精選された55作品(2015年に描かれた最新作含む)を中心に、世界各地の巨匠の作品もあわせて紹介しながら、写実絵画の魅力、写実絵画とは何かを探っていきます。ぜひお手にとってみて下さいね。
《作品カラー掲載作家》<日本>青木敏郎、安彦文平、生島浩、石黒賢一郎、磯江毅、大畑稔浩、大矢英雄、小尾修、五味文彦、塩谷亮、島村信之、中山忠彦、野田弘志、羽田裕、原雅幸、廣戸絵美、藤田貴也、藤原秀一、森本草介、山本大貴、渡抜亮<海外>レオナルド・ダ・ヴィンチ、ファン・エイク、ラファエロ、ベラスケス、ゴヤ、ティツィアーノ、クラーナハ、パルミジャニーノ、ルーベンス、レンブラント、フェルメール、アングル、ミレイ、ワイエス、ベッリーニ、ブリューゲル、ライスダール、ロラン、カナレット、ゲインズバラ、コンスタブル、コロー、ロペス、ダウ、カンパン、カラヴァッジョ、ホルバイン、カルフ、ファブリティウス、ステーンウェイク、メレンデス、シャルダン、デューラー、ティツィアーノ、フランス・ハルス、ムリーリョ、クールベ