フィリピン台風の「断波」

フィリピンはまだ悲惨な状況です。

今回の台風30号では「断波」という現象が被害を甚大なものにしたそうです。

断波は高潮の特殊なもので、高潮のメカニズムに詳しい早稲田大学の柴山知也教授によると、「6年前にバングラデシュを襲い、4000人余りの死者・行方不明者を出したサイクロンによる高潮で、「段波」を見たという証言がありますが、それ以外の高潮災害では聞いたことがない」「これまでの高潮災害のイメージを変えるものだ」ということです。

それにしても311以降、前代未聞の気象現象が頻発しています。


●フィリピン 「段波」で被害拡大か
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131118/k10013147151000.html
11月18日 18時50分

フィリピンを襲った台風30号でどのような高潮が発生したのか、専門家がシミュレーションした結果、海面に高さ3メートル前後の切り立った波が発生していた可能性が高いことが分かりました。
「段波」と呼ばれる現象で渦を作りながら崩れて破壊力を増すことから、専門家は、段波が沿岸を襲ったことが壊滅的な被害につながったと分析しています。
海岸工学が専門で高潮のメカニズムに詳しい早稲田大学の柴山知也教授は、観測データを基に被害の大きかった都市タクロバンのあるレイテ湾でどのような高潮が発生したのか詳しく解析しました。
それによりますと、台風が近づいている今月7日から8日未明にかけては湾の内側から外側に向けて北から南に猛烈な風が吹き続けたことで海水が湾の外に向かい、タクロバンでは潮位が通常より1メートルほど下がっていたとみられるということです。
台風が通過した8日朝になると猛烈な風の向きはそれまでと逆の南から北へと急激に変わりました。これにより大量の海水が湾内に一気に流れ込んで海面上に高さ3メートル前後の切り立った波、「段波」ができていたと考えられるということです。
段波はおととし3月に発生した大津波の際にも確認された波の形で、高いところから水が渦を作りながら崩れ落ちるため一気に速度を増して破壊力を増すことが知られています。
柴山教授は段波が沿岸を襲ったことが壊滅的な被害につながったと分析したうえで、「これまでの高潮災害のイメージを変えるものだ。日本でも最悪の場合、どのような高潮が起きるのか再検討する必要がある」と指摘しています。
専門家「高潮災害のイメージ変える」
高潮のメカニズムに詳しい早稲田大学の柴山知也教授によりますと、6年前にバングラデシュを襲い、4000人余りの死者・行方不明者を出したサイクロンによる高潮で、「段波」を見たという証言がありますが、それ以外の高潮災害では聞いたことがないということです。
しかし今回の台風で被害を受けたタクロバンの東サマール島南東部のヘルナニで撮影された映像を分析したところ、波は段になって押し寄せ、次々と流れ込んでいることから「段波」が起きていたということです。
またシミュレーションでレイテ湾の高潮を解析した結果、高さ3メートル前後の「段波」が起きていた可能性が高いということです。このため柴山教授は「高潮災害のイメージを変えるものだ」としたうえで、「これまでの高潮の対策は水位の高さが中心で段波によって構造物が壊れるということは考えられてこなかった。メカニズムをさらに詳しく調べて高潮の対策を見直す必要がある」と話しています。     


断波の映像↓がありました。

●フィリピン台風 高潮の映像を入手
11月17日 19時29分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131117/k10013125881000.html