[本]驚きの介護民俗学(六車由実)

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

今朝4時台のNHKラジオ深夜便「明日へのことば」は民俗学者六車由実(むぐるま・ゆみ)さんの話。これはおもしろかった。明日のつづきがたのしみ。

六車さんは民俗学者である。専門は「人身御供」。


2000年の「人身御供と祭」では日本民俗学会研究奨励賞。

2003年の「神、人を喰らう」ではサントリー学芸賞を受賞。

神、人を喰う―人身御供の民俗学

神、人を喰う―人身御供の民俗学


学界でも注目されていた民俗学者である。しかし、雑用の多い大学の仕事(東北芸術工科大学准教授)に疲れ果て体調を崩して生まれ故郷の沼津に帰ることになる。偶然のきっかけで老人介護の仕事につく。大学准教授から介護士への劇的転身。

3か月間の介護の講習を経て沼津の介護施設(特養)で働き始める。

そこで驚くべき発見をする。

施設の高齢者たちと触れ合うにつれ、そこが広大な民俗学のフィールドであることに気がついたのです。

介護施設での老人たちとのふれあいは、大学時代のフィールドワークで得るよりも深いものがあると六車さんは言う。大正生まれ、昭和初期生まれの高齢者、明治生まれの人もいる。介護認定5の老人からも昔の貴重な記憶が紡ぎだされる。話に驚いたり興味を示すと老人たちは自らの古い記憶を掘り起こして再現するようになることに六車さんは驚いた。民俗学の宝の山がそこにあったのだ。


六車さんは昨年10月に沼津の民家を改造してデイサービスの施設を立ち上げ、現在そこの管理者兼生活相談員として活躍中。もちろんその施設での「民俗学のフィールドワーク」も欠かさない。


【参考】
六車由実さんのサイト
http://muguyumi.a.la9.jp/