以下の記事は、株価暴落の前における小沢一郎独占インタビュー(サンデー毎日)です。
本質を突いた興味深い小沢さんの話に注目。
●独占インタビュー90分 アベノミクス崩壊は近い! 小沢一郎戦闘宣言 サンデー毎日
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/157.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 5 月 22 日 15:30:00: igsppGRN/E9PQ
独占インタビュー90分 小沢一郎戦闘宣言 アベノミクス崩壊は近い!
http://www.twitlonger.com/show/n_1rkdbao
サンデー毎日6月2日号 頁:16 :TwitLongerサンデー毎日6月2日号
http://livedoor.blogimg.jp/hanatora53bann/imgs/7/4/749b14b6.jpg
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独占インタビュー90分命もいらず、名もいらず… 『日本改造計画』から20年
▷秘話「北方四島は数兆円」で合意していた…
▷憲法96条改正は筋違い
▷安倍政権は米国から危険視▷「小沢王国」乱立選挙の真相
▷「中国大動乱」に備えよ
▷民主党は行き着くところまで行く
▷分権革命で「統治機構」を変える『日本改造計画』を著して、はや20年。体制の壊し屋として政党の離合集散、さらに陸山会事件に見舞われたが、存在感は揺るがない。小政党「生活の党」代表となった小沢一郎氏(70)は今、アベノミクスの危うさを語る。そして政権再交代へ向け、最後の闘いに挑む。
【小沢一郎】今のように野党がバラバラでやれば、受け皿がないから自民党が勝つということになるんじゃないかな。さらに、重要な問題で自公とスタンスを一緒にしている日本維新の会とみんなの党。もう第三極じゃなくて“1.5極”と言っていいね(笑)。その辺を合わせると、それなりの規模になると思う。生活の党としては、2ケタは通るように持っていきたい。今後の政界再編を見据えれば、それくらいの基礎的な人数は必要だからね。
【サンデー毎日】衆参ダブル選挙のウワサも絶えません。
【小沢一郎】自公が衆院で3分の2を占めている現状を、わざわざ振り出しに戻すこともないでしょう。自民党内からも「半年でまた選挙をやるのか」と批判が出ると思います。
【サンデー毎日】とすれば、参院選が政界再編のスタートになるということですね。
【小沢一郎】次の総選挙でもう一度政権奪還を狙いますから。昨年12月の衆院選は、えらく負けちゃったからみんなガックリしてるけど、そうじゃない。政権交代を実現した4年前の衆院選も、まさかと思ったくらい民主党が議席を増やして、自民党は3分の1程度になった。小選挙区は政権が代わりやすいように作った制度で、その時の国民の意思次第で大きく選挙結果が変わる。僕らのグループだけじゃ小さ過ぎるから、幅広く受け皿を結集できれば、総選挙で再び政権交代は可能です。
【サンデー毎日】その思いとは逆に、野党協力は難航している。お膝元の岩手選挙区の乱戦が象徴的です。
【小沢一郎】実は平野(達男・前復興相)君が民主党を離党した時に、僕は民主党側に「ちょうどいい機会だ。民主党がその気になれば、社民党や非自民の政党が集まるんだから、野党協力のモデルケースにしよう」と伝え、「大型連休までに、民主党として意思決定をして呼びかけてくれ」と頼みました。それなのに県レベルでも、国政レベルでも、何の反応もありませんでした。民主党は何の相談もなく候補者を決めた後で、細野豪志幹事長ではなく大畠章宏代表代行が報告に来ました。「いずれ、今後とも…」と話していましたけどね。
【サンデー毎日】小沢王国を崩そうという思惑が、自民党だけでなく民主党からも透けて見えます。
【小沢一郎】前の衆院選は時間がなくてバタバタだったから、1区と3区は勝てませんでしたが、今回は自民党も民主党も、岩手になじみのない落下傘候補。県民の判断、支持はわれわれが得られると確信しています。
【サンデー毎日】かねて「民主党が声をかけなければ、野党は結集できない」と訴えていますが、どうも受け身に映ります。具体的な政権奪還策を描けていますか。
【小沢一郎】いくら激減したとはいえ民主党が野党第1党だからね。維新は何となく自民党寄りのスタンスになったし、もう旗を振るのは民主党しかない。ところが今度の国会でも分かったけど、何も決定できない。憲法改正問題も、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)も。消費増税なんて、自公が「年金制度は変えなくていい」と言い出し、3党合意がパーになり大義名分はなくなった。これにどう対応するのか、意見が一致しない。原発も同じで、何となくムニャムニャしている。基本的な大きな問題で意思統一ができず、結論が出せないなら、政党の体を成していません。
民主党は自浄作用を発揮する必要があるでしょう。全く意見が正反対の人は、離れてもやむを得ない。それで民主党が呼びかければ、非自公の各党はみんな協力する。この前、ウチと社民党、みどりの風で選挙協力を決めたんだけれど、民主党に声をかけても出てこない。幹事長会談を呼びかけると言ってたけど、それさえもできないんだね。民主党は、行き着くところまでいかなきゃ駄目なんですかね。
《分裂後の民主党と政権交代実現》【サンデー毎日】民主党の分裂を待って、能動的にアタックするということですか。
【小沢一郎】参院選が終わってからね。まあ選挙の結果は大体想像はつくけども、民主党はケリをつけるしかないでしょう。今のままだと、ただ消滅するだけになっちゃう。国政の基本政策が党内で違うんだから、スッキリしたほうがいい。自公に行きたいという人は、そっちの勢力につくべき。そうすれば、トータルの人数が少なくなっても政権は取れます。国民は選択肢がなくて、どこに入れようか分からないんです。かつて自由党と民主党が一緒になった時も、こっちは20人、あっちは50、60人くらい。政権交代を狙う上で、出だしの規模は大した問題じゃないんです。
【サンデー毎日】株高・円安に支えられ、安倍政権には勢いがあるように見えます。
【小沢一郎】アベノミクスがもてはやされていますが、株価が上がって、国民の何パーセントが儲かっているのでしょうか。輸出の多い大企業など、ほんの一部だけですし、儲け先の半分は外国です。また円安になって何が良いんですか?ガソリン・燃油が上がる、電力が上がる、食料が上がる、飼料が上がる、化学製品も上がっていく。中小企業、農業、漁業、一般国民にとってはとんでもない話です。
アベノミクスは小泉政権と若干似た政策で、所得の格差がどんどん広がっていく。小泉政権以来、国民の所得は10%以上落ちていますが、今後さらに広がっていくと思います。不景気の中で物価が上がり続けるスタグフレーションに陥りかねない。国民はすぐに気がつきますよ。
【サンデー毎日】株価の上昇に、内閣支持率も引っ張られ高止まりしています。景気が良くなるかもしれない、フワッとした期待感が反映されているのでしょうか。
【小沢一郎】民主党政権の失敗による反動的な意識が非常に大きいのです。「自民党政権だと良いことがありそうだ」という心理。民主党はしきりに「カネがない」と言って、役所の言う通りに政権を運営してきたんだけれども、自民党が復帰したら、どこからかカネが出てくるようになった。だから、あれだけ僕が「必ずカネはある」って言っていたのに(笑)。
【サンデー毎日】再登板した安倍晋三首相には、長期政権を目指す姿勢が垣間見えます。
【小沢一郎】小泉政権のようにはならないね。意外と早いんじゃないかな。参院選までは、何となく一生懸命におとなしくやって、間をもたせようとしてるんだろうけど、アベノミクスは選挙後、馬脚を現しますよ。
【小沢一郎】そうだね。
【サンデー毎日】憲法改正の動きをどう見ますか。安倍政権は「護憲」vs.「改憲」などと政局に利用しようとしているフシさえあります。
【小沢一郎】そう思いますね、最近。少しトーンを和らげましたが、96条から入りたいのは間違いない。ただ、安倍首相は憲法をどうしたいのか。自民党案を見ると、9条改正で自衛権を明確にする、国防軍を作るというだけ。そのために96条を改正し、発議要件を国会議員の3分の2から過半数にするのを先行させるのは、筋道が逆だと思う。そもそも3分の2というハードルは、国会運営でも多いし、会社でも地方自治体でも意思決定ではよくある。中身が良ければ要件を緩和しなくてもみんな賛成する。しっかりした国家のビジョン、目指す青写真がないまま、何となく憲法改正だけ早くやりたいんだろうね。
《右派シンパを制御できない首相》【サンデー毎日】安倍政権の綻びになりそうな課題には外交問題、とくに領土問題があります。どう解決すべきですか。
【小沢一郎】お互いにしっかりと信頼関係を築き上げていれば、おのずと良い知恵は出ます。もちろん一気に100%の解決というわけにはいきません。でも今は、会話できる状況にないんでしょう。
とくに対中、対韓で顕著だけれども、米国でも安倍政権に対する危惧の念はあちこちで表明されています。米国が本当に恐れるのは、日本がおかしな右傾向に走ること。日本に本当の民主主義が定着しているのか、半信半疑でいたところに、ポンポンとライト(右派)の色彩の強い発言、行動が出ている。橋下徹大阪市長の“慰安婦・風俗発言”もそう。“1.5極”の中心人物ですから、同じ括りで捉えられるでしょう。過去も現在も将来も、さっぱり分かってない。きっちりとした認識がないまま、何となく右に、右に流れている。そこを米国は非常に警戒しています。
【小沢一郎】ライトというのは親米じゃないんです。石原慎太郎さん(日本維新の会共同代表)を見れば分かる通り、彼らの考えは“核武装しての武装独立”でしょ。米国にとっては危うい思想、考え方を持っているということになるでしょう。高市(早苗・自民党政調会長)君も「侵略した事実はない」とかあえて言い出した。あちこちで「親・自民党」「親・安倍首相」の人たちが騒いで、コントロールが利かない状態になっている。もっとも、安倍首相自身が火をつけたんだから、強く止められないんだろうね。心情的には「その通り」と思っているだろうから。思いついたままに発言するというのは、いかにも軽い。
【サンデー毎日】対中国では習近平国家主席をどう評価しますか。
【小沢一郎】習氏の考え方よくは知らないけども、中国は大変じゃないですか。最近、思想弾圧を強めたでしょう。貧富の格差と汚職が問題なんです。たとえば、共産党や人民解放軍が会社を持ち、権力を利用してカネ儲けしている。こうした現状への不満で、中国は国内でのコントロールが弱くなっているのです。このままでは共産党政権は持ちません。ソ連が足掛け70年で崩壊しましたが、その二の舞いどころか、もっとひどい動乱を覚悟して備えるべきです。飯島勲・内閣参与が北朝鮮を訪れましたが、たとえば拉致問題ひとつとっても、根本的に解決するためには中国を効果的に動かさなければならないですからね。
【サンデー毎日】北方領土を巡る日露交渉が動き出しましたが、小沢さんが自民党幹事長時代に返還が実現しそうな動きがあったと聞きました。
【小沢一郎】ソ連のゴルバチョフ元大統領の側近が来日して、「領土を返す見返りにカネがほしい」伝えてきたのです。四島まとめてね。具体的な金額まで詰めましたよ。金額は忘れちゃったけど、数兆円という規模だったかな。大蔵省(当時)と掛け合い、坪単価まで計算させて弾き出し、「良かろう」となりました。
【サンデー毎日】なぜ破談に?
【小沢一郎】ゴルバチョフ氏が最終決断できなかったんです。ヤナーエフ副大統領ら側近は「カネがあれば、さまざまな施策に回せる」と考えていた。何度も確認して「大丈夫、大統領もOKだ」と言うから、僕はソ連行ったんです。しかし、いざ本人に会うと、はっきり話してくれない。僕が「側近が来日してこう言ったから、来たんじゃないか」と激怒すると、執務室で非公式会談を呼びかけられました。そこでゴルバチョフ氏は「今の自分には決断できない」と謝ってきた。彼は党官僚タイプだから、荒っぽく大ナタを振るう決断は難しかったんでしょうね。
《現状維持派が“壊し屋”と批判》【サンデー毎日】今年は小沢さんが著した『日本改造計画』、細川連立政権樹立から20年です。この間を振り返ってどうですか。
【小沢一郎】内容、スピード両面とも、僕が思い描いたほど変革は進まなかったけど、国民の意識は着実に変わった。その象徴が09年の民主党政権誕生です。それが失敗したから国民のショックは大きかったんだけど、自分たちの1票で政権は代えられるということを経験したのは、国民の心の中にしっかりと定着したと思う。だから、ちゃんとまともな受け皿ができれば、国民はそっちに行きます、間違いなく。都市も地方も関係ない。それが大いなる20年の成果だと思います。まだまだ日本では民主主義は定着していないけども、その芽は09年と昨年の政権交代となって見えてきている。民主党がバカなことをして政権から転落したのも、僕はその点では良いことだと感じているくらいです。旧態依然として変わらないのは永田町と霞が関、大手町だね。
【サンデー毎日】小沢さんは“壊し屋”と呼ばれてきました。理想とする政党のあり方と、現実とのギャップを感じたことも多かったと思います。
【小沢一郎】あるからこそ、行きつ戻りつの話になるわけです。民主党だって、マニフェストで何を訴えたか、本気で分かってたら、あんな政権になるはずがない。個々の政党は別にして、僕を“壊し屋”と言うのはアンシャン・レジーム(旧体制)、現状維持派の人たちです。革命的改革では、旧体制を壊さなきゃ新しい体制にならない。幕藩体制を壊すことによって明治維新ができた。両者は共存できない。だから旧体制を壊す以外にないんです、新しい世の中を作るにはね。当たり前のことなんだけど、メディアは体制を守ろうとして面白おかしく報じる。それが「小沢はけしからん」という風潮に繋(つな)がっているんです。
【サンデー毎日】革命的改革の肝は「分権」でしょうか。
【小沢一郎】そう。官僚の支配、中央集権をやめようということ。明治維新は幕藩体制を壊して中央集権を築いたわけです。幕府の力は強かったけども、それぞれ内政は各藩が全部自由にやっていた。それを国家がコントロールするようにしたのです。その仕組みが日本の官僚支配として始まりました。140年以上たった今、逆に日本は地域社会の知恵、伝統を生かす政治が必要になってきた。国家は身の回りのことについてはカネも権力も地域に降ろし、国は国家レベルの問題に専念する。そのように統治の機構を変えることが必要です。
【サンデー毎日】今の永田町を見回したとき、国会議員が小粒になってしまったように見えます。最ベテランの視点で、どう捉えていますか。
【小沢一郎】勉強ができる人は多いけど、いざ政治的に岐路に立つと沈黙してしまう。コトを成そうとしたら、自分の出世欲、保身の気持ちを捨てて、腹を決めなければならない。そこができない人ばかり。昔は自民党の中に10人の“決死隊”がいたら、物事は通ると言われていました。今は政治的決断をする際、自分の身に跳ね返ってくるのが怖いのかな。
【サンデー毎日】国家のリーダー像、リーダーの心構えについて聞かせてください。
【小沢一郎】国家も革命期と安定期は求められるリーダーが違います。しかし、最後は西郷隆盛の遺訓に行き着く。
「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るものなり。此の始末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬなり」。
もちろん大きなビジョン、志や理念がなければいけませんが、自分は栄耀栄華(えいようえいが)を望むのではなく、国家のために捧げる心が必要です。
【サンデー毎日】永田町に、そんな議員はいますか。
【小沢一郎】なかなかいないね(笑)。ただ「国乱れて忠臣あり」「後生畏(おそ)るべし」という言葉があるし、僕は楽観している。
構成/本誌・鳴海 崇
ジャーナリスト・山田厚俊
〜2013年5月21日火曜日発売のサンデー毎日6月2日号より