東京化学同人の「現代化学」は学生の頃から愛読し、いまだにときどき読んでいる。(むかし創刊号から揃えていたが、引っ越しですべて処分してしまった。今思えば惜しいことをした・・・)
ところで、新年号に興味深い記事があった。
久保田宏博士(東京工業大学名誉教授、1928年生まれ)の「太陽光発電は原発の代替にはなり得ない」という論文。
結論は、原発の代替電力のつなぎとして当面のあいだは「石炭」がもっとも有力だというもの。
キーワードは「石炭」!
原発を廃止した場合の代替電力供給をどうすれば良いか?という疑問に対して久保田先生は次のように明快に答える。
●民生部門を中心に10%の節電をし、かつ、火力発電の稼働率を10%引きあげる。(現在の火力の稼働率は50%に押さえられているが、これを60%に引き上げるということ)
●経済性からみれば、原発の代替は石炭火力発電である。
●石炭は意外と低コストで可採年数(埋蔵量を現在の消費量で割った値)が石油や天然ガスに比べて圧倒的に大きい。
(石油:45.8年、天然ガス:62.8年、石炭:119年)
●太陽光発電は「エコビジネス」という名の金儲け手段に悪用されている。
●再エネ法(再生可能エネルギー特別措置法)は科学の常識を逸脱しており、電気代値上げという国民負担を強いる矛盾した法律である。
●太陽光発電を主たる自然エネルギー源とする発電によったのでは、原発の代替にはなり得ない。むしろ、脱原発を阻害するかもしれない。
●結論:石炭に目を向けろ!
ってことは、「エコビジネス」を促進しようとする背後には、なにかおぞましい利権勢力がからんでいるということだろうか・・・
注目すべき論文である。