日本文明の謎を解く(竹村公太郎)

日本文明の謎を解く―21世紀を考えるヒント

日本文明の謎を解く―21世紀を考えるヒント

 平積みになっていて思わず手にとってパラパラと拾い読みしてすぐ買う。この本はおもしろい。2003年に初版が出ていたらしい。著者は東北大学工学部出身の土木工学の専門家。日本文明を「社会インフラ」(下部構造)という独特の切り口から解明する。
 たとえば、徳川家康1590年に秀吉の命令により江戸に転封を命ぜられて江戸に入ったとき、まず何をしたか。当時湿地帯でどうしようもなかった関東一帯の地理調査のため。
 では、1603年に危険をおかして京都から江戸に帰ったのはなぜか。利根川という自然と戦うため。
 このインフラへの家康の闘争がその後の日本の繁栄の土台を創りあげた。
 土木工学者からの独特の切り口が斬新でおもしろい。