台所の一万年

 昨日、ジュンク堂にて道具学会の重鎮、山口昌伴さんのトークセッションを聞きに行く。料理研究家小林カツ代さんもみえていた。
 日本列島の四季折々の豊かな自然環境ともに縄文時代から1万年をかけて蓄積されていきた「食べる営みの知恵」の集積である日本の台所文化が、この100年の間に失われてしまった、という話。日本の台所は、日本列島の他国にはない豊かな環境条件に対応する知恵と工夫を重ねて、江戸時代の末には完成されていた。そのすぐれて豊かな「台所」が「キッチン」へ転換されてしまったのである。
 この、日本人の豊かな食文化である台所をめぐる「生活技術」の「産業技術」への変質というか退化が起こったのはいつか?
 1955年である、というのが山口先生の答えである。これには、ガス会社と電力会社の戦いが絡んでいるらしい。それと、西洋事大主義。