ウクライナ難民危機の誇張(田中宇)

ウクライナで現在、露軍を攻撃しているのは正規軍でなく、ウクライナ政府内務省諜報機関)配下の極右民兵団だけだ。ウクライナ内務省は米諜報界の傀儡であり、極右民兵団は2014年のマイダン革命以後に強化された、ロシアとロシア系住民を敵視するための米傀儡組織だ。

極右民兵団は、ウクライナ諸都市の住宅街に兵器を持ち込み、住民を「人間の盾」にする国際法違反・人道犯罪の戦法でロシア軍を攻撃してくる。また、ウクライナ東部や北部の対露国境近くの諸都市にはロシア系住民が多く住み、極右民兵団はロシア系住民を狙って攻撃してくる。露軍は、これらの極右からの攻撃に対処せねばならない。 (Shoigu Tells UN Chief Ukrainian Neo-Nazis Use Civilians as Human Shields)

露軍はウクライナ政府と交渉し、極右民兵団が入り込んで「人間の盾」にされている住宅街の住民を住宅街の外に強制的に避難させるための「人道回廊」を作っている。ウクライナ政府が住民を避難させた後、さらに極右が攻撃してきた場合は露軍が反撃する。市民は死なないが街区は破壊される。


しかし、ウクライナ内務省傘下の極右が撃ってきたのだから露軍としては正当防衛だ。この手の展開の一つが、マリウポリで露軍が破壊した無人の(極右だけが立てこもっていた)小児科病院だった。この件で非難されるべきはロシアでなく極右民兵団を擁するウクライナ政府だ。マリウポリは、すでにウクライナから分離独立したドネツク州にあるが、ウクライナ側が掌握してきた。 (Putin Calls on Macron, Scholz to Pressure Kiev to Stop Crimes by Nationalist Battalions)

米欧日の報道では、露軍がウクライナ諸都市に作った人道回廊を通って強制的に避難民にさせられたウクライナ市民が、ポーランドなどに難民として逃げているかのような図式が描かれている。だが、人道回廊が設けられる諸都市の合計で避難民はおそらく10万人以下だ。

キエフ郊外のホストメル国際空港を占拠した露軍を目がけて極右が攻撃してくるイルピン以外の人道回廊の指定地は、ウクライナの東部と北部にあり、東部や北部に多く住むロシア系住民が難民として移動するなら、行き先はポーランドでなくロシアだ。ウクライナのロシア系市民は、ロシア国籍をもらえるので難民にならない。

人道回廊の指定地以外のウクライナでは激しい戦闘が起きていない。首都キエフで戦闘になっているのは空港近くのイルピンだけだ。後述する動画も示しているように、他の市街地は無傷だ。

ウクライナの極右民兵が人道犯罪の人間の盾戦法をとるので人道回廊が必要になっていることを、米欧日のマスコミは報じない。マスコミこそ人道犯罪組織だ。

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