STAP細胞再現できず

●STAP再現できず検証終了 理研発表、小保方氏退職へ
2014/12/19 11:14
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG19H1V_Z11C14A2AM1000/

理化学研究所は19日、都内で記者会見し、STAP細胞の有無を調べる検証実験で「再現できなかった」と正式に発表した。3月まで予定していた実験も打ち切る。小保方晴子研究員と、理研の別チームが進めていた実験のいずれでも作製できなかった。1月の論文発表以来、注目を集めたSTAP細胞は存在しないことがほぼ確実となった。今後の焦点は不正が起きた経緯の解明に移る。


検証結果を発表する理研検証実験チームの相沢慎一チームリーダー(左)と丹羽仁史副チームリーダー(19日午前、東京都港区)

 理研によると、小保方氏は21日付で理研を退職することを明らかにした。

 小保方氏らは1月、英科学誌ネイチャーにSTAP細胞に関する論文を発表した。しかし、画像の使い回しや再現性など疑問が指摘され、7月に論文が撤回された。成果は科学的に白紙になっているが、今回の発表で細胞の存在自体に根拠が失われたことになる。

 会見では、理研の検証実験チームの総括責任者である相沢慎一チームリーダーと丹羽仁史・副チームリーダーらが検証実験について説明した。小保方氏は体調不良を理由に出席しなかった。

 理研はSTAP細胞が存在するかどうか確かめるため、4月に検証チームを発足して検証実験を開始。7月には小保方氏も、監視カメラ付きの部屋で第三者が立ち会いながら、独自に検証実験を進めていた。


 4月の記者会見で「200回以上作製した」と強調した小保方氏は、マウスの細胞を弱い酸性の液体に浸すという論文に示した手法でSTAP細胞を50回近く作製。検証チームが万能性を示す緑色の発光があるかどうかを確かめた。相沢チームリーダーは「まれに光ることはあったものの、万能性を示す遺伝子の働きは確認できなかった」と説明した。11月末までに万能性を確かめたが「十分な成果は得られなかった」と強調した。

 これとは別に検証チームは論文に記された方法と別の方法で来年3月を期限として実験に取り組んでいた。小保方氏が論文に示した手法で作製を試みたが、8月に「論文に記載された方法ではSTAP細胞はつくれなかった」と中間報告を発表した。その後、条件を変え実験を続けていたが、成果は得られなかった。

 理研は全容を解明するための調査委員会を設置している。4月に認定した2点以外の不正があったかどうか、残存する細胞などに何が混じっていたかなどの解析を進めている。調査委の結果がまとまり次第、理研は小保方氏らの処分を決める懲戒委員会を開き、処分を決定する方針だ。

2014/12/18 12:45
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201412/0007593270.shtml
●神戸の理研関係者、淡々と STAP細胞再現できず

 理化学研究所小保方晴子氏が検証実験でSTAP細胞を作製できなかったことが分かり、実験が行われていた多細胞システム形成研究センター(神戸市中央区)では、結果を冷静に受け止め、問題の早期収拾を求める声が研究員から上がった。

 STAP細胞は既に論文の研究不正が認定され、検証チームの8月の中間報告でも作製できなかったと公表されていることから、男性研究者の一人は「驚きはない」と淡々と話した。

 同センターの北島智也チームリーダーは、今回の結果は聞いていないとした上で「(万能性を示す現象が)どこまで再現でき、どこからが再現できないかが科学的に明確になったのなら、無駄な検証実験をする研究者がいなくなり、科学的には望ましい」と指摘。

 さらに、「できるだけ早く新センター長を決め、基礎研究と再生医療研究をバランス良い形で進めていくことを、国民は望んでいるのではないか」とした。

(金井恒幸、岩崎昂志)