歩行アシストロボット「ロボットアシストウォーカー RT.1」

今日のNHK「サキどり」で紹介されていた歩行アシストロボット「ロボットアシストウォーカー RT.1」は、なかなかいいと思った。

いま、介護施設や空港、家電量販店など町の中で暮らしに役立つロボットが活躍中。2035年、日本のロボット産業の市場規模は9.7兆円になるとの試算もあり、民生用ロボットの開発は活発化しています。サキどりでは、ロボット活用を世界に先駆けて実践するリゾート施設の動きや、ロボットによって、車いすの生活から、再び自分の足で歩く喜びを取り戻した高齢者とその家族を紹介。ロボットと暮らす未来をサキどります。
【ゲスト】いとうまい子,茂木健一郎,大阪工業大学教授…本田幸夫
【キャスター】ジョン・カビラ,片山千恵子


RTワークスという企業が開発した歩行アシストロボット「ロボットアシストウォーカー RT.1」は、歩行を安全かつ快適に電動アシストする装置ですが、それだけではなく、ネットワーク機能が組み込まれている。

GPSとインターネットを活用した電脳によって、この装置を使用している老人の状況を見守る機能や緊急時の通知機能が利用できるので、 離れて暮らす家族にも安心を提供する。使う側とそれを見守る側の双方に安心をもたらす。ここが従来のアシスト装置と違うところ。

ブラシレスモータを2基搭載し、上り坂でパワーアシスト、 下り坂では自動減速し、坂道で手を放しても自動でブレーキがかかって止まる仕組み。とても安全かつ安心。

重さは約15kg。約2時間の充電時間で連続歩行時間は約4時間。

気になるお値段は、約22〜26万円(オープン価格)。この技術が普及すれば、もっと安価になるはず。

操作は極めて簡単で、ハンドルに手を添えて歩くだけ。各種センサが路面の状況、 歩く速度、荷物の重さを検知し、歩行を安全に導く。


以下↓は実際に動作されている動画です。
https://www.rtworks.co.jp/playmovie02.html



足腰が弱って杖が必要なご老人、自力で歩行するのが困難だけど車椅子が必要な程度でもない人、このような人々に自力で歩行することを促すよう安全に援助するすぐれた歩行アシストロボット。

自力歩行をうまく促す仕組みが導入されているところが重要ポイント。

実際このアシストロボットによって、車いすの生活から再び自分の足で歩く喜びを取り戻した高齢者とその家族が紹介されていた。

番組に出てきたお婆ちゃんは、これでスーパーに買い物に出かけ、坂道の向こうの山に行ってみたいと言うほど元気に歩行を楽しんでいた。

自分で歩くことのよろこびを感じさせて気持ちを前向きにさせる仕組みがうまく組み込まれている点で、以前幣ブログでも紹介した「足こぎ車椅子」と技術思想が似ています。(この過去記事については最後に載せておきます。)

やはり、我々現生人類は、本質的に足を動かして前に進むことに悦びをみいだす生きものなのですね。この直立二足歩行の原初的よろこびが身体と脳に好循環を生みだし、生きる意欲につながっているのではないでしょうか。

そのような好循環を促すこの歩行アシストロボットはすばらしい技術だと思います。


【参考】

●RTワークスの公式サイト
https://www.rtworks.co.jp/


以前アップした「足こぎ車椅子」の記事を再録しておきます。

●足こぎ車イスという逆転の発想

今朝のNHK「サキどり」で足でこぐ車イスが紹介されていたのを見ていてちょっと感動した。

「驚きの車いす!中小企業の連携が生み出した奇跡」

どうしてこんなにいいものがこれまで無かったのか。

リハビリに劇的効果がある。両足が不自由の人が自力で漕いで動き回る場面を見て感動してしまった。

これは逆転の発想だ。

足の不自由な人に足漕ぎを促す→自在に移動できる→楽しい・・・この好循環が秘密。

足を動かすことによって脳の血流が増加するというデータもある。

OXエンジニアリングという千葉の会社で最初開発製品化された。最初の発想は15年前の東北大学の半田保延先生の研究。両者を結びつけたのがコーディネーターの鈴木堅之さん。

OXエンジニアリングはスピード競技用車イスや折り畳み自転車の開発で知る人ぞ知る会社。一昨年だったか、ここで開発された折り畳み電動自転車に試乗させてもらったことがある。http://d.hatena.ne.jp/gyou/20100606

15年前に東北大学(半田康延教授)が開発した重さ80キロの足漕ぎ車イスを、OXエンジニアリング(石井重行氏)が12キロまで軽量化した。これだけでもすごい技術だ。これは産学連係がうまくいった事例としてもおもしろい。

さらにこの車イスを左右への回転運動を自在に行うための更なる改良を行ったのが福島県南相馬市の企業。改良技術のポイントは軽量のデファレンシャルギアを組み込んだこと。

この南相馬の改良実用化をコーディネートした矢野馬光男さんは、311の津波で帰らぬ人となった。


【参照】
百聞は一見に如かず↓

●足こぎ車椅子(その1).mp4
http://www.youtube.com/watch?v=ReKwm-NrTFo


株式会社TESSというところが作っているプロファンドという足こぎ車椅子

その2はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=pKdO0Wv2C6w


東北大学の研究資料:足漕ぎ車イスの研究開発と生活支援
http://web.bureau.tohoku.ac.jp/kohyo/koho/ashikogi.pdf#search='足でこぐ車イス 画像'

●Profhand(プロファンド)という会社の足漕ぎ車椅子の
http://koyoweb.net/phand/panf.pdf

●企業探検家・野長瀬裕二(山形大学
http://www.innovationpartners.jp/nonagase/nonagase.htm