松岡正剛さんの千夜千冊↓におもしろそうな本が紹介されていた。
http://1000ya.isis.ne.jp/1484.html
4浪して京大に入った著者の話。この本は小説でもフィクションでもなく、すべて実話である。「事実は小説より奇なり」を自ら実証しているような、ちょっと奇妙で劇的な著者の半生記。
「1966年、京都生まれ。
勉強は好きなのに、さっぱり成績が上がらない。
高校をビリで卒業したが、自殺した親友と約束した。
(1)京大に入る、(2)MBAをとる、(3)アカデミー賞をとる。
京大に入って、ひたすら英語を身につけた。
が、奇妙な暗合のある交通事故に巻き込まれ、
地下鉄サリン事件に遭遇して、後遺症にも悩まされた。
それでも電通に入社して、MBAをとり、
やっと結婚もできた。彼女はオウムの関係者だった。
離婚後、アカデミー賞のレッドカーペットを歩き、
いまは物語研究と映画制作にひたすら打ち込んでいる。
この本、すべて事実だけが書いてあるのだが、
なんだか奇妙な味のヒントが、いっぱいつまっている。
あえていっさいの感想を省いたが、
この一冊には、こんなことが書いてあった。」
冬になると町に一軒しかない肉屋の店先にイノシシが並ぶような丹波の山奥で6歳まで育ったぼく。中学受験は失敗して、学校中の窓ガラスが割られて いる、京都で一番荒れた学校にはいったぼく。スパルタ塾で「人生は甘い、何度でもやりなおしがきく」と教えてもらったぼく。『天声人語』を365日分書き写して書くことが嫌いでなくなったぼく。全国模擬でビリなのに京大を受験すると決め、4浪で合格したぼく。
予備校時代の親友が自殺したぼく。大学の軽井沢合宿の同じ場所で2度も自動車事故に遭いそうになったぼく。カンヌのパルムドールをとったグリーンスパンの『おはぎ』の制作助手をやったぼく。電通に入社して2年後にサリン事件に出くわしたぼく。その6年後にオウム真理教の女性と結婚し、そして別れたぼく。ぼくが気づいたことは扉は開くまで叩きつづけるしかないということだった。
http://1000ya.isis.ne.jp/sp055-01
(ところで、この地下鉄サリン事件の真犯人はオウムではないという説があります。オウムが製造していたのは一液型サリン。しかし実際の犯行に使われたのは二液型(プロ仕様)。この矛盾をどう説明するか。オウムの犯行を偽装した黒幕の存在を示唆している・・・話がずれた。これについては別の機会に。)
この話の最後の言葉がなかなかいい。
「扉は開くまで叩き続けるしかないのだ。ぼくが言いたいことは、これだけだ。」
さらに、著者が大学受験の時に通った予備校の塾長の以下の言葉(モットー)が気に入った。
「人生は甘い、何度でもやりなおしがきく」
そうなのだ。夢の扉が開くまで何度でも何度でも叩き続ける。これが人生の秘法。
【おまけ】
著者が制作助手をしてカンヌのパルムドールをとったグリーンスパンの短編映画『おはぎ(Bean Cake)』のYoutube画像を見つけたので載せておきます。
小学4年生の転校生の話。1933年の時代設定でのモノクロ画像が懐かしい。
戦前の日本の皇国教育を批判する、外国人が好みそうな薄っぺらいテーマの映画です(失礼!)。しかし、モノクロ画像を含むディテールはなかなかよくできてるし、転校生の少年を庇おうとする少女の演技と台詞がなかなかいい。おそらく小津安二郎をよく研究しているのだろう。
●Bean Cake Part 1
http://www.youtube.com/watch?v=H1yIz6hnGpM
●Bean Cake Part 2
http://www.youtube.com/watch?v=27Ei8hx3c4w&feature=relmfu