[音楽][技術人類学] Before And After Science(ブライアン・イーノ)

今日はブライアン・イーノという英国出身の天才音楽家の話。

建築を勉強している長男坊から、音楽と建築の関係について考察をすすめているのだが何かコメントがほしい、との架電あり。

こりゃー超ムズカしいテーマじゃないか。

人間の聴覚と空間感覚や視覚との「共感覚」に着目すれば認知科学脳科学のテーマでもあり、音楽がアフォードする空間という観点からいえば「アフォーダンス」や「オートポイエーシス」の問題群とも関連する。あとは自分で考えてね。


環境音楽(ambient music)の開祖であるブライアン・イーノの話になり、大昔イーノのLPレコード(←死語)を買い漁っていた頃を思い出した。なつかしい(遠い目)。

ブライアン・イーノBrian Eno)は1948年生まれだから現在64歳。まだ生きている。音楽活動もしているようだ。

昔と今のイーノは劇的に変化している。とても同一人物とは思えない(・。・)ぷっ♪

ブライアン・イーノの音楽はいずれも宇宙的郷愁を感じさせる香ばしくも美しい曲ばかり。

かれは自らを「ノン・ミュージシャン」と呼んでいるらしい。「俺は音楽をやってるんじゃない。聴覚を使ったあたらしい環境を創造しているんだ」と言いたいのだろう。

マイルス・デイビスの逸話を思い出した。マイルス・デイビスの前衛的なジャズに対して、人々が「こんなのジャズじゃない」と言って批判したとき、「俺は音楽を創っているんだ、ジャズをやってるんじゃない」と言った逸話に似ている。




イーノのアルバムの中で一番好きだったのがやっぱりこれ↓

Before and After Science

Before & After Science

Before & After Science


たぶんイーノが前衛ロックから環境音楽アンビエント・ミュージック)に移行する直前の名盤。


レコードの溝が擦り切れるほど聴いた。←これも日本語表現として死語


このアルバムのyoutubeを検索したところ、いくつか部分的にアップされていたが、よさそうなものを挙げておきます。(削除されないことを祈る)


なかでもこれが気に入っていた。30年ぶりで今聴いてもなかなかいいじゃん。題名も「backwater」(逆流水)でなかなか洒落ている。英国流ブラックユーモアか。

Brian Eno - Backwater
http://www.youtube.com/watch?v=YitVQuOBuLc



名盤1977年の「Before and After Science」
Brian Eno - 1977 Before & After Science
https://www.youtube.com/watch?v=YTHzWhw9XWA



この曲↓もなかなかいいです。若くして頭髪がさみしくなっていますが、人間の能力や価値は頭髪の濃度とは関係ありません(・。・)ぷっ♪

Brian Eno - King's lead hat
http://www.youtube.com/watch?v=HGOC4Hib4OM&feature=related


ヴォーカルが微妙に音を外しつつブリティッシュ前衛ロック風にずれていくサウンドがいい味出してる。おしゃれ。
Brian Eno No One Receiving (HQ)
https://www.youtube.com/watch?v=77G0xF45weg



アコースティックと電子音楽を組み合わせた逸品。35年前にこんな音楽を作れる人なんてイーノ以外にはいなかった。
Brian Eno - Energy Fools The Magician
https://www.youtube.com/watch?v=_uQ3QoKbIyk



【おまけ】
宇宙空間から撮影した地球の映像と音楽があまりにも美しすぎる。これは傑作といわれている「アポロ(Apollo)」に収録されている1曲。

Brian Eno - An Ending (Ascent) [1080 HD]
http://www.youtube.com/watch?v=It4WxQ6dnn0&feature=related


アポロの全曲は以下↓
今から30年前のアルバム(アポロの記録映画のサウンドトラック版)だけれど、まったく色あせていない。すごい。ただし、アポロは本当は地球大気圏外の周回軌道をグルグル回っていただけで月には行ってないけどね(・。・)ぷっ♪

Brian Eno | Apollo: Atmospheres and Soundtracks | Whole Album HD
https://www.youtube.com/watch?v=M4ltUho8xj0

Track listing:
No. / Title:
1."Under Stars" (Brian Eno, Daniel Lanois)
2."The Secret Place" (Daniel Lanois, arranged Brian Eno)
3."Matta" (Brian Eno)
4."Signals" (Brian Eno, Daniel Lanois)
5."An Ending (Ascent)" (Brian Eno)
6."Under Stars II" (Brian Eno, Daniel Lanois)
7."Drift" (Roger Eno, Brian Eno)
8."Silver Morning" (Daniel Lanois)
9."Deep Blue Day" (Brian Eno, Daniel Lanois, Roger Eno)
10."Weightless" (Brian Eno, Daniel Lanois, Roger Eno)
11."Always Returning" (Brian Eno, Roger Eno)
12."Stars" (Brian Eno, Daniel Lanois)

【参考資料】
●Brian Eno
http://en.wikipedia.org/wiki/Brian_Eno

ブライアン・イーノへのインタビュー
One on One: Brian Eno
http://www.youtube.com/watch?v=glxrJRcTVyE&feature=related



ブライアン・イーノのアルバム解説
http://homepage1.nifty.com/sountolab/eno.htm
「斬新でクリエィティブでインスピレーションにあふれていて、深みがあって…と言った内容で3秒半の曲を作っていただきたい」〜これはマイクロソフト社がWindows95の機動音をイーノにオファーしたときに寄せた手紙の一節で、このような途方もない注文を事も無げに遂げてしまうのも実に”イーノ”らしい逸話と言えます。既成概念に捕らわれない音楽活動と並行して論文を書いたり世界各地で公演したりと、まさに”教授”という呼び名に相応しいブライアン・イーノ。70年代のロック・シーンを牽引した”デビッド・ボウイ”や”ロバート・フリップ”等との一連のコラボレーションや、数々のプロデュース・ワークの成功。或いは、80年代あたりから注目を集め始めた”アンンビエン・トミュージック”への積極的な取り組みなど、独自の音楽理論を”机上の空論”で終わらせない姿勢は、音楽を操るサイエンティストといった存在です。
 ※参考資料:宝島社「テクノボン」/「S&Rマガジン97年9月号」他


●Before and After Scienceメモ
Before and After Scienceとは、「科学の発生前/科学の消滅後」という意味なのだろうか。

科学が生じる前に何があったか?
科学が終わった後に何が残るか?

技術(テクノロジー)でしょう。

技術(テクノロジー)こそが人類の本流である。(音楽もテクノロジーの一種である)

サイエンス(科学)は魔術の系譜に属する。科学は技術より人気があるけど、所詮は亜流である。人類を創りあげてきたのは技術であって科学ではない。科学は技術の派生物でしかない。