ポジャギ(中島恵)

とても美しい本。

ポジャギとは、韓国で「ものを包んだり、覆ったりする布」の総称。日本の風呂敷に似ているが、風呂敷が物を包んで運ぶ機能に特化している点でポジャギとはちょっと違う。形態についても、ポジャギにはひもがついているものが多い点でも違う。

ポジャギの起源は約1500年前。朝鮮半島の民族衣装チマ・チョゴリを縫った余り布をパッチワークして作られたものが多く、廃棄物の再利用の点でもおもしろい。

朝鮮半島における包む文化が具現化された多機能道具。

ポジャギは、包む、覆う(たとえば食器にかぶせる)、敷く(たとえばテーブルクロス)、着る(たとえば赤ちゃんのおくるみ)、飾る(タペストリーなど)などなど。実に多機能だ。あくまで生活の日用品(民芸)であり、美術品として対象化されていなかったこと。

著者の中島恵さんは1967年生まれのフリージャーナリスト。2003年にポジャギと出合い、その魅力に取り憑かれ、3年ほど研究してこの本を書いた。かなりパワーのある人だ。

この本の写真を見ると、ポジャギの美しさにウットリしてします。現物を見てみたい。

アジアにおける包む文化の起源と技術文化の伝搬。技術人類学の観点からも興味津々。

昨年公開された映画「結婚しようよ」(佐々木清監督)の中で、真野響子が演じる主婦がポジャギにはまる場面があるらしい。今度見てみよう。

ポジャギ―韓国の包む文化

ポジャギ―韓国の包む文化