ヒルクライマー(高千穂遙)

休暇中に読んだ小説の中でもっともおもしろかった。SF作家の高千穂遙さんの「自転車で痩せた人」を読んで僕の自転車ウイルスが発症したのは数年前だった。この本は高千穂さん初の自転車小説。伊藤礼さんの「こぐこぐ自転車」以来の傑作か。

自転車で峠や山に登る人々がいる。苦しいだけの自転車レース。いったい何が楽しいのか。その答えがこの物語の中にある。

メタボに悩む中年サラリーマンが突然自転車に目覚めてヒルクライマーになる。その家族や仲間達の人生が交錯し、心の痛みや悲哀が癒されて歓喜へと変化していく変容の物語。