ところで、裸の起源からのストーリーはその後どう展開するか。こんなことを考え続けているのがなんとも楽しい。
20万年〜30万年前(少なくとも16万年前)に生じた裸化と咽頭降下の同時突然変異。ヌードミュータントと音声毛づくろい。皮下脂肪の蓄積も始まった(ホロビン)。(脂肪酸には、ぽちゃぽちゃタイプの皮下脂肪・トリグリセリドと精密秩序タイプの脳細胞・リン脂質がある)
このヌードミュータントは、アフリカの高原地帯(たとえばエチオピア高原か)に孤立・隔離された状態でしか棲息できなかった。毛皮を失っているヌードミュータントはマラリア蚊にやられるからである。マラリアは今でも村を全滅させるほど恐ろしい。地理的に隔離されていたことは、ヒヒ抗体がないことが証拠になる(伊勢史郎)。音声毛づくろいは群の拡大を保障し結束を強固にした。(これについては伊勢史郎をみよ。また、家族の発生については今西錦司を勉強せよ。)
7万年前に氷河期が始まった。そして、この気候変動によってヌードミュータントは他の地域への移動が可能になった。たとえば、ユーラシア大陸の寒帯地域やオーストラリア(5万年前)へ進出した。このころ衣類を発明した。アタマジラミからコロモジラミの分化はDNA分析で7万年前であることが判明している。おそらく、衣服の恒常的着用は7年前にはじまったと考えられる。ところで、ネアンデルタールの生活跡はユーラシア大陸の寒帯にはない。
そして、4万5000年前にオーリニャック文化が開花した。
いくつか疑問点がある。
前頭葉の肥大化(ネオテニーか)はいつどのようにして起こったか。
ホロビンによれば、14万年前に人種の分化以前に分裂病の遺伝子をもったということである。裸化と皮下脂肪蓄積とが関連しているとすれば、そして、皮下脂肪をヒトに与えた遺伝子が分裂病をもたらしたとすれば、裸化と同時ないし直後のある時期にこのヌードミュータントは分裂病をもったということになる。