現生人類のネオテニー仮説

 原生人類は20万年前から10万年前の間に独自の進化をとげた。前頭葉を発達させるネオテニーである。
 やはり、ネアンデルタール人の技術活動が気になる。彼らはいったいどのような気持ちで生きていたのか。自閉症だったのか。あるいはサヴァン。古代型サピエンスの技術的知能は原生人類(ホモサピエンス・サピエンス)の文明活動の前適応であったか。あるいは転用か。
 伊勢史郎によれば、類人猿の脳は3段階で進化した。
1 ネオテニーによる脳の大規模化。
 脳の大規模化は、直立二足歩行の恒常化による骨盤/骨格構造の変化によって促進される。これは水生説によって説明可能。島泰三の骨/骨髄の主食化説との関係を検討すること。
 これがピークに達するのがネアンデルタール人である。難産になるため脳の大型化はここでストップする。前頭葉の発達のネオテニーは彼らにおいては生じなかった。これがポイント。
2 前頭葉のみの発達。
 このネオテニーは、現世人類において発現した。およそ10万年前。群の強い結束力により地球上に拡散していった。ホロビンによれば、このとき分裂病遺伝子を獲得したか。(なぜならば、現世人類のあらゆる人種に分裂病が一定の割合で出現しているから。)
3 脳内スイッチON。
 およそ3万年前に快感レバー装置が脳内に自前で形成された。つまり、ドーパミンを分泌するA10神経の無随化が生じる。あるいは、前頭葉に延びるA10神経から分泌されるドーパミンのオートレセプターが欠損する。これは伊勢によれば、同一種内での軋轢によりスイッチが入ったと説明している。
 新たな意味の発見によるよろこび
 伝達によるよろこび
 引き算について。松岡正剛によれば山水画は引き算である。ミズンによれば石器の製作も引き算。ということは技術はおしなべて引き算ということか。