田中宇氏の近未来予測。
反グローバリズムの旗手であり覇権放棄屋のドナルド・トランプは、中東やインド洋での米国覇権を放棄していくように仕向けていく。
「トランプは最近、好戦的な側近のボルトン安保担当補佐官らをけしかけ、今にもイランを空爆しそうな勢いの演技をしている。だがこれも「思い切り引っ張った後、反対方向に飛ばす」ためのトランプの策略だ。トランプは、側近に好戦的なイラン敵視をやらせる一方で、自分自身はイランと話し合いをしたいと言い続けている。イランは「トランプのウソには乗らないぞ」と拒否しているが、トランプが「イランと戦争しない。交渉したい」と言っている限り戦争にはならない。米国は03年のイラク侵攻前、イラクのフセイン政権が交渉したいと懇願してきたのを拒否して侵攻した。当時と状況が正反対だ。」
トランプがイランに対して戦争と交渉の両方の印象を混乱的に発信し続けていくことによって、サウジアラビアやイスラエルやEU諸国はトランプに付き合い続けられなくなり、個別的にイランと和平状態や不可侵協定を結んでいくようになる。これがトランプの作戦。
さらにロシアとの関係はどうか。
「トランプ自身、ロシアゲートの濡れ衣が晴らされ、来年の大統領選挙に本格突入する前に、ロシアと劇的な和解を画策する可能性がある。INFの再交渉と称する、米露中の核軍縮交渉もありうる。その前に日露の関係が好転しても不思議でない。EUや英国も、トランプの対露戦略を探っているはずだ。ロシアとEU、ロシアと英国(新首相になるジョンソンはロシア好き)が、いつ和解へと転換して進んでいくかという、西方の情勢の好転と、日露の和解が連動していくかもしれない。」