7月11日時点における二人の世界状況分析。
この二人の現状分析と予測を対比しながら読んでおくのがいいかもです。
[2330]これからの世界政治の動きを見る目。トランプという男の本性(ほんしょう)
投稿者:副島隆彦
投稿日:2018-07-12 22:29:20
副島隆彦です。今日は、2018年7月11日(木)です。
私は、ずっと、自分の「世界史の本」を書くことに熱中していました。
この 2カ月、「副島隆彦の 独学の世界史の通史(つうし)」を書いている。
「 3200年の イスラエル(=パレスティナ、カナンの地)を中心に置いて。 エジプトと メソポタミア・バビロニア それぞれの5000年の人類史の、その真ん中で、3200年の歴史(モーセの出エジプト記から)を持つ者たち(ユダヤ人) とは、何者だったのか、どのようにして作られた、あるいは自らを作ったのか。その正体に迫る 」という、「副島隆彦の 独学の 3200年の世界史通史(つうし)」(仮題)を書いていました。
それから、先日、ある優れた編集者から以下の書名(タイトル)案の本の提案をいただいた。それは、
「アメリカが中国に 屈服するとき、日本に何が起きるか (サブタイトル)そろそろ私たちは 日本の独立を本気で考えるべき時が来た」 という長い書名の 提案だ。
このまま、行けば、中国がますます隆盛して、中国の勝ちで、中国が、もうすぐアメリカをも蹴落として世界を制覇するだろう、と、今では、ほとんどの日本人が考えるようになっている。
この 「やがて中国が世界覇権国(世界帝国)になる」は、私、副島隆彦は、20年前から、ずっと主張して何冊もの本に書いてきたことだ。 私の十八番(おはこ)である。このことは、読書人階級に属する人間たちの周知の事実だ。
もし、トランプ大統領が言ったとおり、「 在韓米軍 3万2千人を撤退させたい」ということになれば、一体、どういうことになるか。 中国が、北朝鮮も、韓国も、そして、ついには、日本も、支配下に置く、という、そういう時代が、あと十年後には来る、と、書いて奇異(きい)に思う日本人は、もういなく。
日本人のほとんどにとっては、不愉快な話だ。 私も不愉快だ。 日本が、中国の、属国、朝貢国、被支配国、従属国になってしまう、という考え自体を、どうやって、断ち切ることが出来るのか、ということの、日本の長期の国家戦略(ナショナル・ストラテジー)を、どうやって作るか、 で、私、副島隆彦も苦心、苦衷している。
敗戦後、アメリカによる日本の占領、支配、そしてその忠実な属国としての支配が、もう73年間も続いている。在日米軍も、徐々に撤退、ということになると、日本は、いよいよ、独立、自立する、段階に入る。そのとき、日本独立は、日本国民の悲願だ、と本当に言えるか。
アメリカ帝国 の撤退 のすぐあとに、それに入れ替わって、中国による日本支配、が、すぐに始まるようだと、日本国、はものすごく厳しい状況に追い詰めらる。 日本独立、どころの騒ぎではなくなる。別の帝国による支配が始まる。 だから、アメリカ様(さま)に、何があっても、しっかりしがみついて行きます、という判断に、日本国民がなる。 それが、アメリカの思う壺(つぼ)だ、で、ずっとやってきた。
それ以外は、目の前の現実である 中国の隆盛(りゅうせい)に何としても、ケチをつけて、「中国崩壊論」という有りもしない虚妄を言い続けて、それで、自分自身の脳内をダマし続ける愚かな反共右翼の人間たちだけが残っている。
ところが、トランプという、特異な男には、こんな、考えさえも通用しない。
トランプは、何をし出すか、分からない男だ、という 恐怖感が、日本人の中にも、生まれつつある。今のままの、「アメリカは、もう、自分たちの利益のことしか考えない。アメリカ国民の生活をなんとかするだけで、精一杯だ 」という、 トランプ大統領の、なりふり構わぬ「アメリカ・ファースト!」 America First ! 「アメリカ国内問題が優先だ。外国は、もっとアメリカにカネを払え」で突き進む。
今や、このやり方は、「トランプ・ドクトリン」と呼べるほどのものになってしまった。今のアメリカ政府の動きを見ていると、周囲の者、すなわちアメリカ合衆国以外の、外側の人間たちにとっては、 「もう目も当てられないぐらい、アメリカの凋落(ちょうらく)は、ひどいものだ。醜態(しゅうたい)だ」 「 アメリカはあんなに強そうにしていて、それでいて、今や、こんなにも力がない。実際には、小さな戦争(スモール・ウオー)ひとつ出来ない。図体(ずうたい)だけ大きくて、強そうに見せかけている軍人たちを抱えただけの、臆病者たちの国だ 」と、まわりは、本当にガッカリを通り越して、意気消沈している。
「これから先も、このあとも、しっかりとアメリカについて行くしかないのだ。 アメリカに逆(さか)らって、いいことは何もない」 と、 日本の 体制保守派の人たちは、安倍政権と一緒になって、 どこまでも、対米従属を、屈辱的にまで、続けている。
トランプの、あの、6月12日のシンガポール米朝(べいちょう)会談での、「もう、何が何でも、どうでもいいから、上から柔らかく、金正恩(キム・ジョンウン)を押さえつけて、何が何でも、北朝鮮の核保有問題を、平和的に解決しなければ、いけないのだ」 というトランプの、商売人根性丸出しの、 恐るべき、やり方、は、世界中の人々を悄然(しょうぜん)とさせた。
日本国民の多くが、感じたのは、 「ああ、アメリカは、いざとなったら、日本を守ってくれないんだ。日本は、これまで、お金ばっかり、たくさん払わされて」というものだった。
この日本国民の、大(だい)失望、驚愕そして、「日本は何にも出来ない。日本には、全く手がない」という 八方塞(はっぽうふさ)がりの茫然自失だった。あれから、丁度1か月が経(た)つが、日本人は、この虚脱感から、回復していない。立ち直っていない。
それは、有識者や、知識人層だけはない、 ふつうの国民の、少しは、国の将来や、国民のこれからの暮らしのことを、真剣に考えている層が、そのように反応した。
トランプは、「日本は、安倍晋三さえ、しっかり、自分が捕まえていさえすれば大丈夫だ。あとの国民は、首相のアベさえ、押さえ込んで、自分の言うことを聞かせおけば、どうにでもなる」 という 考えだ。
事実、日本人は、すべて、アリンコのようなもので、首相を取られたら、どうにも動けない。そういう仕組みの国にされてしまっている。このオカシナ首相の下で、私たちは、いいように、アメリカのトランプに、あやつられている。手も足も出ない、という状況だ。
北朝鮮は、さらに、今以上に、核兵器の開発の施設を拡充して、核保有を、これからも続けて、それを、国際社会(=世界)に、居直って、既成事実として認めさせようという考えである。そのことは、もう、誰の目にも明だかだ。 北朝鮮の完全な非核化( complete denuclearization コンプリート・ディーニュークリアライゼンション)は、出来ない。
アメリカは、あのとき、「誰が、アジア人なんかのために、アメリカの軍人、兵士が、血を流すもんか。誰が、アジアでの戦争なんかするもんな」 と、急激に、態度変更をした。
「自分たちにさえ核兵器が飛んで来ないのなら、それで、いい。あとは知ったとこではない。あとはアジア人たちが、自分たちで勝手にやれ」という、決断をした。 これがアメリカ白人たちの、あのときの、急激な思考転換、変心、心変わり だった。5月ぐらいから、それが起きていた。それを私を含めて、多くの人間が、読み誤った。
「1968年の、ベトナムでの、テト攻勢での、ベトナム戦争が泥沼化した、あの時のことが、アメリカ国民のトラウマになっている。だから、アジアでの戦争は、もう、いやだ。やりたくない」という気持ちに、一気に崩れていった。
北朝鮮は、これからも、今のままだ。この問題はこの先もずっと続く。北朝鮮は、核兵器を持ち続ける。ICBMの開発も続けて、アメリカ大陸まで届く、1万キロ正確に飛んで、ワシントンのトランプの執務室の真上を目標にして到達し、確実に爆発する、核ミサイルを、持ち続ける。
だから、問題は、何も解決していない。 ズルズルと、このまま、これから先も北朝鮮の核(かく)問題は、続いて行く。
次の世界政治の日程は、9月の ウラジオストクでの、プーチン主催の 経済フォーラムに、金正恩が、招待されていて、そこで、ロシアが、北朝鮮への 天然ガスのパイプラインの 引き込みの話をするだろう。 まだ、北朝鮮への 国連決議、としての 経済制裁(エコノミック・サンクション。 禁輸。エンバーゴー)は、全く、解除も緩和も、されていないのに、どんどんこういう話になる。
日本の安倍首相も、このときウラジオストクで、金正恩との日朝会談を希望している、というのである。一体、どの面(つら)下げて、そういう「対話の場を作りたい」と言えるのか。 中国の習近平は、自分が、この秋に、北朝鮮を訪問する予定もあるらしい。これが、キタナラしく続いてゆく、世界の現実政治(リアル・ポリティクス)だ。
この他は、今や、シリアの西の 、現在は、イスラエルが占領していて(1968年の第3次中東戦争で)実効支配しているゴラン高原から、数キロ先まで、ついに、イラン正規軍(革命防衛隊=レヴョルーショナリー・ガード=という民兵組織のふりをしてるが)が、迫っている。 ゴラン高原を、シリアとイラン、そして、ヒズボッラーというレバノンの親イラン・シーア派の軍事組織が、奪還の、戦争を始めたら、中東が再び、荒れる。
イランと、シリア正規軍は、「S300」という、ロシアの、地対空(ちたいくう)ミサイルを、購入して、かつ、自分たちで、性格に撃てるようになった。それで、イスラエルの戦闘爆撃機を、打ち落とせるようになった。 イスラエルが、これまでのように、この地域の制空権を持つ、ということがなくなった。
この事態に、慌てふためいているネタニエフ首相は、おとといも、ロシアに飛んでいって、「プーチン、お願いだ。イラン軍を、シリアから撤退させてくれ。圧力を掛けてくれ」と、お願い、懇願(こんがん)しに行った。 アメリカのトランプは、イスラエルだけは、助けなければいけない。それなのに、救援できない。
だから、このことは、前述したが、私、副島隆彦が、ずっと言い続けている「アメリカは、国内のことで、手一杯だ。外国のことなど構っていられない」の、アイソレイショニズム=ポピュリズム=リバータリアニズム で、「外国のことに関わりたくない」の 政治思想、信念で動く。だから、イスラエルさえ、見捨てようとする。 ここで、アメリカに捨てられる、日本と、イスラエルが、実のよく似ているのだ。
だから、この16日に、トランプと、プーチンが、このことで、ヘルシンキで? 会談する。「イラン軍を、シリアから撤退させるように、ロシアは、イラン政府に圧力をかけろ。その見返りに、アメリカは、ロシアの クリミアの領有を認める(ウクライナからの分離を支持する)」という取引き、駆け引きをしようとしている。 トランプには、世界政治=外交 では、これぐらいの手しかないのだ。
北朝鮮、ひとつ、片づけられないのに、その10倍は大変な、イランの秘密の核保有の問題を、なんとかする、ことなど出来ない。 いくら、「イランの石油を、輸入するな。イランと取引している国は、アメリカが制裁を加える」と、西側同盟国(ヨーロッパ と日本 )を脅しても、イランは、インドと、中国に、石油を売る。 インドと中国は、いくらでもイランから買う。
北朝鮮については、中国が、本気で怒り出すまで、北朝鮮は核開発を続けるだろう。中国は、北朝鮮が、自分に、進んで屈従、屈服して、長い伝統に従って、帝国への藩国(はんこく)、朝貢国として、旧来通り、臣従をしてくれれば、それでいい、それなら、核兵器の保有を許してやる、と、考えるほど、中国もお人好しではない。 北朝鮮の核兵器は、中国にも届くし、北京をも 狙っているのだ。
トランプが、また、あの異常な性格だから、気が変わって、「北朝鮮の金正恩は、私との約束を守らないのだな。それなら、私も考えを変える」と、再び、“元の木阿弥”、で、軍事対決路線に、戻るだろう。 これから先の、極東(きょくとう)情勢は、これまでと、全く同じ、緊張したままの、政情不安のまま続いてゆく。
あのとき、トランプが、決意して、北朝鮮に、軍事攻撃を掛けて、強制的に、核施設を破棄して、たたき壊していた方が、世界にとって、ずっと、よいことだったのだ。 それを、トランプは、自分の商売人の本性(ほんしょう)で、相手を、どんなことをしてでも、自分との取引に応じさせて、そして、上手に騙(だま)してしまえばいい、という、策略に出た。
あのやり方の巧妙さと、同時に、手口の穢(きたな)さが、アメリカ国内の外交の専門家たちに、もの凄く評判が悪い。
私は、これから、「トランプという男の 本性(ほんしょう)が、ようやく分かった」 を書く。 私は、トランプという人間を、どうも見損なってきた。 この人物は、私の想像を遥(はる)かに超えて、とんでもない人間なのだ。
このことが、これまで実感で分からなかったで、この私でさえ、トランプという 巨大な人騙(ひどだま)しのプロフェッショナルが分からなかった。
私は、ようやく、ドナルド・トランプという人物が、どういう人間か、腹の底から分かった。この人物は、私が、2年前に書き始めて、今では日本国内で、広く語られるようになったことだが、「トランプは、商売人(しょうばいにん)だ」
「 トランプは、不動産業、デベロッパーの歓楽地用の巨大建設物を作るのが専門の実業家で、根っからの経営者だ」 という、当たり前の言い方がある。まさしく、この通りだ。 トランプは、腹の底から商売人で、ド穢(ぎたな)い 男で、 自分と取引する、すべての 人間を、すべて、ダマして、そして、相手から、取引されたすべてを奪い取る人間だ。
アメリカ人は、その人が、どういう信念(ビリーフ belief )で生きているかを、お互い公表し合いながら生きている。宗教や思想信条についても公表し合っている。 だから、その人が、その人の思想、信念に忠実に発言し行動する限り、決して批判、非難されない。
トランプの場合、彼の思想、信条は、「 駆け引き、取引(ディール deal )をする人間」 として、公表している。だから、すべてが、取引、駆け引きなのだ。 だから、この自分の信念に忠実で有る限り、誰もトランプを非難できない。 そして、アメリカ国民は、この男を自分たちの指導者に選んだ。 このことが、重要だ。
今のアメリカ国民は、余裕がなくなって、どんなことをしてもいいから、外国人たち、外国政府から、アメリカの利益を取って来てくれ、という考えで動いている。 「そして、その契約から生まれる、経費、費用は、すべて、相手に払わせる」ということを、公言するトランプを頼もしいと、思ってる。
この、どんなことも、すべて取引、駆け引きである、どんなに穢(きたな)い手を使ってでも、相手に上手に勝った人間が、エライのだ、という 原理で まさしく、トランプは、動いている。このことに、私たち日本人が、急いで、はっきりと知って、そして、トランプに対して、十分に身構える必要がある。
トランプは、一円も、一ドルも、相手に渡さない。返さない。利益を分け合う、ということもしない。すべて 自分の物にする。 そういう男なのだ。 だから、まさしくトランプは、ニューヨークの 大金持ち、実業家の 強欲(ごうよく greed グリード )の思想の頂点を極めた、ユダヤ人そのものだ。
トランプは、ドイツ系の移民の3世だと分かられてる。このことは、血族の行方から証明されているが、その本性(ほんしょう) は、まさしくユダヤ人だ。
彼は、ユダヤ人と全く同じ精神構造をしている、カルヴァン派プロテスタントの、倫理観(りんりかん ethics エシックス、ethos エトス、イーソス)をしている。この生き方を、徹底的に突き詰めた、自分の思想に忠実な男だ。
カルヴァン派(ピューリタンはその別名)にプロテスタントは、ユダヤ人の生き方、ジュダイズム(ユダヤ教。これは ユダヤ思想とも訳せる)と、ほとんど同じ思想なのである。 このことを、今度、私は弟子たちとの、2005年に出した本の新装版で、13年ぶりの改訂版である、『 金儲けの精神を ユダヤ思想に学ぶ 』 (祥伝社新書刊) を、この5月に出した。買って読んでください。
ニューヨークのユダヤ人たちの、突き抜けた強欲の思想で、トランプは、生きている。「ここでは、それが当たり前なのだ。騙された相手が、悪い」 というのが、ニューヨーカーたちの生き方だ。
日本人でも、根っからの、生まれた時からの 商売人、実業家、経営者たちには、トランプの、このやり口、生き方が、よく分かるらしい。 商売人は、自分の仕事仲間たちでさえ、騙す。人を、取引で、騙すことが、当たり前の世界を生きている。
だから、このことが、外交理論とか、国政政治とかの 専門家(エキスパート)や、ジャーナリスト、言論人たちに、理解できない。 だからトランプが突飛な発言をし、交渉相手を、面食らわせるような行動に出ることに、まだ慣れないものだから、自分たちの方が、狼狽(うろた)える。
トランプは、従来の、これまでの、アメリカの政治家たちがやってきた、やり方はしない。これまでの考え方では、この男には通用しない。
これまでとは、全く違ったやり方をする。どんなキタナイ手でも使う、そして、相手を、追い詰めて、屈服させる。
トランプは、自分のすぐ身近にいる人間たちでも、絶対に信用しない。すべて、疑ってかかって、「いつこいつが、自分を裏切るか」を、冷酷に観察している。 そして、用がなくなった、と思ったら、すぐに切り捨てる。 容赦はない。
例外は、娘のイヴァンカと、その旦那の、若くして、恐ろしい男である、ジャレット・クシュナー(36歳)だけだろう。この男も、トランプと同じ、ニューヨークで、「すべての人をだます」ビジネス(商売)で、生きて来た人物だ。
この 娘夫婦以外は、トランプにとっては、使用人であり、いつかは、切り捨てる対象だ。 すべて火傷(やけど)を負って追い出されて行く。まさしく人使いの荒い 経営者のやり方だ。
「ご苦労さんだった。○ ○君は、実によい仕事をしてくれた。有能な人物だった 」と、決まり決まった、コトバを掛けて、人を 追い出す。そうしないと、残酷に非情さだけで、首を切ったら、その解雇された従業員が、必ず自分を刺しに来るからだ。
生まれながらに、優れた、すなわち、凍り付くような人間関係、仕事での取引、を生きて来た、経営者、商売人というのは、こういう人たちだ。
私は、日本国民に、このことを、今から、もっともっと、教えて、詳しく説明して、トランプという、 「すべてが駆け引きだ」の頂点を際めた恐ろしい男に、十分、用心して、注意深くなって、警戒して、これからは、対応しなければいけないのだ、と、警告を発することにする。
トランプが、どれぐらいの獰猛(どうもう)さで、自分に寄ってきて取引する人間たちや、自分のすぐ周囲にいる、すべての人間 を食い殺す人間であるか。 このことを、私は、 日本の在野の 国家戦略家(こっかせんっりゃくか)として、 日本国民に、警告を発する。
このことを日本の指導者層に向けても発信する。 日本の権力者層、指導者層、大企業経営者たちと、日本の各界(かくかい)の親分衆に対しても警戒するように、注意を促し続ける。私、副島隆彦が、このように 決意、決断して動くことが、日本国、日本国民の重大な利益だからだ。
再度、書くが、トランプは、日本だったら、安倍晋三首相ひとりの 首根っこさえ、押さえつけて、自分の言うことを、全部、逐一、聞かせていれば、それで、いいのだ、と 知っている。最近も、トランプが、安倍に、「北朝鮮の核兵器の処理のために、日本は、500億ドル(5.5兆円)払え」と言った、と報道された。
菅義偉官房長官が、それを、公式に否定した(後ろに記事を載せる) 。この日本が払うべき5百億ドル、のトランプの発言は本当にあっただろう。日本人なんか、安倍さえ、捕まえておけば、あとはアリンコの集団のようなもので、どうにでもなる、 と、トランプは分かっている。
事実、そうだ。 アベさえ押さえつければ、日本などと言う、 アジアの一国の手駒(てごま)は、自分のいいように、操(あやつ)れる、と分かっている。
先の戦争のあと、ダグラス・マッカーサー大将(4つ星将軍)が、戦争の勝利者として、日本に、進駐軍( SCAP スキャップ、という。GHQ は、その建物俗称 )としてやってきて、皇居の お堀の隣から、昭和天皇ヒロヒトさえ、自分が、いいように動かせれば、日本人は、すべて言うことを聞く、と知っていて、そのように占領政策を実施したことと、同じだ.もっと、悪い。 マッカーサーは、まだ、上品だった。知性と教養があった。それがトランプには、ない。 ニューヨークの クイーンズ区(ワード)の外れ、という 日本の江東区、足立区、江戸川区のようなところで育った、若いときから不動産業者として抜け目のない、したたかな生き方をしてきた人物だ。
(以下は、新聞記事の、転載貼り付け始め )
○「 5兆円拠出報道を否定=菅官房長官 」
時事通信 2018/06/25
菅義偉官房長官は、6月25日の記者会見で、トランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党委員長に対して、北朝鮮の非核化費用として日本に約5兆5000億円を拠出させる約束を交わしていたとの一部報道について「報道にあったような事実は全くない」と述べ、否定した。
○「 米朝交渉、食い違い鮮明=非核化プロセスで溝―ポンペオ氏訪朝 」
報道陣を前に厳(きび)しい表情を見せるポンペオ米国務長官=7日撮影、平壌
2018年7/9(月) ワシントン時事通信
北朝鮮の非核化に向けた米朝交渉で食い違いがより鮮明になっている。
完全非核化まで「制裁継続」=米国務長官
6、7の両日に訪朝し、高官協議を行ったポンペオ国務長官は「進展があった」と強調するが、北朝鮮は「米国は一方的かつ高圧的だった」(外務省報道官談話)と不満を表明。「非核化の意志が揺らぎかねない」と警告した。6月12日の米朝首脳会談から約1カ月がたっても非核化のプロセスで依然溝が埋まっていないことが浮き彫りになった。
北朝鮮の強硬姿勢について、協議を長引かせて交渉の主導権を握るための「戦術」との見方もある。ポンペオ氏は8日の東京での記者会見で、会談後の論評に注意を払うつもりはないと述べ、問題視しない構えを示した。その上で「われわれは誠実で建設的な対話を行った。今後も継続する」と述べた。
過去の交渉でも見られた時間稼ぎが有効かどうかは、トランプ大統領次第だ。11月の中間選挙までに外交成果を得たいトランプ氏は交渉に前のめりになっているが、思うような成果が得られなければ、「(圧力を強める)別の方法に戻る」とけん制もしている。
CNNテレビによると、ホワイトハウスや国務省内では、遅くとも8月末までに非核化の明確な計画が必要だという意見がある。進展がなければ、米朝交渉を優先するために中止を決めた米韓合同軍事演習の再開もあり得るという。
• 米朝、非核化で平行線=北朝鮮「遺憾」と反発−米国務長官、訪朝終え来日
• 米朝協議で拉致提起=ポンペオ国務長官、安倍首相と会談
• 安倍氏の「非核化費用」発言批判=拉致提起にも不快感−北朝鮮
○「完全非核化まで制裁」 日米韓外相、対北朝鮮で結束
2018/7/8 日経新聞
日米韓3カ国の外相は8日、都内で会談し、北朝鮮の完全な非核化を実現するまで経済制裁を維持する方針を確認した。ポンペオ米国務長官は会談終了後の記者会見で、6〜7日の米朝高官協議で「北朝鮮は完全な非核化を再び約束した」と表明。交渉が前進していると強調した。
日韓両国も米朝協議を後押しし、交渉が進展するよう結束を図る考えで一致した。
日米韓外相 完全非核化の結束確認
日米韓の外相会談が8日都内で開かれ、北朝鮮の完全な非核化実現に向けて結束する方針を確認した。ポンペオ米国務長官はこの間、経済制裁を続ける考えを示した。
ポンペオ氏は3外相会談で、北朝鮮の平壌で金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長と話した内容について河野太郎外相と康京和(カン・ギョンファ)韓国外相に説明。完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)をめざす方針を共有した。核関連施設の査察や核兵器の国外搬出など、具体的な非核化プロセスでの3カ国の協力を擦り合わせた。
ポンペオ氏は朝鮮戦争で亡くなった米兵の遺骨返還について7月中旬に協議することや、北朝鮮がエンジンミサイルの試験施設を破壊する意向を示したことも報告した。日本人拉致問題を改めて提起したことも説明し「北朝鮮と話すたびに毎回取り上げている」と述べた。河野氏は謝意を示した。
ポンペオ氏は会談後の記者会見で「北朝鮮が完全な非核化を達成するまで制裁は継続する」と明言。「話し合いの進捗だけでは制裁を緩めることはできない」とも話した。制裁をテコに、北朝鮮から非核化に向けた具体的な行動を引き出したい考えだ。
ポンペオ氏、北朝鮮に反論「それが強盗なら、世界中が強盗 」
北朝鮮は米国の非核化の要求を「強盗のような要求」などと非難を強めている。ポンペオ氏は「それを強盗というなら世界中が強盗になる」と反論した。7月8日のツイッターでは6月の米朝会談前後から使っていない「最大限の圧力」の言葉を使うなど、北朝鮮からのけん制に反応するような言動もみられた。
安倍晋三首相は同日、首相官邸でポンペオ氏、康氏とそれぞれ会談した。ポンペオ氏との会談では拉致問題の早期解決に向け、日米の協力を改めて確認した。首相は「北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題の解決は日本と地域の平和と安定に極めて重要だ。日米で連携して解決したい」と話した。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
●意外にしぶとい米朝和解
2018年7月11日 田中 宇
http://tanakanews.com/180711korea.htm________________________________________
6月中旬のシンガポールでの米朝首脳会談のあと、2週間後ぐらいから「北朝鮮が核兵器開発を再び加速している」「ミサイル工場も拡張している」といった報道が、米国で相次いで出てきた。北朝鮮を上空から撮影した人工衛星写真を解析して北の軍事情勢などを分析する米国のシンクタンク「38ノース」が6月末、北のヨンビョンの核施設で増設工事らしき動きがあると結論づけ、これをWSJが報じた。38ノースは、6月21日に民間人工衛星が撮影した写真を分析し、寧辺のプルトニウムを製造していた原子炉の冷却装置に改良工事が加えられており、同じ敷地内の軽水炉でも建設工事が行われていると結論づけた。 (North Korea Still Building at Nuclear Research Facility Despite Summit Diplomacy) (North Korea Keeps Enriching Uranium)
WSJはその後、別の分析機関(Middlebury Institute of International Studies)が、北朝鮮の弾道ミサイル製造工場でも、シンガポール会談と同時期に建設工事が行われていたと衛星写真解析から結論づけたことも報じている。 (North Korea Expands Key Missile-Manufacturing Plant) (N Korea boosting weapon-grade uranium enrichment at secret sites: US report)
ほぼ同時期に、米国防総省の諜報機関であるDIAが、これまでの米朝交渉で北朝鮮が米国に、北が持っている核弾頭やミサイルの総数や性能について間違った情報を伝えていたとする秘密の報告書を作成したと、NBCとワシントンポストが報じた。NBCは、北が秘密の場所で核兵器開発を続けているとする米諜報界の匿名情報もあわせて報じている。 (North Korea has increased nuclear production at secret sites, say U.S. officials) (North Korea working to conceal key aspects of its nuclear program, U.S. officials say)
これらの記事が出たあと「それみろ」「やはり北朝鮮は信用できない」「トランプは金正恩にだまされた」「トランプ外交は失敗した」「外交専門家がみんな反対したのに米朝首脳会談を強行したトランプが間違っていた」といった論調が米言論界に広がり始めた。 (America’s Moment of Truth With North Korea Is Coming)
7月11日には、ポンペオ国務長官が訪朝したが金正恩に会わせてもらえなかった。この時の米朝交渉で何が話されたか定かでないが、交渉後、北朝鮮の国営通信社が「米国がヤクザな要求をしてきた」「米朝和解を決めた首脳会談の精神に反している」と米国を非難する論評を流した。ポンペオが北に、核ミサイルの開発中止を要求し、北がそれを強く拒否したとの見方が流布している。 (Trump’s North Korea Policy: Treating Reality Like Reality Television) (KRN North Korean Denuclearization Talks Uncertain After Pompeo Visit)
シンガポール会談の直前、トランプは「北の核廃絶を速攻でやる」と宣言していたが、会談直後には「北の核廃絶は時間がかかる」と態度を転換した。ポンペオらトランプ側近は「年内に北核廃絶にめどをつける」と言っていたのが「次の大統領選挙(2020年)までにやる」に変わり、今回ポンペオは訪朝後に「北の核廃絶は何十年もかかる」と発言し、期間的に大幅後退した。核廃絶をめぐる米朝の交渉が難渋していることがうかがえる。北が「経済制裁解除など、米国が北敵視をやめたと判断されるまで核廃絶を進めない」と言い出したことが難渋の原因と言われている。 (Pompeo says North Korea denuclearization "decades long" challenge) (North Korea Slams "Extremely Troubling" US Attitude, Says "Resolve For Denuclearization" May Falter)
トランプと軍産複合体との暗闘構造が見えている分析者の間では、「北が核開発を再開した」「北は自国の核能力について米国にウソをついた」という38ノースやDIAの分析結果を「トランプの米朝和解を潰そうとする軍産の情報歪曲の策略」だと見る向きがある。DIAは軍産そのものだし、38ノースは、軍産ネオコン的なSAISやスティムソンセンターの傘下にあり、最近文在寅の韓国政府からもらっていた資金を絶たれ、財政的に軍産依存が強まっている。DIAの報告書なるものが本当に存在しているかどうかも不確定だ。軍産が米朝和解に猛反対なのは確かだ。 (Despite Anonymous Carpingあら探し, US–North Korea Talks Continue) (CIA Teams Up With Defense Industry To Undermine Korea Negotiations)
しかし、その一方で北朝鮮が、人工衛星から見えると知りつつ核開発施設を増強したり、保有核弾頭数をごまかして米国に伝えるといったことを、交渉術として平気でやりかねないのも事実だ。北は、米国がどう反応するかを見るために、意図的に施設増強っぽい工事を進めている可能性がある(建屋だけ増築し、中身は空っぽといったこともありうる)。米国は北に核廃絶を求めているが、中露はもっと寛容な「核ミサイル開発の凍結(すでに作った核兵器は隠し持っても良い)」を求めている。最終的な落とし所は中露主張のダブル凍結案だろうが、北の核施設増強は、このダブル凍結案にすら違反している。北は、わざと違反してみせることで、米中露の反応をうかがっている。 ("They're Trying To Deceive Us" - North Korea Adding To Nuclear Stockpiles, Satellite Photos Reveal) (北朝鮮を中韓露に任せるトランプ)
そもそもDIAなど米諜報界は、北が核弾頭を何発持っているか確定的な数字をおそらく持っていない。確定的な保有弾頭数を知らない以上、DIAが「北は保有核弾頭数についてウソを言っている」と確定的に言うこともできない。同時に、米国が北の弾頭数を知らないなら、北が適当なウソの数字しか言わないことがほぼ確実だ。 (No One Knows What Kim Jong Un Promised Trump)
このようにトランプ政権は、軍産と北朝鮮の両方から反逆・妨害・試練付与され、窮した感じになっている。政権入りの前は北の政権転覆を主張していたネオコン出身のボルトン安保補佐官が、北の核開発再開について記者団から問われて「大した問題でない」と苦しい返答をしているのは「奇妙」を通り越して「お笑い」だ。以前は北を先制攻撃すると脅していたトランプが、今では「北は間違いなく核廃絶をやり遂げる」と言っているのもお笑いだ。 (Bolton undermines alleged attempts by N Korea to hide nuclear activities) (Trump ‘Confident’ North Korea’s Kim Will Honor Commitment to Denuclearize)
▼トランプが米国の北敵視を抑えている限り南北和解と極東の非米化が進む
とはいえ、トランプ政権が北と軍産からやり込められて「失敗」しているのかというと、そうではない。トランプたちは北と軍産からやり込められているが、これはトランプらがやりたくてやっている、意図的な戦略の結果である。 (トランプのイランと北朝鮮への戦略は同根)
トランプ政権の目標は、米国の覇権体制の解体だ。前回の記事「ポスト真実の覇権暗闘」でも少し説明したが、第2次大戦後に米国が覇権国になって以来、米覇権の運営は英国イスラエルG7など同盟諸国と米国の軍産に牛耳られ、同盟国や軍産が好む世界的な対立構造(東西冷戦、米欧イスラエル対イスラム世界)に恒久的に陥れられ、対立構造の敵にされた諸国(露中BRICイスラム)の経済発展が長期に妨害され、世界経済の全体的な成長が阻害されてきた。 (ポスト真実の覇権暗闘)
冷戦下、世界経済の成長は西側だけになったが、それも米欧日の経済成熟化で成長が低下し、80年代の米ソ和解・冷戦終結が必要になった。冷戦終結で、世界的な対立構造の終焉と、旧東側や途上国(のちのBRICSや新興諸国)の発展が始まると思いきやそうならず、米国(米英)金融界が、長期的な債券金融システムの(バブル)膨張の仕組みを使った金融覇権の新体制を考案し、米国の覇権が延命した。01年の911テロ事件で、米国対イスラムの第2冷戦構造を引っさげて軍産が覇権運営権を奪回する展開も起きた。
金融覇権体制は、米国が無限の債券発行によって作った資金で世界から製品を輸入し、輸出国は輸出品の代金収入で、米国債など米国の債券を買い、資金を米国に還流させる仕組みだ。世界的な米金融覇権体制は1985年から20年あまり続いたが、バブル膨張が限界に達して08年のリーマン危機が起こり、その後は米日欧の中央銀行群が造幣して債券を買い支えるQE策で米覇権を延命させている。そのQEも、もう限界だ。バブル依存の米覇権体制とは別の世界体制を作って移行しないと、いずれ来るリーマン型の危機再来とともに、世界経済全体が長期に破綻してしまう。 (貿易戦争で世界を非米・多極化に押しやるトランプ)
ドイツや日本は戦後、米傀儡国になって対米従属なので覇権転換の主導役になれない(トランプはメルケルをわざと怒らせ、ドイツやEUの対米自立を扇動しているが)。最も期待できるのは中国やロシアなどBRICSであり、米上層部で米覇権の限界性を把握している人々(隠れ多極主義者たち)は、911後、米国が中露をことさら敵視する傾向を煽ることで中露やBRICSを団結させ、中露が多極化の準備をするようしむけた。こうした隠れ多極主義の流れをさらに一歩進めるために出てきたのがトランプ政権だ。中国は発展して経済大国になったが、いまだに中国経済は、対米輸出の見返りに米国債を買い支える米金融覇権の体制下にある。トランプは、中国を米覇権体制下から追い出し、中国中心の多極型の経済体制(一帯一路)への移行を加速させるために、中国にしつこく貿易戦争を挑んでいる。 (Paul Craig Roberts: "How Long Can The Federal Reserve Stave Off The Inevitable?")
トランプは「北朝鮮が米国の言うことを聞かずに核開発を再開しているのは、米朝和解を好まない中国が黒幕になって北を動かしているからだ」と言っている。実際には、中国も北に核開発をやめさせたい(北の核開発を煽ってきたのは、中国でなく米国の軍産だ)。トランプは、中国を怒らせ、米軍産のトランプ批判をかわすために、こんな歪曲分析を発している。中国は米朝会談後、対北制裁を事実上大幅緩和して北の経済を傘下に入れる傾向を復活しており、最終的には北朝鮮も韓国も中国の経済圏になる。それがトランプの目標でもある。 (Trump Suggests China May Be "Exerting Negative Pressure" On North Korea Deal)
トランプはNAFTAやTPPを離脱し、同盟諸国が米金融覇権に依存する体制を破壊している。彼はまた、7月11日からのNATOサミットで欧州諸国の軍事費の対米依存を批判し、欧州から米軍を撤退すると息巻いている。その一方で、多極化の雄であるロシアのプーチンと首脳会談し、プーチンへの支援を強めようとしている。トランプは、世界的な次の金融危機が起きる前に、覇権構造の多極化を加速しようと動き回っている。その一つが、シンガポール会談以来の米朝和解である。 (米露首脳会談で何がどうなる?)
トランプの米朝和解の意図を説明するために延々と書いてしまった。私の解説は、根本的な覇権体制の説明から始まるので長くなってしまう。北朝鮮問題におけるトランプの目標は、米朝が本格的に仲良くなることでない。トランプと金正恩の首脳間の個人的なつながりを創設することで、北朝鮮が米国からの脅威を感じない状態を作ってやり、北朝鮮が韓国と不可逆的に和解するように仕向けるのがトランプの目標だ。従来、北は米国から敵視されていたので、米国の傀儡国だった韓国と和解して軍縮してしまうことに懸念が残り、南北が和解できず、在韓米軍も撤退できなかった。トランプは北との首脳会談後、北から試されたりウソをつかれたりしているが、それでも北を擁護し、米国の北敵視への逆戻りを防いでいる。北も、米国をヤクザ呼ばわりして非難するが、米朝対話はやめないと宣言している。 (北朝鮮に甘くなったトランプ)
今のように、トランプが米国の北敵視策の再来を防いでいる限り、北は米国からの脅威を感じず、韓国と和解していける。南北の軍事連絡通信線の再開、38度線からの大砲の撤去、開城工業団地の再開、離散家族会合の再開、文化交流など、南北の和解が急進展している。この状態がこのまま2年も続けば、南北和解が定着し、韓国軍の米軍からの指揮権移譲の準備も進み、在韓米軍の撤退が可能になっていく。これがトランプの目標だと考えられる。 (Here's How North Korea Will Keep Some Nukes and Get Sanctions Relief)
7月16日の米露首脳会談では、トランプがプーチンに、北の核開発再開(の濡れ衣?)をやめさせてくれと頼むかもしれない。この依頼は、今後の北朝鮮問題におけるロシアの立場を強化する。北が本当に核開発を再開しているのなら、米露中が北に圧力をかける展開になるだろうし、米の軍産が情報歪曲をやっているのなら、露中が情報を修正し、軍産の歪曲が暴露されるかもしれない。トランプが北や軍産の妨害策に悩まされるほど、トランプは、プーチンや習近平に支援を頼み、トランプが露中の立場を強化する口実ができる。 (As Donald Trump’s North Korea Deal Collapses, Vladimir Putin Awaits)
ロシアにとって北朝鮮問題の次の節目は、9月上旬の東方経済フォーラムのサミットに金正恩を招待することだ。そこでは北各問題が話に出ず、北の経済開発に周辺諸国がどう関与するかという話になる。プーチン提案から1周年になる。そこには日本の安倍首相も参加し、日朝首脳会談が行われるかもしれない。 (プーチンが北朝鮮問題を解決する)
日本政府は、トランプからさらなる貿易戦争(関税引き上げ)を吹きかけられることを恐れている。そのため日本政府は、本心と裏腹に、トランプの対北和解に賛意を表明せざるを得ない。日本の本心は、北を敵視し続け、北を仮想敵とする在日米軍の駐留を恒久化し、対米従属を続けることだ。トランプの目標は、米朝和解を維持し、在韓米軍を撤退させた後、在日米軍も撤退させることだ。日本がトランプの関税引き上げを恐れ、トランプの機嫌をとるために米朝和解を礼賛し続けることは、在日米軍の撤退と、日本(官僚独裁機構)にとって不本意な対米従属の終わりにつながる。