小池新党に期待感あり

嘘と詭弁の安倍独裁政権を退場させるためには手段を選ばず。
モリカケ疑獄からの逃走解散でしたが、瓢箪から駒

安倍政治を終わらせるために、藁をもすがる気持ちで小池新党に期待したい。


注目すべきは、以下の政策。

1.「消費税増税凍結」(できれば5%にもどすべきじゃ)
2.「脱原発


陶芸家としても尊敬する細川護熙氏の以下の手記(サンデー毎日)を引用しておきます。

●いざ国政へ!?「小池新党」研究 「薩長同盟」「倒幕」の心得 細川護熙・元首相 特別手記
2017年7月18日
サンデー毎日

▼安倍首相よ、いまは「改憲」すべき時ではない!
 にわかに永田町がざわついてきた。東京都議選自民党を蹴散らした小池百合子旋風のせいである。「安倍1強」時代は終わるのか。かつて彼女を政界へ引き込んだ細川護熙元首相がいま、万感を込めて語る。「わが同志・小池百合子への期待」―。
 小池さんは1992年に私が日本新党を結党した時からの同志であり、縁も深い。まずもって勘がいいし、度胸がある。能力もある。防衛相だった時、私は事情はよく知らないが、あの「防衛省天皇」といわれた守屋武昌事務次官にもツメ腹を切らせた。誰にでもできることではない。
 来るべき総選挙で少なくとも東京の小選挙区で小池新党は戦うだろうし、全国展開もあり得る。むろん本人はやらないだろう。都政の改革、東京五輪の成功に専念するはずだ。小池新党が全国展開となれば、地方の首長はじめ日本新党出身の政治家は結構いる。政界、野党再編につながるかもしれない。小池さんは重要なプレーヤーとしての役割を果たすだろうし、期待もしている。
 小池さんには折に触れ会っている。都議選告示の2週間ほど前にも会った。マスコミに気づかれないよう、だいたい都内のホテルでコーヒーを飲みながら、相談を受けてきた。ぴりっとはしなかったが、豊洲市場問題は選挙までに明らかにしておくこととか、自民党の党籍は向こうが切るまで放っておけ、とアドバイスした。メールもくる。どうせならもっと大きな相談をしてほしいのだが、小さなことで〈一生のお願い〉などと大げさなのもあった。
 政治家で肝心なのは「国のかたち」をどうするかのビジョンを示すことだ。私は産業政策としても環境政策としても、そしてなにより文明論として原発ゼロを実現すべきだと思う。3年半前の都知事選にその1点で共鳴した小泉純一郎氏と挑んだ。小池さんにも原発のことは話している。ただ、どこに気を使っているのか、返事は「?」。少しあいまいな表現でもいいから、原発ゼロを目指すとの方向性くらいは示さないと、多くの国民はついてこないのだが。
 小池さんはパフォーマンスは上手だが、本心が見えないところがある。改憲なのか、護憲なのか、親自民なのかどうか。日本新党の時、私もマスコミから細川は改憲か、護憲か、自民の補完勢力か、非自民かとしつこく詰め寄られた。私はあいまいにしか答えなかった。「護憲的改憲」とか言ったりして。評論家の江藤淳さんはそんな私のことを「この男は天下を狙ってる」と言った。腹の内は見せたり、見せなかったりするぐらいの方がいいのかもしれないが。いつか小池さんが日本初の女性首相、日本新党から3人目の首相になるか? そればかりは運としか言いようがない。
「小池新党は飛躍の役割狙え」
 問題は野党である。民進党の責任は重いが、相変わらず浮足立ってバタバタしている。私のところに連絡がくるのは、逃げ出したい連中ばかりだ。落城とわかっても野田(佳彦)さんや岡田(克也)さんのようなサムライは最後まで城に立てこもる覚悟を決めているだろう。そこに初めて倒幕のための薩長同盟という可能性も生まれてくる。
 民進の核となる人たちと小池さんの党で倒幕がやれるのではないか。すぐ逃げ出したり、よそと合併したがる連中がいるが、合併する必要など全然ない。細川政権も8党会派の同盟だった。逃げ出す奴(やつ)は逃がせ。そういう連中がいない方が、薩長同盟はやりやすい。
 私は本質的に保守中道路線だ。保守中道とは、不完全な人間による不完全な政治、政策は常に改革―微調整をし続けなければならないということだ。ただ現実的には改革は一定速度というものではなく、時に停滞し、時に飛躍するものだ。日本新党自民党を38年ぶりに下野させたが、それよりも55年体制を壊したことにより、社会党がぶっ壊れた(あだ花はいくらか残ったが……)。日本新党は飛躍の役割だった。小池新党もその役割だろう。
 余談だが、先日、小池さんとも因縁浅からぬ自由党代表の小沢一郎さんがバラエティー番組(「ソレダメ!」テレビ東京)に出たらしい。なんでもお笑い芸人らと笑顔でそうめんをすすっていたという。私は番組そのものは見ていないのだが、たまたま新聞のテレビ欄で見て、おやっと思った。そろそろ小沢さんも蠢動(しゅんどう)し始めたのか、と。ご存じのように小沢さんは93年の細川非自民連立内閣の立役者だった。
 さて、ここにきて安倍晋三首相は憲法改正を露骨に、かつ声高に主張し始めた。秘密保護法、安保法制の改憲的解釈(集団的自衛権の行使)、共謀罪――。その流れは歴史認識を含めて戦前に回帰したいという妄念である。妄念ではあるが、教育勅語への認識、靖国へのこだわりなども重ね合わせると、本気で戦前の価値観に戻したいと考えているに違いない。つまり反動なのだが、それを「戦後レジームからの脱却」という言い換えで「美しい日本」をつくり、「美しい憲法」をつくろうという論法なのだ。
 米国の戦略家、エドワード・ルトワック流に言えば「徹底的に戦争をしつくさなければ、本当の平和など訪れない」。先の大戦はまさにその通りで、その結果として戦後72年におよぶ今日の平和体制がある。それは決して米国が押しつけただけではない、戦後憲法によって平和で自由な社会という価値観を我々はようやく手に入れることができたのだ。少なくともあと数十年はこの戦後の価値観を守り抜くべきである。むろん、小池さんにも戦後価値観を守る保守中道であってほしいと願っている。
 私は安倍さんの安倍さんによる安倍さんのための改憲には反対だ。改憲のための改憲にも反対だ。いまは改憲すべき時ではない。安倍首相としてはなんとか小池さんを改憲賛成の立場に巻き込みたいし、そう立ち回るだろう。その時の小池さんの判断が日本のこれからを大きく左右する。さらに日本の行く末は、公明党もまたその鍵を握っている。細川連立政権時、公明党は頼りになる政党だった。これからも日本の将来に責任ある判断を期待したい。
「人材なければ事は成就しない」
 私は「質実国家」を目指せと主張している。お札を増刷し、やたら成長にムチを打ち、あげくカジノでお金を回す――。そんな成長という幻想のみに拘泥するアベノミクス的なものではなく、自らの身の丈に合った「質実国家」を提唱している。その昔、西郷南洲翁は、豪壮な邸宅や華美な服装とかでなく、道義があまねく行きわたった社会を本当の文明国家だと言った。その通りだ。道義が行きわたった社会ならそれこそ世界中から敬愛されることは論を俟(ま)たない。だが、明治からこのかた、この点で日本はほとんど進歩していない。
 これはまだ小池さんに尋ねていないが、皇室についてどう考えているのか。血統原理にこだわり、戦前の価値観に戻りたい安倍流保守は不満だろうが、世論の8割から9割が女性天皇を支持し、女系天皇も7割が支持している。私は女性の活躍なくしては立ちゆかない人口減少国にあって、女性天皇は当然のことだと思っている。また、昨年8月に天皇陛下が「お気持ち」を表明されたが、象徴天皇こそ国民と皇室が共にある本来の姿だと明確にされたのである。皇太子さまも「(象徴天皇の務めを)全身全霊で取り組んでまいりたい」と表明された。おそらく安倍流保守の面々はこうしたお考えに不満を持っているのではないか。
 ふと思う。「殿ご乱心」とばかりに2014年の都知事選に出馬したのも、無駄なようでいて無駄ではなかったのではないか。舛添要一都政を経て、小池都知事誕生からの1年を眺めると、偶然のように見えて実は必然だったということではないか、そう感じることがある。もしも運よく日本新党から野田→小池と宰相が続けば面白いな、と夢想したりもする。
 結党宣言で私は書いた。
〈荒海に漕ぎだしていく小舟の舳先(へさき)に立ち上がり、難破することをも恐れずに、今や失われかけている理想主義の旗を掲げて、私は敢えて確たる見通しも持ちえないままに船出したいと思う。歴史を振り返ってみれば、理想のための船出というものは、いつもそういうものだったのだ〉
 リーダーには人材集めが欠かせない。勝海舟がそうだったが、彼らは人が集まれば始終「人物月旦」をやっていた。あの男は人格、人品はどうか、能力はどうなのか、信頼できるか。人材を集めなければ、事は成就しない。野に遺賢あり、日ごろからリーダーは人集めのことばかり考えていた。それは都知事であろうと、首相であろうと同じだ。どこにどういう才能が眠っているか、いつも目を光らせていなければならない。それこそがリーダーに求められる最たる要件である。
 小池さんに贈りたい言葉は「犀角(さいかく)」。断固としてひとり歩まんとする修行者を励ます釈尊の言葉で、求道者は犀の角が一つしかないように、他人からの毀誉褒貶(ほうへん)に煩わされず、ただ自分の確信に従って、目指すところへ突き進めという意味だ。都議選の大勝に浮かれることなく、この言葉をかみしめてほしい。
鈴木琢磨毎日新聞夕刊編集部、部長委員)
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ほそかわ・もりひろ
 1938年、東京都生まれ。朝日新聞記者、参院議員、熊本県知事、衆院議員。92年に日本新党を結成して政界再編をリードし、93〜94年に首相。「原発ゼロ」を訴え続けている
すずき・たくま
 1959年、滋賀県大津市生まれ。毎日新聞夕刊編集部部長委員。『サンデー毎日』記者時代から北朝鮮の深層を追いかける。新聞では政治家から芸能人まで幅広くインタビューを続けている。著書に『日本国憲法の初心』『今夜も赤ちょうちん』『テポドンを抱いた金正日』など。佐藤優氏との共著に『情報力』
サンデー毎日7月30日号から)