日本人は「プーチン=悪」のアメリカの宣伝を信じ込んでいる( カレル・ヴァン・ウォルフレン)


数年前のこと。アメリカからやってきた或る経営者の方と夕食を一緒にしていたとき、たまたまプーチン大統領の話になった。私がいろいろとプーチンを擁護する話をしていたとき、その方はフムフムという感じで聞いていたが、食べ終わって別れ際に、「プーチンを信じちゃいけないよ」とやんわりと諭された。

彼らアメリカのビジネスエリートたちは、「プーチン・ロシアは悪の帝国」と刷り込まれているようです。彼らの洗脳状態を解くのは、極めて困難である。

日本人の大多数もそうじゃないか。

30年以上にわたって日本政治を研究してきたカレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステルダム大学名誉教授)は、安倍政権の「官邸主導」は日本のマスメディアと官僚が作り上げた虚構であり、「プーチン大統領は『悪』で世界にとって脅威だ」と情報操作され、多くの日本人はそれを信じてしまっている、と指摘する。まったくその通り。


以下、あいば達也さんのブログ記事を転載させていただきます。


ネオコン妥協で欧米は“中露”を失い BURICsも失う恐怖
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/cd9f6badb706ce693f8cdf7cfa0116f3

 本日は、常々筆者が、欧米幻想にいまだ惑わされている皆様に、警鐘を鳴らしすぎて、ウザく思われているのは承知している。しかし、語るべきことは語っておくのが言論だと思う。以下の二つのコラムは、筆者の代弁者のように振る舞ってくれているので、嬉しくなって引用しておく。

 どんなに喚き散らしても、成長する地域はBURICs及びASEANを中心とするアジアである。ドル基軸は、国際通貨としての絶対的役割から、3割は地位を低下させるだろう。今後、更なる金融危機を起こす国の一番手はアメリカである。日本も危ないが、意外に消費者のノリが悪いので、バブルの再来には至らないとみるのが妥当。その点で行くと、アメリカ人ってのは凄い教養レベルだから、99%の一部を煽れば、必ずバブルを起こせる国家。

 だいたい、考えたら判ることだが、グローバル経済の中で、アメリカ経済だけが好調持続なんてことは、論理的に起きない筈なのだ。にもかかわらず、起きている。つまり、マジックハンドで起こしているわけだ。EUもロシアも中国も、中東もデフレの方向に進んでいるのに、どうしてアメリカだけがインフレGDPなのか。彼らは、我々がNO1だからなんて寝言を言っているが、そう云うことは経済論理からあり得ない。

≪ ウォルフレン氏 日本人は「プーチン=悪」の米宣伝信じ込む
30年以上にわたって日本政治を研究してきたカレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステルダム大学名誉教授)は安倍政権の「官邸主導」は日本の大メディアと官僚が作り上げた虚構だと指摘する。
  記者クラブ制度をはじめ数々の既得権を持つ大メディアにとっては「現状維持」が望ましいが、この点でメディアと官僚の利益が一致、安倍首相が何かを決断 しているかのような虚構を国民に振りまいているというのだ。ウォルフレン氏はこうした「現状維持中毒者」が日本を危うくすると警鐘を鳴らす。
 * * *
 日本国民は「虚構」の存在に気付き、現状を打破するために声をあげなければならない。現在の世界情勢は「現状維持中毒者」による意思決定で乗り切れるほど甘くはないからだ。
 米ソ冷戦の時代は、確かに核戦争の恐怖は存在したが、その一方でバランスの取れた「予測可能な世界」であったとみることもできる。日本は共産主義の脅威から逃れるために、ひたすらアメリカに付き従っていれば良かった。
 その後ソ連が崩壊して冷戦が終結した時、多くの人々は民主主義に基づく理想的な世界が訪れることを期待した。だが、現実は違った。アメリカの権力者は、新しい敵を必要とし続けた。そして米軍はイラクアフガニスタンの泥沼に足を踏み入れていった。
 現状維持を志向するメディアと官僚は「ひたすらアメリカに付き従えばいい」という冷戦時代そのままの価値観を流布しようとするが、それを信じれば国益が著しく損なわれることになる。
 今年勃発したウクライナ危機が日本でどう報じられたかを見るだけでもそれはよくわかる。日本では、民主化運動の盛り上がりによってウクライナ国内に混乱が生じた隙に、ロシアのプーチン大統領がクリミアを併合して領土の拡大を図った、と理解されている。
 しかし、真実は全く違う。ウクライナ危機は、アメリカが中央ヨーロッパやアジア地域での支配権強化を目論んでいるがゆえに起きたものだ。
 アメリカの意図は、経済的な結びつきを強めるドイツを筆頭とする欧州とロシアの関係を分断することにあった。ウクライナの親露的な政府を転覆させるため に、右翼勢力に資金援助を行なったのである。その結果、(腐敗はしていたが)民主的に選ばれた政権が、クーデターによって倒された。欧州各国はアメリカの やり口を好ましくないと思いつつも、アメリカに従ってロシア制裁の道を選択してしまった。
 日本ではそうしたアメリカのプロパガンダがそのまま、官僚やメディアによってバラ撒かれた。「プーチン大統領は『悪』で、世界にとって脅威だ」と情報操作され、多くの日本人はそれを信じてしまっているのだ。
 戦後70年、日本政治のトップを占めるエリートたちは、アメリカの要求や要望に対して、時折反抗的な態度を見せながらも、最終的には隷属国としての振る舞いから外れないように政策決定してきた。安倍政権はそうした慣習を忠実に守っている。
 アメリカの権力者にとっては冷戦時代のような緊張状態は大変好ましいもので、「旧敵は決して消滅していない」と西側諸国に信じさせたい。だが、そうした緊張状態はいとも簡単に武力衝突を招き、世界に不幸をもたらす。日本人はそんな事態を本当に望んでいるのだろうか。

【プロフィール】1941年、オランダ生まれ。ジャーナリスト、政治学者。NRCハンデルスブラット紙の東アジア特派員、日本外国特派員協会会長を歴任。『日本/権力構造の謎』『人間を幸福にしない日本というシステム』などのベストセラーで知られる。 ≫(NEWSポストセブン:週刊ポスト2014年11月28日号)



≪中国・ロシア・ユーラシア貿易圏、オバマの“ネオコン策謀”を弱体化
プーチン大統領経済制裁に反撃すべく、中国とアジアとの貿易を増大すると誓約
マイケル・ハドソン教授
The Real News 2014年11月13日
 中国とロシア間の、4000億ドル、40年間の石油とガス契約は、ロシアに対する新冷戦の圧力と経済制裁への反撃だと、マイケル・ハドソン教授は語っている。
  RNN製作責任者シャーミニ・ペリーズ: リアル・ニューズ・ネットワークにようこそ。私、シャーミニ・ペリーズが、バルチモアからお送りしています。
 今年、ウクライナにおける親ロシア派による社会不安とされるものに関与したかどで、多数の政府が、対ロシア経済制裁を課しました。対ロシア経済制裁 は、アメリカ合州国欧州連合が率先し、多くの国々によって課されています。
 報復措置として、ロシアは、経済制裁に対して、多数の国々に反撃しています、 欧州連合アメリカ合州国ノルウェー、カナダやオーストラリアからの食品輸入の全面禁止を含め。
 ヨーロッパ、アメリカ合州国にとって、一体どういうことになるのでしょう。貿易協定に関する地政学的再編成はどうなるのでしょう? これを皆お話しすべく、マイケル・ハドソン氏においでいただきました。ハドソン氏は、アメリカのニューヨークから来られました。彼はミズーリ大学カンザス・シティ校の著名な経済学教授です。

ハドソンさん、今週、北京で、何が行われているのですか?

ミズーリ大学カンザス・シティ校経済学教授マイケル・ハドソン: APEC会議です。過去数年間、G20会合(ブリズベンで今週末開催)を含めて、そうした会合の大半で、何も実際にはなされてはいません。アメリカ合州国は、仲間外れとして参加しているのです。
 問題の的は、経済はどう発展すべきかに関する、二つの異なる見方です。中国は、民営化・大企業志向の貿易圏に入るのでなく、自らの貿易圏を志向して います。それは混合経済です。
 そこで現実にあるのは、中国経済は極めて急速に成長していて、アメリカ経済は停滞しているというものです。 この様な状況では、本当に、ほとんど言うべきことはありません。
 中国とアメリカ合州国とが、それぞれ自分達が、何があろうと推進するつもりのことを発表し、あたかも協調しながら、そういうことをするふりをしているのです。
 オバマ大統領は主として、アメリカの基盤、特に共和党に向かって、環太平洋戦略的経済連携協定に取り組むと語っています。彼の構想は、政府の環境規 制を廃絶し、金融に関する規制を廃絶し、金融規制改革の為のドッド・フランク法を事実上破棄する協定です。
 もし銀行が不行跡を働いたり、あるいは政府がよ り多い準備金を要求したりした場合、オバマ大統領が推進している新しい国際法の下では、政府が、民間銀行に対し、規制されていないかのごとく、金をはらわ なくてはなりません。そしてもし、ある政府が、ある企業に、環境汚染のかどで、環境上の罰金を科せば、政府は、その会社に対して、そのような罰金がなければ得たであろう金額を、何であれ、支払わなければなりません。
 アメリカ・マスコミの大ニュースは、中国が大気汚染を改善することに同意したというものです。もちろん中国は、そうしなければなりません。北京で住んだ経験があれば、汚染された都市だというのはわかります。ですから、これは、中国が向かっている方向の発表なのです。
 ロシアは、会合で、ガス輸出を増大する、中国との4000億ドル、30年間のガス契約を発表しました。多少の石油も中国に輸出されます。そこで、中国は石炭を使う工場を削減し、大気中の石炭の煙が減るというわけです。
 アメリカ合州国も炭素排出量を削減する予定だとオバマ大統領は言いました。しかし、彼はいまでも、カナダのアルバータ州から、タール・サンド・オイルをアメリカ合州国に送るXLパイプラインを推進しています。これは地球上で最も汚染の大きな活動です。
  発表されたのに、余り語られなかったものに、金融制度の変更があります。

ペリーズ: 先に進む前に、ハドソンさん、中国は一方で、排出を削減すると約束し、アメリカ合州国と折り合いながら、その一方、ロシアとは、明らかに排出削減ではなく、増大する化石燃料の石油を含む契約をまとめるというのは、いささか皮肉ではありませんか?

ハドソン: あらゆる経済は、一定程度石油を必要とします。中国はガスでは済まない様々な用途に石油を使います。あらゆる国のGDPは、エネルギー消費に伴って増加し ます。過去百年間、産業革命の間も、生産性の上昇とともに、f労働者一人当たり、あるいは、生産高の単位当たりの、エネルギー使用は増大しています。
 つまり、成長を押し上げているのは、エネルギーなのです。そして、もちろん中国は石油を必要としています。実際、人々が豊かになる時の問題の一つは、自動車をもちたがり、車にガソリンを食うことです。ですから、もちろん中国はロシアからの石油に依存することになります。
 プーチン大統領は、これらの契約の結果、中国や他のアジア諸国とロシアの貿易は、ロシアGDPの、25パーセントから、40パーセントに増加しつつ あると語りました。
 これで、ヨーロッパは蚊帳の外に置かれます。会議で明らかになったのは、中国とロシアの一体化がおきつつあるということです。
 これは、 アメリ外交政策が、1980年代以来、ずっと目指してきたことと真逆です。皮肉なのは、アメリカ合州国が、ロシアに圧力をかけ、NATOによるウクライ ナでの冒険後の経済制裁をしてきたのに、実際に起きたのは、ロシアと中国とのより親密化なのです。
  二国協力の最も重要な形は、ロシアは、いわゆるSWIFTシステムから独立した、自前の銀行間決済システムを立ち上げるという、プーチン大統領声明 に反映されています。
 ある銀行から、他の銀行に送金をしたり、どこかの銀行が、米ドルを使用したりする場合、アメリカ合州国にある、SWIFT決済システ ムを経由しなければなりません。 現在、SWIFT決済システムにはいっていない唯一の国はイランです。
 ロシアは、懸念しましたが、これがアメリカの手だったとわかったのです。アメ リカ冷戦戦士が本当に望んでいたのは、ロシアと中国を仲たがいさせ、両国の金融サービスを妨害し、両国の経済を混乱させることだったのです。
 そこで、ロシ ア、中国とイラン、そして多分他のアジア諸国も、現在、彼等自身の通貨決済システムを立ち上げる方向に動いています。SWIFT決済システムと、米ドルから独立する為に、ロシアと中国は、貿易と投資を、ドル建てではなく、ルーブルと元建てにしています。
 つまり、過去数日間、我々が北京で目にしたものは、ドル基準の否定であり、その背後にあるアメリ外交政策の否定なのです。
  中国はオバマ大統領が、2009年にここに来た時以来、軍事支出を倍増しました。中国首席は、空なり、海なりで、不慮の衝突がないようにしましょうと、上品に言いました。彼が意味していたのは、“我が国のものだと我々が主張する島の上に、空域を設定したのだから、御国の飛行機が余りに我々の空域に接近しすぎると、我々はそれと鉢合わせして、撃墜するが、これをアメリカ攻撃とは思わないで欲しい。我々は決してそういうつもりはないのですよ。
 ” 中国は、実際、実力をふるっているのです。 オバマ大統領が、これらの会合で、いかにも居心地悪そうに見えこのはそれが理由です。彼は自分が望んでいたことは何も得られないことがわかっているのです。アジア諸国は、環太平洋戦略的経済連携協定に参加しようとしておらず、彼等は今やオーストラリアのブリズベンへと向かっています。 今後数日間、ヨーロッパが取り残されるのを目の当たりにするでしょう。
 アメリカ合州国NATOが、ロシアに課せと主張した経済制裁は、フランス や、バルト諸国やヨーロッパの輸出に、ロシアが経済制裁をする結果になっています。フランス農民は既にデモをしていますし、マリーヌ・ルペン国民戦線が、次回選挙で勝利する可能性があります。
 バルト諸国も、農産物輸出を失ったと騒いでいます。フランス、ラトビアや、ドイツすらもが、過去数年間、ロシアを成長市場として見なしてきました。ところが連中の指導者は、ロシア市場に関わるなというアメリカの要求に屈したのです。
 これでヨーロッパは、景気低迷状況におかれることになります。 ロシアを経済的に孤立化させる経済制裁については、これままさに、自国産業復興と、経済的独立を保護する為に必要なものなのです。中国と協力して、ロシアは経済を、中国、カザフスタンやイランの経済と統合しつつあります。
 ロシアは現在、少なくとも二基の原子炉を、イランで建設しようとしています。世界投資の中心は、アメリカ合州国もヨーロッパも置き去りにして、アジアへと移動してます。
  ですから、来週のG20ブリズベン会合では、アメリ経済制裁から離脱しようとする、ヨーロッパの圧力の増加を目にする事になるでしょう。アメリカ合州国が、現在、外交的に行使しているのは、軍事圧力だけですが、ロシアと中国とは経済成長しています。市場と投資の機会が開きつつあるのです。
 アメリ合州国と中国との間で、ハイテク貿易の協定が結ばれたという事実にもかかわらず、アメリカは、基本的には孤立しているのです。これが、オバマ大統領が、会議で、あれほど元気がなく見えた理由であるように思われます。ネオコンに与えられた戦略が逆効果になったことを、彼はわかっているのです。

ペリーズ: 最後に、ハドソンさん、今後、議会、共和党が多数を占める上院が、どのように対処するとお考えでしょう?

ハドソン: もはや民主党には対処する必要がないので、オバマ大統領は、共和党に対処するのを楽しみにしていると語っています。共和党は、彼の企業寄り、反労働者の環太平洋戦略的経済連携協定に同意する唯一の党です。彼は自ら、チェイニーや、ジョージ・W・ブッシュと同じ志の共和党だと言っています。
 ワシントンのハリー・レイドや民主党指導部から聞こえてくる雑音は、オバマが、経済の処理で大変なヘマをしたので、選挙に負けてしまったという非難です。まるで、自分達がしでかしたことではなかったかのように。あるいは、スティーブ・ イスラエル米下院議員が、共和党の縞が入った民主党ブルー・ドッグ(保守派)候補を支持したのを無視して。本質的にオバマが語ったことを、もし私が言い換えれば、それは“私は共和党で、私はウオール街を支持しています。”です。
 ロビイスト連中が環太平洋戦略的経済連携協定の中に盛り込んだ一種のおまけの実現を、彼は、強く要求するつもりであることを、共和党に知らしめようとしています。
 TPPとは一体何かを、しっかり説明しているロリ・ワラックさんを、この番組に既にお呼びでしょう。予想されるのは、オバマは、一層急激に右旋回し、共和党の支持を得、一方、民主党は、ヒラリーを支持しながら、苦し紛れに、 叫ぶふりをして、“おー、こんな奴を送り込んで、我々は一体何をしてしまったのだろう?”というのでしょう。

ペリーズ: マイケル・ハドソンさん、いつもながら、ご出演有り難うございます。
ハドソン: 呼んで頂けて嬉しく思います。ありがとうございます。 ペリーズ: リアル・ニューズ・ネットワークをお聞き頂き有り難うございます。 記事原文のurl:http://therealnews.com/t2/index.php?option=com_content&task=view&id=31&Itemid=74&jumival=12648

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≫(マスコミに載らない海外記事様サイトから引用)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-9910.html