人工クモ糸

人工的にクモの糸を作り出す技術。これはおもしろい。

山形県鶴岡市の学生発ベンチャーが開発した。会社の名前は「スパイバー」。おそらく、スパイダー(蜘蛛)とファイバー(繊維)を合成した名前か。夢のスーパー繊維。まだ実用化への研究段階ですが、4〜5年で様々な分野の繊維材料への実用化を目指している。

人工クモ糸の製法は次のようなプロセス:

1.ジョロウグモなどのクモの遺伝子(糸を作る遺伝子)を取り出す。
2.この糸を作る遺伝子を宿主となる微生物に入れる。
3.微生物が糸を作り、これが溶液状になる。
4.溶液中の糸成分を絞り出して糸状にする。

1匹のクモは6〜7種類の糸を作り出す。20種のアミノ酸の配列の違いで種類の異なる糸をクモは作っているのだ。この中で特に優れた糸は、クモが自分をぶら下げるときの糸。この牽引糸(けんいんし)はナイロンと比べて強度が3.5倍。伸縮性は4倍。衝撃吸収力は鋼鉄の数十倍。0.5mmの太さの糸で体重60キロの人をつるすことが可能。強度は炭素繊維に匹敵。

この技術のすごいところは、鍵となるアミノ酸配列を変えれば、多様な特性のクモ糸を製造することができるということ。

実用化が進めば、人工血管や縫合糸、航空機などの部材に期待できる。

生分解性で環境にも優しい新しい高付加価値材料の出現なるか。この世界初の技術に期待したい。

http://spiber.jp/jp/product.html