田中宇さんの見立ては、トランプのAチームではなく、軍産のBチームの仕業ではないか、というもの。
軍産は、中国を米国から分離しつつ弱体化して冷戦構造と米覇権体制を再生しようとしているのに対して、トランプは、従来の世界支配層だった軍産に協力するフリをしつつ、軍産の支配構造を破壊しようとしている。
つまり、トランプは、中国を米国から分離しつつ強化して世界の覇権構造を多極化しようとしているというのが田中宇さんの従来からの説。
ということは、武漢コロナウイルスが人為的なものであるとするならば、それは軍産のBチームの仕業ということになる。
人為発生であったとしても、中共上層部の意図として行われた可能性はない。自らの権威をできるだけ高めたい習近平が、自分を陥れることをやるとは思えない。何者かが武漢の研究所からウイルス漏洩を意図的に引き起こしたのだとしたら、それは中国側でなく米国側だ。トランプ大統領と軍産複合体は、それぞれが正反対の意図で、中国と米国の関係を、協調から敵対へ、密接関係から関係分離・デカップリングへと転換しようとしてきた。トランプは、中国を米国から分離しつつ強化して覇権構造を多極化しようとしている。軍産は、中国を米国から分離しつつ弱体化して冷戦構造と米覇権体制を再生しようとしている。トランプは、従来の世界支配層だった軍産の一部になっているふりをしつつ、軍産の支配構造を破壊している。 (Coronavirus has put globalisation into reverse) (見かけ倒しの米中貿易協定)
トランプも軍産も、中国と米国との関係を経済政治の両面でデカップリングさせたい。そして今回の新型ウイルスの発生は、米中のデカップリングを劇的に進めている。これを意図的にやった勢力が米国にいるなら、新興勢力であるトランプ系でなく、昔から中国にスパイを置いている軍産だろう。今回のウイルス事件でいうと、たとえば米国の大学に滞在中に軍産に脅迫勧誘されて米国のスパイとなった中国人研究者が武漢研の中にいて、その人物がウイルス漏洩を誘発したとかいったことが考えうる。考えることは可能だが、実証は不可能だ。非現実的な感じもする。たとえ中共中央がスパイの存在は把握していたとしても、永久に真相は公開されない。どちらにしても、野生市場経由の自然発生説が公式説明として定着する。そうならない場合、改めて考察する。 (Coronavirus looks as if tailor-made to achieve US objectives: Scholar)
その他、ネット上の英文情報の中には、今回のウイルスが意図的な人為発生であるという指摘がいくつかある。それに対する検証も興味深いのだが、それはあらためて書くことにする。 (Bats, Gene Editing and Bioweapons: Recent DARPA Experiments Raise Concerns Amid Coronavirus Outbreak) (Coronavirus Contains "HIV Insertions", Stoking Fears Over Artificially Created Bioweapon) (China and Viruses: The Case of Dr. Xiangguo Qiu)