木製自在置物(大竹亮峯)

美術手帖』3月号は明治工芸の「超絶技巧」特集ですが、この中で紹介されていた現代の木彫工芸の鬼才・大竹亮峯(りょうほう)さんの木製の自在置物作品には、心底驚きました。

大竹亮峯(りょうほう)さんは、1989年生まれ(ということはまだ26歳か27歳)の木彫作家。

美大を受験したが失敗。高校時代に出会った江戸指物師の影響で職人の道に進む。京都伝統工芸学校で2年間木彫を学んだ後、飛騨の一位一刀彫の東勝廣(ひがし・かつひろ)に弟子入りし、3年修行。その後、木彫作家として独立。根付作家でもある。


この伊勢海老は2014年の作品。本体は黄楊(つげ)、髭はクジラ、腹部の一部に鹿革を使用。仕上げは特にせず、無垢の黄楊の色を活かしている。ただし、夜叉(やしゃ)という染料を自分で煮だし、線や窪みの部分に色を入れている。

伊勢海老を徹底的に研究し、関節部分の動きは本物と同じ。パーツの数は100を超える。これをすべて木で作製する。気が遠くなる作業。完成まで4か月〜5か月。

一般に「自在置物」は金属工芸に分類され、動物や昆虫をリアルに再現し、体節や関節も動くようにした模型を意味しますが、通常、金、銀あるいは銅で作られる。明治期の多くの超絶技巧作品が作られ、現代の作家では満田春穂さんが有名ですね。


しかし、これを木で実現したとは、ビックリ仰天です。大竹さんは、木彫では不可能であるといわれていた自在置物を実現した。弱冠26歳で。



以下↓は大竹さんの伊勢海老を紹介したYoutube動画です。海外でも注目されているようです。
●Wood spiny lobster
https://www.youtube.com/watch?v=nD53blQl1no



【参照】
大竹さんのファイスブックも注目です。
●大竹亮峯facebook
https://ja-jp.facebook.com/ohtakemokucho



美術手帖 2016年3月号

美術手帖 2016年3月号